- Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334754457
感想・レビュー・書評
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初めて読んだような新鮮さを覚えました。セリフ回しなど、ほとんどアニメと一緒じゃないか。前に読んだのは25年ほど前、野上弥生子訳の岩波文庫版でした。格調高い翻訳で感銘を覚えたのですが、読んだ動機が「アニメ版に救われた(※)」ためだったので、宗教臭さとかおじいさんの過去とか、アニメとの違いの方に気持ちが行っていたので、今回初めてアニメを見るように楽しんで読みました。
屋根裏の干し草を一目見て「あたし、ここで寝る」と叫ぶハイジは、読みやすさと共に、ほとんどアニメのニュアンスそのままでした。こんなにも全ての文が飛び跳ねるようだったけ。高遠訳は素晴らしいと思う。
「どうして鷹はあんな鳴き声をするの?」「どうして山はあんなに綺麗なの?」教えて、おじいさん。アニメの歌と同様の展開が、原作にもあったことに初めて気がつきました。
絞ったばかりの山羊の乳、パンの上に焼いたチーズを乗せてかぶりつく様は、何度読んでも「それ欲しい!」てなる。
本書は「私の推しの光文社古典新訳文庫」で大塚かな子さん推し本でした。県立図書館には子供用中心に既に5種ほど蔵書されていたのでリクエストしても無理かなとは思ったのですが、案に相違して買ってくれました。やはり完全新訳は素晴らしいし、読みやすいし、何よりも出版当時の挿絵が数ページに一葉は入っている豪華さ。絶対お買い得でしたよ、図書館さん。
(※)当時、私は仕事でかなり追い込まれていた時に「癒し」を求めるようにこのアニメの「VHS」を毎日1話ずつ観て行ったのです。その約2ヶ月の間、どれだけ癒やされたか!それだけでなく、私はアニメを観て初めて泣きました。何処で泣いたか?何故泣いたのか?本書を読んでまざまざと思い出しました。クララのいるフランクフルトで、ロッテンマイアー女史からハイジはアルルの山を思い出して泣いているのを注意されて厳しく叱責されます。「もういい加減、訳もなく泣くのはおやめなさい!お話読んで、またこんなふうに泣き出すことが一度でもあれば、その本を取り上げます」と。そのときハイジの顔は見る間に青ざめます。本はハイジの宝物だったから。そして2度と泣かなくなるのと時を同じくして、ハイジに夢遊病の症状が出始めるのです。当然詳しくは書けませんが、その二律背反状況が当時の私の状況とピッタリ重なって、泣かない代わりに深刻な病気になるハイジが「可哀想で、可哀想で」私は「ぼろぼろ泣いて」「救われた」のです。あの時に病気にならなかったのは、ハイジのお陰と言っても過言ではありません!!ハイジはその時になって初めて観ました。1974年にテレビ放映されていた時には、「侍ジャイアンツ」と「宇宙戦艦ヤマト」の放映を見るために、「ハイジなんて」見向きもしなかった私ですが、その約25年後社会人になっていた私は、宮崎・高畑アニメの底力を知ったわけです。←またまた、脱線の方が本文より長くなってしまいました。すみません。でも今回読んで、数人には「ぼくはハイジで救われたんだよ」とは言ったことはあるのですが、全員冷たい反応だったのは、何故救われたのか、きちんと説明しなかったせいだと今わかりました。というか、今になってようやくあの時の状態が自分で説明できるほどに理解できました。 -
読了後すっごく幸せな気持ちになった物語。と同時に、隙なく組み立てられた物語だとも思い。シンプルなのに、展開も結末も描写も、全方位からみて完璧なのよ。恐るべしよ、ハイジ。
それまでの私の中での「ハイジ」と言えば、母が自身の子ども時代に好きだったというテレビアニメのイメージ。私が子どもの時分には再放送がされていて、台所で夕飯の支度をする母がBGMがわりに流していたので、宿題をしたりしながら観ていた懐かしい作品でした。
原作では、おじいさんを筆頭に、ハイジを取り巻く大人たちそれぞれの過去や孤独な感情などの「背景的描写」が、断片的にですが、多かれ少なかれあり、それゆえの彼らの行動や心境の変化が、少しずつ、けれど確実に絡まり合って物語が動いてラストまで無駄なく進む様が見事でした。電車を乗り過ごす勢いで、ほぼ一気読み。
特に、偏屈だけどハイジには優しいおじいさんにあんな波瀾万丈で複雑そうな過去があったとは…。
そしてそれが巡り巡って結果として、あんな風にクララに好影響をおよぼすことになるとは…。
今の時代なら、おじいさん主役の番外編(青年期〜老年期までを描いた一代記)的なものができてそう。
また、書かれた時代背景もあってか、全編通じて宗教的な側面を強く持ち合わせています。
それにしても、原作がこのようなラストだったとは。
ネタバレになってしまうといけないのでうまく言えないのですが、「ハイジの人生、将来どうなってしまうんだろう…」と、子ども心に心配していた点に、アニメでは影の薄かったある人物の存在によって、一つの「安定的な」結末が用意されていました。
ハイジもみんなの未来も明るい、とっても理想的なラストに清々しい気分になれる作品でした。
(余談ですが、あの「ヨーゼフ」は完全にアニメのオリジナルキャラだったようで、原作には名前一つ出てきませんでした。) -
古典新訳文庫の刊行作品はほぼ購入しているのだが、うれしいことの一つはいわゆる有名児童文学作品を新訳で出してくれていること。本書ハイジについても、児童書で読んだこともなければアニメ版も見ていないので、今回読んでやっとあらすじが分かった。
第一部は「ハイジの修業時代と遍歴時代」と題され(ゲーテの作品名が連想される)、母親と死に別れ母の姉の世話を受けてきたハイジが、周りから偏屈との評判を受けている祖父に預けられるところから始まる。素直で、山や花々の自然を愛し、山羊とも仲良くなるハイジは、おじいさんと心を通じ合わせ、また山羊番のペーターやそのおばあさんとも親しくなっていく。
アルプスの大自然の中で伸び伸びと育つハイジであったが、叔母の仲介で車椅子生活をしているお嬢様の遊び相手としてフランクフルトのお屋敷に行くことになる。そのお嬢様がクララ、父親がゼーゼマン氏。慣れないお屋敷生活にいろいろな失敗をしていたハイジであったが、空も花も見ることのできない窮屈な生活に圧し潰されていく。心配したゼーゼマン氏によりアルプスに送り返されたハイジは、元の生活に戻って健康を取り戻し、みんなと明るい生活を送ることができるようになった。ここまでが第一部。
第二部は「ハイジは習ったことを役立てる」。今度は、フランクフルトからゼーゼマン氏の友人のお医者さん、クララとおばあさん、そしてゼーゼマン氏と、ハイジのところを訪れる。その間には、ハイジを取られたように嫉妬心を感じたペーターの悪事などもあるが、クライマックス的にはクララが自分で歩けるようになった出来事を経て、ハッピーエンドへ。
アルプスとフランクフルトが対比的に描かれていて、それだけアルプスの下での生活がハイジにとって自然であったことが強調される。
また、ペーターのおばあさん、そしてクララのおばあさんとの会話により、ハイジが神様を理解し、感謝するところなどは、たぶん作者にとっては大きなテーマだったのだろうなと感じさせられた。
本書では、ルドルフ・ミュンガーの挿絵が多数収録されているが、アニメ版の丸っこくていかにも”かわいい”ハイジの顔かたちとの違いを見ることも面白いと思う。
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TVの学習塾コマーシャルに『ハイジ』のアニメが、なぜ使われるのか?
長年不思議だったけど、わかった!
まさに「ハイジの修行時代と遍歴時代」だからね。
子供の頃に読んだときは、物語の展開が面白くて印象的だったけど、(例えば「夢遊病」とかクララが歩けるようになるあたり)
今回じっくり読むとまさに成長物語、学習物語、それがなかなか面白く巧みに描かれていて、(ヨハンナ・シュピリもそれを意識して書いたという。)
なおかつ、アルプスの情景も素晴らしいから、観光したくなるし。 -
アニメをみてストーリーを知っていた作品。初めて読んでみてアニメの影響力に、びっくり。山の景色がアニメそのままに脳内再生される。
原作はとても宗教色が強くて、なんだかなぁと思ったりもしていたけど、けっこう泣けてしまう。お医者さんのアルプス訪問とか、元気なクララを見たゼーゼマン氏とか。
ハイジはかわいいだけじゃなくて、かなりしっかりしていて、賢くて、けなげ。それに比べてペーターは…頑張って! -
ハイジの他者を思いやる気持ち
自分のことより他者の痛み・苦しみに心を寄せる行動に
感動します。
そんなハイジの周りには自然と人が集まってきます。
ハイジの純粋さに惹かれるのだと思います。
私も好きになりました。
ペーターがクララに嫉妬する気持ちもよくわかります。
アニメを観た人も是非手に取ってみてください。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/757479
草のベッドを作ったり、ごはんの準備をしたり。
ハイジと一緒に山の暮らしを楽しもう。
また、概要は知っているけどクララが立つまで
どんなことがあったのか?知らない人もいるのではないでしょうか。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/757479
ハイジ大好きです
(もちろんアニメの)
歌から映像、セリフまで
目を閉じればどんどん広がっていきます!
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ハイジ大好きです
(もちろんアニメの)
歌から映像、セリフまで
目を閉じればどんどん広がっていきます!
子供向けの本やアニメ絵本では読んだことありますが、是非この文庫で読んでみたいと思いました^_^
みんみんさん
私は畳屋に嫁に来ました…