シャーロック・ホームズの事件簿 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334761820

作品紹介・あらすじ

王冠のダイヤモンドが盗まれ、首相みずからがホームズのもとを訪ねる「マザリンの宝石」、赤ん坊の血を吸う(?)母親を相手にする「サセックスの吸血鬼」、若い女性に恋をした老教授の不思議な行動に端を発する「這う男」など12編。発表はみなドイル晩年のものだが、「ライオンのたてがみ」以外、事件はすべてホームズの引退前(1903年以前)に起きている。

感想・レビュー・書評

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  • 「王冠のダイヤモンドが盗まれ、首相みずからがホームズのもとを訪ねる「マザリンの宝石」、赤ん坊の血を吸う(?)母親を相手にする「サセックスの吸血鬼」、若い女性に恋をした老教授の不思議な行動に端を発する「這う男」など12編。発表はみなドイル晩年のものだが、「ライオンのたてがみ」以外、事件はすべてホームズの引退前(1903年以前)に起きている。」

    マザリンの宝石
    ソア橋の難問
    這う男
    サセックスの吸血鬼
    三人のガリデブ
    高名な依頼人
    三破風館
    白面の兵士
    ライオンのたてがみ
    隠居した画材屋
    ヴェールの下宿人
    ショスコム荘

  • ワトソン博士の性格が大好き。這う男の「腰痛症だろう、たぶん。」には思わず声をあげて笑ってしまった。なぜかシリーズ全編で1番印象に残る発言かもしれない…あまり探偵物の体をなしていないヴェールの下宿人が、悲しい中にも温かみがあって好き。

  • ホームズシリーズ最後の短編集。
    基本的にワトソンの手記という体裁で書かれたホームズシリーズだか例外がある。
    ホームズが書き手となっている作品が収録されている。

  • いよいよホームズ最後の1冊。まず冒頭ドイル自身の前書きが印象深い。

    「わたしはシャーロック・ホームズが、『かつては人気のあったテノール歌手』のようになってしまうのを、おそれている。つまり、全盛期をとっくに過ぎながら、寛大な聴衆に甘えてさよなら公演を繰り返してしまうような連中のことだ。そういう事態は避けなければならないし、生身の人間であれ想像上の人物であれ、本来行くべき道をたどり、舞台を去るべきなのである。」

    この宣言通り、これが最後の1冊となったわけですが、とはいえドイルは最後のホームズ作品「ショスコム荘」の3年後には亡くなってしまうので、もし存命だったらもしかしたらまた書かされてたかも…なんて無粋な想像もしてしまった。

    本作収録作でいちばん好きだったのは「サセックスの吸血鬼」吸血鬼好きにはタイトルだけでも興味津々だけれど、もちろん本当の吸血鬼は出てこない(そういえば『シャーロック・ホームズVSドラキュラ』とかいうパスティーシュ本を昔読んだ記憶はある・笑)真犯人が天使のようなサイコパスというところも含めて、とても面白かった。

    「三人のガリデブ」はタイトルを見て、「ガリガリの人とポッチャリの人の話?」と思ったら、全然違いました。単にガリデブという珍しい人名を使ったお話でした(笑)

    「高名な依頼人」は、イケメンで女たらしの大悪党の話、「三破風館」は逆にお金持ちで遊び人の美女が犯人。「這う男」は若返り薬の人体実験、「ライオンのたてがみ」はその名を持つある生物が犯人という奇想天外さ。この「ライオン~」と「白面の兵士」はワトスン君不在で、ホームズの一人称になっているレア作品。

    なお、ホームズはワトスン不在の理由を「善良なるワトスンはそのころ、わたしを見捨てて妻と結婚生活を送っていた。それは、わたしたちのつきあいをとおしてたったひとつ思い出せる、ワトスンの身勝手だ。」と述懐。身勝手!!(笑)こういうこと言うからワトスンとの仲を誤解されるんだよホームズ。

    全体通して二人の関係性について抱いた感想は、こんな変人とずっと一緒にいられるワトスン凄いなあ、でした。寛大というか鷹揚というか、ホームズは頭が良すぎて結構失敬なこと(ワトスンをバカにする発言)を頻繁に口にするのに、一瞬ムッとしてもワトスンはすぐ事件への好奇心やホームズの頭脳への称賛の気持ちで自分への侮辱を忘れてしまう(笑)好人物というのはこういう人を言うのだろう。

    今回は作品が発表された順で読みましたが、以前乱歩の明智小五郎ものを時系列に並べなおしたシリーズで読んで面白かったので、ホームズもいつかそういうのが出たら再読してみたい。

    ※収録
    マザリンの宝石/ソア橋の難問/這う男/サセックスの吸血鬼/三人のガリデブ/高名な依頼人/三破風館/白面の兵士/ライオンのたてがみ/隠居した画材屋/ヴェールの下宿人/ショスコム荘

    • akikobbさん
      こんばんは。

      ホームズ完投おめでとうございます。私は「短編だけ読もう」の試みを少し前にしたものの、他に興味が移って『〜生還』で止めてしまっ...
      こんばんは。

      ホームズ完投おめでとうございます。私は「短編だけ読もう」の試みを少し前にしたものの、他に興味が移って『〜生還』で止めてしまっていたので、yamaitsuさんのレビューをひそかに楽しみにしていました。ありがとうございました。

      ドイルがホームズ作品の執筆を(ジャンプ人気作品の作家さながらに?)やめさせてもらえなかったという話は、話としては知っていましたが、結果的に亡くなる三年前まで書いていたのですね。その三年間も、もう書かなくていいんだ!とドイルさん自身確信して過ごせていたのか、わからないですよね…(苦笑)
      ワトソンがいい人過ぎるというご感想も激しく同意です。
      私も、またいつかホームズチャレンジ再開しようと思いました。

      とつぜん長々コメント失礼いたしました。レビュー読んでました!とお伝えしたくて…。
      2023/05/30
    • yamaitsuさん
      akikobbさん、こんばんは!(^^)!

      私のつたない感想をずっと読んでくださってたのですね、ありがとうございます!私はコナン・ドイ...
      akikobbさん、こんばんは!(^^)!

      私のつたない感想をずっと読んでくださってたのですね、ありがとうございます!私はコナン・ドイルがここまでイヤイヤ(?)書いてたことは知らなかったのでびっくりでした(笑)

      あまりミステリは読まずに来たのですが、やはり読み継がれる名作、熱狂的ファンのいるシリーズだけあって、たいへん面白かったです。トリックやなぞ解き部分の面白さももちろんですが、やはりキャラクターの魅力でしょうね。

      akikobbさんも、ぜひ再チャレンジしてみてください!
      2023/05/30
  • ホームズシリーズ最後の短編。ワトスンの視点で語られるホームズは当たり前だが、ホームズが一人称の作品もあり新鮮だった。

  • ・短編12編を収める。
    ホームズの短編は、相棒ワトスン目線で語られるのが基本形。事件に対するホームズの捜査・推理を伝記のように記録するかたちだ。なのだが、この作品集には、ワトスン語りでないものが3編ある。「白面の兵士」「ライオンのたてがみ」の2編は、ホームズ自身が1人称で語る。「マザリンの宝石」は三人称の語り(いわゆる神の目線)。
    作者ドイルの意図はわからないが、やはり、ワトスンとホームズのやりとりが無いと、やはりなんだか物足りない感じがした。

    ********
    <以下、ネタばれ含む>※ご注意ください

    ***

    ・「這う男」の「真相」には疑問あり。ハヌマンラングールの血清で、人の動きが猿の様になるかいな? 当時の19世紀の科学では、通用したようである。

    ・「サセックスの吸血鬼」の「真犯人」は意外な人物(犯人が意外でないミステリーはないのだが)で、ちょっと切なく哀しいのであった。

    ・「三人のガリデブ」は、どこか「赤毛組合」に通じるものがある。ガリデブなる稀有な姓の人間に巨額な報償が与えられる、とされるのだが…。「赤毛組合」と同様の発想のヴァリエーションの感あり。

    ・「白面の兵士」は、ある病が鍵を握るのだが、自分も、パキスタンの辺境地域で同様の療養施設を訪ねた経験があるのを思い出したりした。また、物語の背景に、南アフリカのボーア戦争の時代が織り込まれて興味深い。ホームズの短編には、他にもインド植民地でのセポイの乱、クリミア戦争、アメリカ南北戦争などの現代史が書き込まれることも多く、ピリッとした感じ、リアリティを感じさせて魅力である。

    ・「ライオンのたてがみ」はドーバーの白亜の崖がひろがる海辺の地方が舞台。海岸の潮だまりで男が謎の死に見舞われる。この事件の真相、私は察しがついてしまった。わたし自身海の近くで育ち、かつて妹もその「原因」の被害に遭った経験があるからだ。

    ・「ヴェールの下宿人」は、事件ものとか探偵ものというより、むしろある女性の悲しい半生が印象に残った。「サセックスの吸血鬼」も同様な感じで、人間の哀しみをしみじみと残す読後感であった。
    そこで、ふと思った。作者ドイルは、探偵小説に飽き足らず、文学への希求、模索もあったのではないだろうか…と。

  • ○十年ぶりのシャーロック•ホームズ再読、1年かけて完了。

  • シャーロックホームズシリーズを読み始めたい!とふと思い立ちどれから読んで良いか分からずに手に取ったこちらはコナンドイルが亡くなる3年前に書かれた最後も最後の小説でした…笑
    映画やドラマは観ていましたが、シリーズものっていうそれだけでなかなか手を出せずにいましたが、こんなにもさらっと読み進められると知らず、もっと早くに出会いたかった!と思いました。
    今度からは順を追って読んでいこうと思います。
    面白かった!

  • 面白かった!これからもシリーズ読んでいきたい

  • なんとなく借りてみた緋色の研究にどハマりしてからここまで、長かったような短かったような...。ワクワクしたりドキドキしたりしみじみしたり、シャーロック・ホームズシリーズはめちゃめちゃ面白いです。とりあえずもう一周しようかな......。

    白面の兵士、ライオンのたてがみはホームズ視点。珍しくて面白いけど、やっぱり帰ってきてワトソン博士って感じ。

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著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2023年 『コナン・ドイル① ボヘミアの醜聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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