人間のしがらみ(上) (光文社古典新訳文庫)

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  • 光文社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334754570

感想・レビュー・書評

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  • 前半はフィリップ君がどこを切っても若くて若者あるあるみたいなところがある。紳士階級ならではのモラトリアム期の長さがうらやましいが、なかなか芽が出ない。けっこうな遠回り。適切なタイミングで相談ができない、わかるよ... 自分がきちんと相談できなくてへまをやった過去はきっとあるのだが、おそろしくて振り返ることができない。モーム先生は最終的に大成功したから直視できたのかもしれない。

    上巻の最後のエピソードで、絶対に相性がよくない女の子に絶望的な恋をして愛と憎しみをため込んでしまうのがなかなか大変そうだった。自分から好きになった最初がそういう子だって大変だな。フィリップ君は大して好きでもない最初に付き合った人との恋愛をゲームとして楽しんでいたから、恋愛体質何だろうとは思うけど... 下巻では幸せになってほしい(親戚のおばさん目線で)。あと定職ね。話はそこからだ。

  •  モームは短編という先入観があって長編は敬遠してきたのだが、そろそろ読んでおきたいと思い、代表作「人間のしがらみ」(これまでは「人間の絆」というタイトルが多かったが)を読むことにした。

     冒頭、まだ幼いフィリップ(本作の主人公)を慈愛の目で見守る病床の母、それが親子の最後の別れとなってしまう。とても印象的なシーンで本書は始まる。

     両親を失ったフィリップは牧師の伯父夫婦の元に引き取られる。そして彼は生まれながらの内反足だった。
     神学校での学校生活に嫌気がさし、牧師になることを放棄し、異なる生活を夢見てハイデルベルク、さらに画家になることを志してパリへと赴く。そこでの友人との付き合いや交流を通して、彼は様々なことを学び考える。しかし結局自分の才能に見切りをつけて、今度はロンドンの医学校に入学したものの、ウェイトレスをしている女性に猛烈な恋をして、学業は疎かになってしまう。しかも彼女はなかなか振り向いてくれない。
     上巻は大体こういったところ。

     本巻の半分くらいまではなかなかページが進まなかったが、個性のある人物が登場してきたパリの辺りから、彼、彼女らとフィリップとの付き合いの様子や、若者ならではの自信と不安がないまぜになった心理がうまく描かれていて、面白く読み進めることができるようになった。
     自分を愛してくれない女性に対して卑屈なほどの対応をするフィリップ、彼は果たしてあきらめることができるのか、この後どうなるのか、というところで、下巻へ。

  • 2023年元旦からぼちぼち読みました。
    主人公フィリップはモームのことかな。自伝。
    ころころと学ぶべきことを変えてドイツに行ったりイギリスにいったり、画家になろうとしたり公認会計士になろうとしたり。医者の勉強を始めたところ。伯母さんやさしかったな。だれの目線で読んだらいいんだろう。フィリップにはらはらしてしまう。そして女をかなり蔑視しているよー。

  • 教養小説というのだろうか。事件らしい事件が起こらない代わりに、主人公フィリップの生い立ちから青春と遍歴の日々が繊細に揺れ動く内面とともに描かれる。自分にも他者にも夢を見ては失望の繰り返しで、絶え間なく変化し続けているようなフィリップ。作者の人間観察の眼差しには容赦がないが、逆によくここまで人間の心理を見通しているものだとも思う。主人公がこの先どういう人生を選び取るのか、下巻の展開が気になるところ。

  • この先どうなるのだろうか?と気になりながら読み進めました。

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著者プロフィール

モーム W. Somerset Maugham
20世紀を代表するイギリス人作家のひとり(1874-1965)。
フランスのパリに生まれる。幼くして孤児となり、イギリスの叔父のもとに育つ。
16歳でドイツのハイデルベルク大学に遊学、その後、ロンドンの聖トマス付属医学校で学ぶ。第1次世界大戦では、軍医、諜報部員として従軍。
『人間の絆』(上下)『月と六ペンス』『雨』『赤毛』ほか多数の優れた作品をのこした。

「2013年 『征服されざる者 THE UNCONQUERED / サナトリウム SANATORIUM 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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