うなぎ女子 (光文社文庫 か 67-1)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334790523

感想・レビュー・書評

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  • あーなるほど、こういう流れなんだね。読みやすい。それぞれ悠市絡みの女子が出てくる、女子通しは顔見知りではなくて、たくさんあるんだね人生模様が。そのうなぎ屋さんが舞台で、さりげなく同じ時間ですれ違ったり、最終的に悠市は浮気出来ない人の道を外せない、全然黒い所がないんだね。出だしで悠市の悪人が出されて自分も脳に情報入ってしまい判断出来ない、ラストで真逆の人柄を知りました。ともみと一緒に暮らす為に奥さんと別れたんだね。ともみが若いうなぎ職人って所もサプライズで、全部の女子見てたんだ。ともみの母があの人かい

  • うなぎと一人の男性を巡る女性たちの物語。
    この男がめちゃくちゃ腹が立つのだけれども、物語が続くにつれて、どうしてこんなことになってしまったのかわかるという仕掛けがうまい!

    美味しい鰻が食べたい。う巻にうな重、白焼き、時間がかかるし、高いもんなぁ~。

    わが家では私しか鰻を食べないし、食べるならきちんとしたお店のものが食べたい。

    「きのう何たべた」で紹介されていた上野のうなぎ屋さんに行きたいなぁ。コロナがなければ(T_T)

  • あ~うなぎが食べたい!
    表紙のうなぎが美味しそう。

    とある一人の男に縁深い、五人の女たちが集う『まつむら』。
    人生の決断を迫られた彼女たちのそばにはいつもうなぎがあった。
    (裏表紙より)

    うなぎを最後に食べたのはいつだろう?
    特売していたスーパーの蒲焼きが最後かな。
    ここ数年はうなぎ屋の暖簾をくぐったことがないような気がする。

    値段もうなぎ登り、どことなく敷居が高いので、私にとってはやはり特別な日に食べるご馳走。
    お店によりタレの甘さやしょっぱさ、
    焼くのか、蒸してから焼くのか、
    職人さんの腕など、様々が混ざりあい、蓋を開けたときの香りや口に頬張ったときの感激が違う。
    まあまあだねとなるのか、思わず目を見開いてしまうのか!

    第五章 うな重 のママのセリフが印象的。
    「今日は特別な日だ。うなぎを食べよう。そういう決意があってから食べる。いつもは胃袋を満たせばいい。けれど、うなぎは違う。心を満たすために食べる。」
    「だから、子供には必要ない。子供の心には、大人みたいな隙間がないからね。いやなことは、いや。大声を上げて泣けば済む。満たすのはおなかだけでいい。」
    「だけどね、大人は隙間だらけだ。いやなこと、知りたくないこと、受け入れたくないことばかりで、心が冷えて縮んでしまう。泣いてもわめいても、現実はおろか、気持ちさえ変えられない。だから、ときどき必要なんだよ。心をいっぱいにしてくれるごちそうが」

    五人の女性を繋ぐ、とある男のだらしなさが、山椒ほどピリリとせず、うなぎの甘じょっぱさと似ているのかな。
    こういう男に振り回されたくはないが、うなぎを食べる機会になるならまあよしとするか。
    もちろんお会計は男の分も払うはめになるんだけど!

  • 鰻を愛して止まないもので、タイトルに惹かれて手に取りました。
    タイトルの印象とストーリーに、ギャップが有り過ぎる。良い意味でだけれど。

    ある鰻屋さんを舞台にした一人の男に関わる女たちの話。

    信じきれなくなった女の話が切ない。
    そして、小道具としての鰻の使い方が良い。
    あの鰻はこの鰻。
    あの人にとってのあの鰻と、この人にとってのこの鰻。
    すれ違いが悲しい。

    最後まで読んで、思わずもう一回の話に最初に戻ってしまった。

  • 連作五編
    権藤佑市の素が章を追う事に見えて面白かったです。
    うなぎ食べたい〜

  • *お不動さんの参道にあるうなぎ屋「まつむら」。そこにはとある一人の男に縁深い、五人の女たちが集う。売れない俳優と同棲する女、大学教授と見合いをする女、ベストセラーを夢見る女、「太るから」うなぎが嫌いな女――。人生の決断を迫られた彼女たちのそばにはいつもうなぎがあった。
    甘くてしょっぱい、うなぎのように濃厚な連作5編を収録*

    題名から、明るくて元気が出る女子たちの奮闘記?みたいなお話をイメージしていましたが、違いました。

    文調はからっと明るめでテンポ良くさくさく読めますが、お話が進むにつれ、大人ならではの言えなかったこと、聞けなかったこと、目を逸らしてきたことが陰を差します。わかるけど、あと一歩、あと一言で状況は変えられたのに…とヤキモキさせられる展開がニクい。

    無理矢理ハッピーエンドに結び付けないラストと、ともえが「今日も心をいっぱいにしてくれる大人のごちそう」を焼くシーンが心に残ります。

  • うなぎにまつわる5人の女性の話。
    それぞれ別々の話かと思いきや、どの話も権藤という男が出て来て、物語が進む。
    全部の話を読むと、1話で出て来る人やエピソードが繋がります。

    話を重ねるごとに権藤のイメージが変わる…笑子のお土産の件は誤解されたままなのでは…。
    ちゃんと説明すればいいのに、と思ったけどあえてそうしない理由があるのかな。

    どの話も読み終えたあとは前向きな気持ちになれます。
    この方の本は初めて読んだけど、一人一人のキャラが特徴的で人間らしい。

  • お不動さんの参道にあるうなぎ屋『まつむら』。そこには、ある一人の男に縁深い五人の女たちが集う…。人生の決断を迫られた彼女たちの側にはいつもうなぎがあった。甘くてしょっぱい、うなぎのように濃厚な連作集。
    読後はやっぱりうなぎが食べたくなる。ここぞと気合いを入れたい時、人生の岐路に立った時、滅入った気持ちを再起動したい時、何より幸せな気分になるのがうなぎである。本作はストーリー構成が、鰻のようにつかみどころがない不可思議さが巧い。

  • お不動さんの参道にあるうなぎ屋「まつむら」。そこにはとある一人の男と縁深い、5人の女たちが集う。うなぎのように濃厚な連作5編を収録。

  • お不動さんの参道にある、うなぎ屋「まつむら」。
    店先で職人さんたちがうなぎを焼く庶民的な店。店内にある年季の入った4人掛けの木製テーブル4つは、いつもお客さんで埋まっている。
    その「まつむら」を舞台に描かれる5人の女たちの物語は、章の名前からして「肝焼き」「う巻き」「うざく」「うなぎの刺身」「うな重」とうなぎ三昧。5人の女たちは、「まつむら」と一人の男・権藤佑市を通してゆる~く繋がっている。

    第1章で描かれる佑市は、20年来の同棲相手である笑子に経済的に支えてもらいながら売れない役者を続けている、なんとも調子のいい浮気男という印象。二人の別れ話が、20年通って来た「まつむら」での思い出とともに描かれる。
    第2章の加寿枝は高1の頃、佑市に告白して振られた女。
    第3章の史子は、かつて佑市とその友人・正とルームメイトとして暮らしていた。
    第4章の佑菜は、栄養失調でバイト先で倒れ運ばれた病院で佑市と出会った。
    そして、第5章のともえは・・・。

    読み進めていくにつれて、次第に変わっていく佑市の印象。嘘つきでいい加減で、浮気な男が、実は誠実で不器用でなんとも魅力的な男に変わる。
    最終章ですべてが明らかになった時、思わず第1章に戻って読み直した。あ~そういうことだったのか・・・。
    そして、この別れがなんとも切ない。

    佑市の母が言っていた言葉
    「ときどき必要なんだよ、心をいっぱいにしてくれるごちそうが」
    それが、うなぎ。美味しくて、ちょっと特別で、心を満たしてくれる食べ物。大切な人のとびっきりの笑顔を見ながら、うなぎを食べたくなりました。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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