アンと青春 (光文社文庫 さ 24-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334777449

感想・レビュー・書評

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  • みつ屋での立ち位置が気になりだしたアンちゃん。自分はどうしたいの?このままでいいよね。いや、でも。仕事をするってどういうことなのでしょう。自分の「核」になるものが見つかったら人は強くなれるのだろうけど、そこまでの道のりは平坦なものではないですよね。たとえ「核」になるものが見つかったとしても、人って成長したい生き物だと思うから、そこがゴールにはならないと思うのです。結局、ずっと悩みながら働いていくのかもしれませんね……でも、大事なことは考えることをやめないってことのようです。

    飴細工にすらなれない「─自分は、永遠にアヒルなんです」とうつむく初登場の柏木さんです。夢は、教えてもらえない。何になりたいか、何になれば喜ばれるか、自分にはわからないと呟きます。でも、それってダメなことなのでしょうか。
    そんなにすぐに答えを出すべきものなのでしょうか。この世の中に柏木さんのように悩んでいる人は、たくさんいると思います。
    桜井さんがアンちゃんに語ります。
    「……なんか不安なのは、みんな一緒。私たちが劣ってるわけじゃない。追いついてないだけ」
    スタートする場所や時間が違うだけ……

    アンちゃんは、お店を訪れるお客さまをはじめ、たくさんの人たちと接していくうちに何気ない一言の奥に潜むその人の本音に気づくことになります。いろんな価値観に、常識、偏見、正義。それらはまさに三者三様でそんな声に右往左往してしまうこともありました。でも、自分の欲求のままにぜんぶ口に出して他人にぶつけるのは大人っぽくないとアンちゃんは悟ります。その声に出してしまった言葉のさきには、未来を担う子どもや風評被害となって傷つく人たち、誰にも言えない悩みを抱えている人などがいるのです。

    日本らしさは、包み込むこと。相手を尊重して、いいところはどんどん受け入れる。日本は受け止める力があると、乙女がアンちゃんに語ります。
    団子やお餅のように、もちもちで柔らかくてあったかくて、そして美味しい!そんな包み込む気持ちがみんなに広まればもっと素敵な世界になりますよね。なんと、和菓子の世界って偉大です。

    何だかずしんとくる物語のような感想を書いちゃいましたが、全くそのようなことはありません。
    美味しそうに何でも食べることを楽しむアンちゃんの成長物語に元気をもらえます。あと、和菓子は必ず食べたくなります。おまけにちょびっとラブの予感があるのですよ。何だかね、乙女が柏木さん登場であれよあれよと自滅していっちゃうのですが。
    「─甘すぎて、泣きそう」
    「甘酒屋の荷」を持て余す乙女よ、がんばれー。

  • 和菓子が食べたくなって第二弾も読みました。

    アンちゃん、相変わらずマジメですねー。自信がなくて、悩みも多く、青春真っ盛り。幸せを願うばかりです。

    「甘酒屋の荷」
    乙女な立花くんもやはり「男」 なのか。続きがありそうですね。

    さて、栗蒸し羊羹でも食べるか。

  • 今回はなんだか一癖も二癖もあるようなお客さんばっかりで接客業をやっていた昔を思い出した…。
    本人には悪気はないけど、寄り添い過ぎるとこちらも避難の目を向けられる、離れ過ぎると冷たいと叩かれる...距離感って難しい。

    何よりアンちゃんの成長が凄い。しっかり勉強してる!そしてタイトル通り青春もしてる!気がする...。
    今後の立花さんとの進展が気になる。柏木さんは今度も登場するのかな?

    蓬莱山ってお菓子聞いたことあったけど、実物見たことなくて検索したらお饅頭の中にお饅頭!?ちょっと凄い発想だな。あと色も凄い…。

    今回もお菓子を通じて沢山勉強になった。
    金沢も京都もまた行きたくなってきたな。

  • 前作よりだいぶ仕事に慣れて来た杏子。疑問があっても自分で調べる力が付いて来た。ただ今回は悩むことが多くなって来たようだ。杏子だけでは無く、先輩や同じ百貨店の同業者等々。その悩みの元や解消方法も和菓子でなぞらえた謎のようで、それが専門すぎて分かりにくく感じた。結局、「甘酒の煮」の意味は次回に持ち越されたということか?

  • アンちゃんが仕事にこなれてきて、周りと自分を比べて
    悩んだり落ち込んだり、元気になったり…

    若いころこんなこと考えている時があったなー
    大丈夫大丈夫、と何だか見守り目線で読んでしまった
    自分で考える力を持っているアンちゃんのこれからも
    丁寧に読んでいきたい

    作品の中で、様々なデリケートな話しが今回はあった
    考えるのは勝手 何でもかんでも口に出さないのが大人。
    口に出すのなら、時と場合や言い方、伝え方を考えるのが大人。という思いやりを忘れないでいたいなと改めて思った。

  • シリーズ2
    甘酒がぶ飲みしたい
    日本人らしいと感じた
    お茶とお餅を食べると落ち着くのは日本人だからだろう、一口サイズの和菓子に込められた古典作品は今も昔も変わらないものがあるようで今回も面白かった
    想像でこんな感じの和菓子なんだろなと思ってたが少し私には限界があるみたいで専門的なのが多かった気もする
    前作より立花氏がより乙女化にはなってた

    好きなフレーズ引用
    同じとこに生まれて同じ性格だってスペック違うじゃん。だからみんな平等じゃないんだよ
    だったら比べる意味ないですもんね
    甘酒は飲む点滴

  • 紹介文の通り、個性豊かなみつ屋のみんなやお客さんにまた会えた1冊でした。

    少しときが流れているのもあり、前回は仕事を覚えるのに一生懸命だったアンちゃんが、自分の仕事ぶりや将来について悩んでいることにすごく共感というか、アンちゃんがどれだけ真面目に仕事に取り組んでいるかを感じて胸熱でした。

    さて、乙女立花さんとアンちゃんの関係がどうなっていくのか。
    続編を読むのがわくわくです。

  • 待ち遠しかった続編。
    ちょっと間が空きすぎちゃって みつ屋のみんなのキャラクター忘れかけてたけど 読み始めたらすぐに思いだした。
    お久しぶりでした。懐かしい。
    久しぶりに会ったアンちゃんは 少しオトナになってた。
    前作は美味しそうな和菓子とほのぼのした人間関係にほんわか癒されたけれど 今作はどれもちょっと切ない話。どこか他人ごととは思えなくて 胸が苦しくなるような。

  • うわぁぁぁぁぁー
    最後の最後で続きが気になりすぎるーーーーー

    は…早く次の作品をバタッというくらい三作目を読みたくてたまらなくなっている。

    和菓子屋さんの日常の中でおこる謎解きはもとより、恋模様(…だよねこれは!?)がどう動くのか…次の本はまだ手元にすらないのに、早送りで読み飛ばしたい衝動に駆られて悶絶中。

    杏ちゃんと師匠が、人同士の関係性を深めていく過程もとても素敵だなと感じた。

  • 椿店長 最高ですね。

    なんでも 株に つなげるところが 最高です。

    ぜひ 外伝椿店長 お願いします。
     
    追伸
    最近 あんどーなっつの再放送があり
    和菓子職人の 世界。
    併せてみると 裏と表で 何倍も 楽しめました。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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