- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334785840
感想・レビュー・書評
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更科の蕎麦はよけれど高稲荷 森を睨【にら】むで二度とこんこん
狂歌
そばは江戸、うどんは関西。そんなイメージが強いが、関西でも、農山村では古くからそば食文化があったらしい。豊臣秀吉も、そばがきが好物だった。
岩崎信也の著書によると、東京の老舗そば屋「砂場」は、ルーツをたどれば豊臣秀吉に行き着くという。創業は1584年(天正12年)。秀吉が大坂(阪)城築城を始めた翌年であり、そこで働く人々の食堂として、そば屋が誕生したそうだ。
「砂場」という、そば屋としてはユニークな店名である理由も、そこに関係している。城を築くには、砂利などの置き場が必要になる。けれども、築城後は砂置き場は不要になり、跡地は新町として整備されることに。そば屋は引き続きそこで営業し、のち、江戸に進出し、今日に続く名店となっていったのだ。そばを江戸独特の食文化と思い込んでいた私には、目の覚めるような話でもある。
さて、江戸のそば屋全盛期のころに創業したのが、「更科」。色の白い上品なそばで知られ、現在も人気が高い。掲出歌は、それを素材にした狂歌。更科そばは、味は良いが値段が高い。森(盛り)の具合を睨みつつ、ふところと相談して…泣く泣く、二度と「来ん来ん」。稲荷の連想から狐の鳴き声を持ってきた、しゃれた歌である。
ところで、北海道最初のそば屋は「東家」。小樽や函館で開業した後、釧路で店舗を増やしていったという。その歴史や系図は著書に詳しく紹介され、発見が多い。
年越しそばの日まで、あと少し。
(2012年12月16日掲載) -
蕎麦が好きなので、読んでみた。
砂場、更科、藪が、名門の系列であることは知っていたけど、
一茶庵も、名門の系列になるとはしらなかった。
これを参考に、行ったことのない蕎麦屋に行ってみようと思います。 -
読んでいるうちに腹が減ります。蕎麦が食べたくなる。
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「蕎麦屋の系図」というタイトルから、老舗の蕎麦屋を並べて語られているものかと思えばそれはもちろんですが、
著者が「時代が移れば必ず新規の趣向が顔を出す。その事情はそば屋においてもいささかも変わらない」と肯定してその一端も紹介しています。
蕎麦の文化から主な蕎麦屋の系列の説明、ニューウェーブの蕎麦屋?といった現在の趣向の意見まで、蕎麦全般についてあまり深入りせずに、簡単に見るにはコンパクトで読みやすいと思います。
初めまして、初心者でコメントに気が付かず失礼しました…! 食べ物から語る文化史が好みで、この本はまさに◎。
(北...
初めまして、初心者でコメントに気が付かず失礼しました…! 食べ物から語る文化史が好みで、この本はまさに◎。
(北の文学にもコメント、ありがとうございました!)
神田の「やぶそば」、古書店めぐりにあわせて何度か行ったあこがれのお店です! ニュースで知り、ショックでした…小樽の名店「藪半」...
神田の「やぶそば」、古書店めぐりにあわせて何度か行ったあこがれのお店です! ニュースで知り、ショックでした…小樽の名店「藪半」さんも、関係のあるお店なのでしょうね。
「東家」さんの系譜は、実は私もこの本で初めて知りました。コメントありがとうございます!
色々な側面から見ると、思わぬ発見があって面白いですよね。。。
色々な側面から見ると、思わぬ発見があって面白いですよね。。。