- Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334764197
作品紹介・あらすじ
呼吸器科の医師・折井綾乃は、患者を安楽死させた疑いで告発される。「最期のときは、長引かせないでほしい」-十八年にもわたって担当医を務めた、重度の喘息患者・江木秦三の願いだった。医師と患者という関係を超え、固い絆を育んできた二人。愛する者の思いを受け入れた彼女を待つ、過酷な運命とは?(表題作)。現役の法律家が実在の事件を元に描く、魂の物語。
感想・レビュー・書評
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映画を観たので読んでみた。最期のあり方を考えさせられる。
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映画を先に観終わっており、原作が後になってしまった。
結末、人物含めどっちがよいかと問われれば、映画だろうか。
短編については、なんとも言い難い。 -
小説として面白い
が、一医療者としての目線で読んでしまうと、
甘い!!
と思ってしまう。感情的なものに、目に見えない信頼関係に囚われてしまう医師の危うさったら。実際の現代の医療現場じゃ、ほぼありえない。
まず、このケースの抜管も積極的安楽死だと。実施前に院内の倫理委員会の開催は必須だし、複数の医師を含む、医療安全委員会がGOを出さなければいけない。ご家族への書面を用いた説明・同意の取得も必須だろう。
慢性疾患だからこそ特に。なぜ、それをこの医者は自分1人でやっちまった?
鎮静剤や筋弛緩薬の使用も然り。まともな看護師なら手渡さないでしょう。まともな薬剤部だったら払い出さないでしょう。なぜなら、人を殺しうるものだし、免許を失う可能性があるから。たとえ主治医と患者の信頼関係を知っていても。
上記のことが、物語にイマイチ入り込めない要因だった。勿論、終末期医療は議論の余地がたくさんあり、日本はまだまだだと思う。ただそれを語るには、余りにも、設定の作り込みが甘い。主治医のリスクマネジメントが甘い。検事の知識が浅い、浅すぎる。
沢山の判例がある現代だからこそ、もっと際どいところまで攻めて、高次の議論が必要と思う。
よっくんの話は、好き。
こういう女子の心情ってとってもメルヘンで、惹かれる。
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"映画にもなった「終の信託」ともう一遍の短編が収録されていた。
尊厳死、安楽死、医療の在り方、人間とは何か、人の幸せとは何か、法律はどうあるべきか?
様々な問いを投げかけられる物語。
二つの短編共に、国家権力である検察の取り調べ、調書取りが舞台の一つになっている。
自分がこの場に行くことがあったなら(行かないに越したことはないが・・)相当な前準備をしておく必要があると感じた。言葉の定義を明確にしたり、相手が求めるものが何であるかを明確にして、そのための問答を考える必要がある。恐ろしく厳しい場所だ。
この小説のような場所が実際であるのであれば、恐ろしい場所。" -
表題の一編は『命の終わりを決めるとき』の改題で昨年映画化された小説。患者の意思を汲み希望通りの死を実現しようとした医師とその事件性を捜査する検事のやり取りが大部分を占める。安楽死、尊厳死…判例に従い判断基準ができてきてはいるもののそれを実現するためには周到な準備が必要でありそこには人間関係のメンテナンスも含まれる。この小説の登場人物は皆何かしらの弱さを持っているが故に歯車がうまく噛み合わなかった。しかしながらその前提は極々自然な状況ではないか。苦しまない自然な死を迎える事のハードルの高さを再確認させられる。二編目もまた殺人を犯した者と検事のやり取り。共に実在の事件をモデルにしているという著者は「現役の法律家」だとか。
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尊厳死については推進派なのでこの先生のしたことは共感できるがやはりちょっとはやまったんじゃないか?と思いました。自分ならはやく終わらせてくれと思うけれども。でも合法になったら、保険金殺人とか沢山ふえそな気もします。
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安楽死問題を考えるまえに、検事の執拗な取り調べの怖さが
印象に残った。
殺人の罪を認めさすために、執拗な取り調べ、医師である綾乃への巧みな誘導尋問が本当に怖い。
本来の医師と患者の固い絆、愛?の部分の話がかき消されるほど、検事が恐ろしい。
”よっくんは今”では、逆に検事の被疑者を庇ういやらしさが
気持ち悪い。
現役の法律家である作者の作品だけに、実際の取り調べ調書は、このようにとられると思うと本当に怖い。
やっぱり、美人は得だね。 -
身内には一切相談せずに尊厳死を望む患者。
法律的、道義的な問題はさておき、医師が患者から尊厳死を託された場合、あらゆる状況を想定して患者を苦しめずに逝かせてあげるべき。
ところが担当医の折井は最後の最後に患者を苦しめてしまった(と思う)。
検察官は自分の功績を上げるため、尊厳死ではなく殺人罪を適応すべく折井を追いつめる。
さて折井の運命や如何に!..といったところで終幕。
完璧な人間など存在しない。
実際に起きた事件を元に書かれただけあって、とても生々しさが感じられる作品でした。 -
作者の意図なのかもしれないが、読み進むのが躊躇われる不快感を覚える話しだった。