- Amazon.co.jp ・本 (559ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334773915
感想・レビュー・書評
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上下巻かつ1冊が分厚いけど、読みごたえ満載なのでサクサク読めました!
薬丸岳さんの本で個人的に好きな作品上位にランクイン。
殺人の罪で少年院に入所した主人公:町田は、18年間戸籍を持たず「自分が生き残るためにできることは何でもやる」精神で生きてきた。
人並外れた知能指数を持ち、その能力ほしさに闇の組織からも執拗に狙われるが、町田自身は他人に関心なく我が道を行く。その人格形成や行動には少なからず生い立ちが関係しているのだろう。
町田目線での話は少なく、様々な人物が登場してどんどん物語が進んでいくから思わず集中してしまう。町田のもつ能力に興味を持つ者・嫉妬する者が物語を盛り上げる。水面下で動く闇の手から町田は逃れられるのか、味方はできるのか。
すぐに下巻が読みたくなる1冊。 -
超大作でした!東野圭吾さんの白夜行に近いノワール感を漂わせながら、薬丸岳さんの強みである少年犯罪の社会問題に加えたクライムサスペンス。
全体を通して、少年院を出てからの日常を淡々と過ごすIQ161神の子町田と、組織の立場として町田を呼び戻すように仕向ける雨宮を軸に、その周囲の人々の視点からも物語を進めていく。
前半の少年院〜学生起業はアップダウンが激しいだけに読み応えあった感じだったけど、最後のオチがちょっと収まりよくし過ぎた感じがあったかな。救えない感じの方が個人的には好みではあった。
とはいえ、ジェットコースターに乗っているかのような上昇下降はかなり楽しめた!薬丸岳さんの他の作品もどんどん読んでみたいと思う。 -
文庫本2分冊計1116頁というボリュームもさることながら、圧倒的な迫力を持った読み応え十二分のエンターテイメント。
少年法を主なテーマにする著者だが、今作は趣を異にする。
主人公は、IQ161以上の頭脳を持った、それでいて戸籍を持たない少年。
振込み詐欺の片棒、少年院への収容、そして社会復帰、目まぐるしく変わる境遇。
いつしか読者は、この少年の帰趨そして運命、さらに物語の行方に目が離せなくなる。 -
ちょっと残念
上巻の盛り上がりに対して下巻の最後がなんともいまいち
陰謀もの?
テーマは「仲間」かな
主人公はIQ161以上をもつ町田
上巻では、
戸籍を持たない町田は、振り込み詐欺など犯罪を犯しながら、学校も行かず、18年間を過ごします。
その振り込み詐欺の親玉が室井
室井が町田を取り込もうと、その手先を町田のもとに送り込みますが、結果、町田はその手先を殺し、殺人罪で少年院へ
少年院では、町田が唯一心を許していた稔に似た雨宮と出会います。
しかし、雨宮も室井の手先..
雨宮は町田を脱走させて、室井のもとに届けようと画策します。
そして、町田、雨宮、さらに振り込み詐欺をやっていた磯貝と3人で脱走を試みるも失敗
磯貝は事故で両手を失い、3人はばらばらになります。
少年院を退所後、町田は前原製作所にお世話になることに。
ここで、工場を経営する悦子、その娘の楓、さらに大学にも通い、大学では為井、夏川、繁村と知りあうことに。
町田、室井、重村、夏川で会社を立ち上げることになり、結果、工場の窮地を救うことになります。
一方雨宮は、室井の指示のもと、ホームレスに成りすまし稔を探します。
執拗に町田の周りを追い求める室井
なぜ、室井が町田にこだわるのか?
稔を見つけることができるのか?
室井の組織ってどんなに大きいの?
町田の周りの人間たちはどうなるの?
っという展開で下巻に続く! -
薬丸岳『神の子(上)』光文社文庫。これまでの薬丸岳の小説には無かった物凄い設定と上下巻で1,100頁を超えるボリュームに驚いた。主人公の町田博史は戸籍を持たぬまま18年間を過ごす。IQ 161以上という特異な頭脳を生まれ持った博史は振り込め詐欺集団の頭脳的な役割を果たすうちに殺人の罪を犯し、少年院に収容される。振り込め詐欺集団を操っていた闇社会の住人・室井は博史の特異な頭脳を目的に執拗に付け狙うのだが…兎に角、設定とストーリー展開の面白さに全く飽きることなく、上巻を読み終えた。しかし、上巻を読んだ限りでは、この先の博史の運命は少しも見えて来ない。やはり救いの無い物語なのか、それとも希望を見せてくれる物語なのか…早く下巻を読まねば!
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薬物ジャンキーな母親から生まれ、無国籍で育った少年。
しかし、実はIQ161以上を持っており、物心ついた時はその頭で生きてきた町田博史。その町田を欲しがる謎の闇の組織の男・室井。殺人で少年院に入り、脱走するが失敗。その事件後、社会に出た町田はある工場の家族のもとで居候することになり…。
おもしろかった~
町田を手に入れるために二重三重に網を張るとことか
後半の雨宮とスギさんの関係性とか
ちょっと奇人な天才繁村とか
でもって町田の変化とか…
わくわくしすぎてあっという間に読んでしまった!
下巻が楽しみすぎる~!
どうなるの~!? -
かなり凝った内容で、ページをめくる手が止まらなかった。
上巻は夢中になる。 -
上下巻通しての感想。
どんな犯罪に手を染めたとしても、人間らしい感情を知らなかったとしても、「人は変われるのだ」と物語は訴えてくる。
劣悪な環境で育ち、人間らしい生活を味わうことなく成長してきた「ひろし」。
行くつく先には犯罪しかなかった。
やがて殺人罪で逮捕され、少年院へと送られる。
そこで初めて、人として最も基礎となるアイデンティティー=名前を得る。
「町田博史」としての人生が始まったのだ。
しかし、町田を見出したムロイの町田への執着は並々ならないものだった。
少年院に手先を潜りこませ、町田への接触をはかる。
その手口は巧妙なものだった。
かつて、ただ一人、町田が心を許した相手・稔に似たキャラクターを演じさせた雨宮を送りこんできたのだ。
引きずられるように脱走を企てた町田は捕まり、再び収監される。
一緒に逃げた磯貝は事故にあい両手を失う。
そして、雨宮は町田とは違う場所へと移送されていった。
退所後、町田は様々な出会いを経験する。
前原製作所を経営する悦子、その娘、大学の友人たち。
ムロイの魔の手はけっして町田を諦めてはいなかったけれど、苦境に立たされてもそれを乗り越える力を町田はもう持っていた。
誰かと親しくなりたいと思う。
でも、どうしても見えない壁に阻まれて近づくことが出来ないことがある。
拒絶されているのかも・・・そう感じてしまうと、なかなか一歩を踏み出すことは難しい。
少々強引でも、町田の壁をぶち壊して乗り越えてきてくれた人たち。
その人たちが町田に人としてのあたたかさも優しさも、思いやる心も。
本当の意味でも強さも教えてくれたのだと思う。
人と人が関わっていく。
その過程でしか人間関係を学ぶことが出来ない。
いろいろな感情と出会い、自分の知らなかった自分と出会い、そして成長していく。
ラストに描かれている町田の姿にホッとさせられた。 -
描写で読ませるのではなく、ストーリーとキャラクターで読ませるタイプ。ぐいぐい来ます。
まだ下巻を読んでいないので感想はこれからですが、ひとつだけ。
楓ムカつく。