トライアウト (光文社文庫 ふ 23-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334768836

感想・レビュー・書評

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  • 自分の思うまま、本当の自分らしく。
    そんな真っ直ぐに、純粋に、人生は生きられない。
    悲しいかな意外な人に邪魔されたり、また逆に優しい心で助けられたりする。どの時代、年代でも。

    それでもその中で自分を強く信じて味方になってくれる人が、1人でも(いや沢山がいいけど)いれば、自分の強い心を奮い立たせることが出来て、前に進めるのかもしれない。

    主に日常生活のお話だけど、非日常のエッセンスを振りかけた感じだったかな。

    しかし名言が沢山。付箋を付けるのが忙しかった。
    その中からおひとつ...。

    「人には、納得のいく終わりってのが、それぞれの形である。その終わりは、新しい方向へ向かうための終わりなんだ」

  • 「読んで良かった。」と、まずは一言。
    プロのスポーツが関係する物語で、その中でもプロ野球となると実在する球団名が使えないからか、架空の球団名で俄然非現実的になってしまうのが難点。
    しかしながらそれに関しては読み手を物語の世界に引き込む著者の手腕はかなりのものです。主人公をとりまく登場人物も丁寧に描かれていて、とりわけ主人公の息子の孝太くんのエピソードがとても素晴らしいし、そこまで持っていく伏線が見事でかなり感情移入してしまいました。
    シングルマザーの行末は?物語の落とし所は??と、考えながら読みましたが、最初から想定されてた結末ではない気がします。描きながら物語の時間軸の中で結末が決まった感があり、それはそれは違和感なく藤岡マジックで納得の結末でした。

  • シングルマザーの新聞記者、久平可南子。
    子供は男の子が1人…この息子の父親をこれまで明かさずにきた。
    息子の為どんなに辛くても仕事はやめない!
    周りに自分の本音は明かさず生きてきた可南子の前に、戦力外通告を受けたプロ野球選手、深澤翔介が現れる。
    彼との交流が少しずつ可南子の心を溶かし新しい道に導かれ始める。

    前に読んだ2作もそうだったけど、ところどころに心を突く言葉が散りばめられている。
    深澤の言葉がチクチクくる!笑
    頂点もどん底も知る人間の強みなのか深澤の人生の厚みがそのまま深澤という人間の厚みとなる。
    その厚みこそが彼の強さだなぁと思わされる。
    強い気持ちがあれば…覚悟があれば周りの人間にどう思われようと自分の人生を自分の足で生きていける!
    現実はそーうまくはいかない局面がたくさんあるけれど…なんか深澤からそんなメッセージを受け取った気がしてる。

  • 人が頑張れる理由は、ゴールという終わりがあるから。この言葉が響きました。
    ゴールを目指して頑張りたい、ゴールを気持ちよく終われるように生きていきたいと、思ました。

    人の死というゴールまで、いくつも小さな目標とゴールを作ってたくさん自分の納得のいくゴールを作り続けたいな、

  • シングルマザーの新聞記者・久平可南子は心に決めていた。息子のために仕事は辞めない。父親の名は誰にも明かさない。取材の折、彼女を見つめる戦力外通告を受けたプロ野球選手・深澤翔介。ふと気にかかり、インタビューを試みると、彼には可南子の秘密を知る素振りがあって…。仕事、育児、生きがい。今、前を向くことのリアルを、ひたむきな再起の物語に込める。

  • 『頑張る』ということは時に自分を追い込んでしまうことでもあるけれど、

    『自分は頑張っている』という気持ちが自分を強く生きさせてくれる。だから自分のために頑張れ。

    という主人公の言葉は、ほんとにそうだよなと思った。

    その場所で頑張り続けることと、こだわりを捨てて新しい場所に行くこと、どちらも大切で、その判断が人生そのものなんだよなぁと改めて思えた本だった。

  • 医療関係者が登場しない藤岡さんの本。プロ野球選手にそこまでしてもらえて、美人は得ですね。小学校2年生ながら年齢不詳に大人びている考太くんには頑張ってもらいたいけど、その年齢で将来性がそこまで分かるのかな?なかなかツッコミどころ満載の本でしたが、やっぱり読んで良かった本でした。

  • 「自分の頑張りに星をくれる人がいる。それだけで人は生きられるのかもしれない。」の『満天のゴール』でファンになりました。
    『トライアウト』は二冊目です。どちらも感動をくれました。

    新聞記者の平久可南子、息子の考太を取り巻くほとんどの人(一部ずるい人はいますが)が善良で温かい。特に担任の先生の台詞は、ちょっと素敵でした。

    シングルマザーとして不器用なほど懸命に生きてきた可南子は、妹・柚奈に「人生を楽しまないと」と励まされ、また、崖っぷちのプロ野球選手・深澤翔介との出逢いにより、人生を大きく動かされてく、魅力的なストーリーです。そして、読後は
    希望が湧き、爽やかです。

    「ひとは気持ちのある限り、どこまでも強く挑めるのだという想いが伝わってきたからだ。そうした想いは周囲の人間をもまた強くする。」

  • どんなに頑張っても過去を変えることはできないし、自分以外の人を変えることもできない。それならば、自分を見つめ未来を見つめて生きていく方がいい。まっすぐで誠実に毎日を過ごす魅力的な登場人物たちに、とても刺激をもらうことができた。

  • 終わりがあるから全力で生きられる。でも、終わりを決めるのは自分自身。生きることはなんで厳しい戦いなのかと。
    可能性を信じてあげること、そのための努力をできること。叶うならば、自分の大切な人達にその努力を認めてもらうこと。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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