殿中 鬼役(三十一)

著者 :
  • 光文社
3.44
  • (3)
  • (5)
  • (8)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 63
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334791353

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 将軍の毒味役である御膳奉行・矢背蔵人介は、幕臣随一といわれる田宮流抜刀術の達人であり、密命により幕臣の不正を断つ暗殺役という裏の顔があります。

    【色無き風】
    矢背蔵人介は、江戸城中で若年寄・遠藤但馬守胤統が、元宇和島藩士・糸川小十郎に命を狙われた所を助けます。これは、宇和島藩の特産である干鰯の金肥の囲い荷を行っていた、宇和島藩伊達家の留守居役・稲森重綱と御用商人の干鰯問屋・堺屋八十吉などによる不正の……。
    ――― 蔵之介が、伊達家の留守居役を守ろうとする旧友と斬りあう所では、ハラハラしました。

    【国芳受難】
    浮世絵師・国芳の危難を蔵之介が助けた事がきっかけで、出羽山形藩6万石を治める秋元家の不正をただします。大奥の表使・磯山、御広敷用人・戸賀崎新十郎を大奥で蔵之介が成敗し。妖術遣いの紅花問屋・冬木屋治平、秋元家の紅花奉行・村地主水を……。

    【去り行く者】
    海防策のため江戸、大阪の大名、旗本の知行地を取り上げ、代替地を与える「上知令」を進める老中首座水野忠邦を助けた蔵之介は、上地令で儲けようとする公儀勘定奉行・井出沼内膳、熊野屋七右衛門を……。
    ――― 蔵之助が、上知令に振り回された若侍と、その病弱の母、目の悪い妹を助けるくだりが身につまされます(涙)

    【読後】
    勧善懲悪で、テンポがよく、斬りあいが多くて面白いです。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ※シリーズ
    「暗殺 ― 鬼役」シリーズの30作目
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4334790771
    「大名 ― 鬼役」シリーズの29作目
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4334790151
    「黒幕 ― 鬼役」シリーズの28作目
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/433477945X
    「公方 ― 鬼役」シリーズの27作目
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/433477900X
    「金座 ― 鬼役」シリーズの26作目
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4334778429
    ※鬼役シリーズの25作目以前は、ブクロク登録前に読みました。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    殿中 ー 鬼役シリーズの31作目
    2020.12発行。字の大きさは…中。2021.03.17読了★★★☆☆
    色無き風、国芳受難、去り行く者、の短編3話。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    2022.09.11修正

  • 2020年12月光文社文庫刊。書き下ろし。シリーズ31作目。色無き風、国芳受難、去りゆく者、の3つの連作短編。老中水野忠邦失脚までの話に蔵人之助が絡む。いつもの流れとは少し違う行動をとる蔵人之助が面白い。随所に救いが多いのも楽しい。

  • 鬼役31巻目。
    今回は珍しく志乃さんがたくさん出てきて
    普段とまた違う面白さたるや
    上役との騒動やらなんやら、まだ全然終わりそうにない

  • 三十巻より先に読んでしまった
    舞台が大きくなったようなきがする

  • 坂岡真氏の「鬼役」シリーズ、剣豪の矢背蔵人介の活躍が大好きである。

    3話からなる。
    「色無き風」
    武者修行の地で、知り合った剣友の桑子半左衛門から30年も続く絵文と和島特産のロウソク1本が、蔵人介の元に届くところから、話が始まる。
    宇和島の干鰯は、金肥と言われて綿花を育てる肥料で、和泉の国や大阪商人からは、どうしても欲しい納屋物である。
    その利を貪りたい者達。
    火盗改与力やその長官、商人の堺屋八十吉、宇和島藩の重臣 稲盛重綱・・・
    蔵人介と桑子が、酒を飲み交わした見世で、山鹿素行の言葉から禅問答のような話になる。
    大事のためなら小事には目をつぶらねばならない・・・
    それは忠義なのか?
    2人の剣の凌ぎ合いに、ハラハラドキドキ・・・そして、直心影流が、蔵人介の胸へと・・・・。
    最後の最後で、自分の信念を覆し、武士として義に殉じる覚悟。
    桑子からの絵文で、出家した事が、わかるのだが、本当に、どちらも、非があるわけでないのに闘いをして、命を落とさずにいた事に、良かった!と、胸をなで下ろした。

    「国芳受難」
    志乃さんと蔵人介の着物の色柄も著者は、詳しく描いていて、素敵なお召と、うかがわれる。
    水野忠邦の改革で、江戸と大坂の十里四方を持つ大尿と大身の旗本の領地の一部を返上させるというものであるのだが、・・・
    落ち度もないのに領地を替えられるなんて、武士だけでなく、領民の反発も
    しかし、国芳への風紀粛正で、やって来た鳥居耀蔵の配下の者と十手餅の安次郎を、コテンパンにやっつける志乃さんに拍手!!!
    強い!蔵人介は、ヒヤヒヤものだけど・・・
    そして、国芳の絵のがん料の紅から、紅花問屋の不正が、・・・
    大奥から御広敷用人迄…汚い賄賂を取っていたのだ。
    塵箱集めの爺に扮した蔵人介が、戸賀崎を割腹したように、成敗する所なんか、藤田まことの必殺仕事人を思い出してしまった。
    志乃さんの紅花奉行をやっつけるシーンも、スカッとと、してしまった。

    「去り行く者」
    印旛沼の開墾にあたって、材木問屋の熊野屋。
    そして、水野忠邦の命を狙った刺客を退治した蔵人助は、命を狙われてしまう、
    熊野屋が、浪人を集めているという所へ姿を変えて潜入するだが、反対に捕まってしまう。
    蔵人介を助けるために、命を投げ出した、渋木直四郎は、片腕を切り落とされる。
    なぜ水野忠邦の命を狙うのか?
    上知令で、家慶との密約の場に居た2人。
    鳥居耀蔵と井出沼内膳。
    上知令を撤回されれば、一蓮托生で、地位が、落ちてしまう。
    蔵人介の井出沼内膳への心の臓への鉄箸の一刺し。
    本当に、必殺仕事人!
    忠邦は、自ら引退。
    しかし、左腕を亡くした渋木家は、お家復活ヘ。

    今回は、正義を貫いた者達が、命を落とさずに、良かった!
    一気に読んでしまった。

  • 鬼役が優しくなった?

  • 第三十一弾
    絵文を交わす友、剣を交える時二人の胸中は
    恩ある秋元家の危機に、義母志乃の活躍、国芳の絵から紅花、御金蔵破りの泥棒まで
    老中水野を助けたことから逆に狙われ、養子と同じ年頃の刺客に興味を持ったことから老中の失脚に立ち会い 、策謀した裏切りに鉄槌を

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

坂岡真
一九六一年、新潟県生まれ。十一年の会社勤めを経て文筆の世界へ入る。江戸の情緒と人情の機微、そして花鳥風月を醸し出す筆致で、多くの読者を魅了している。主なシリーズに「鬼役」「鬼役伝」「帳尻屋始末」「帳尻屋仕置」「照れ降れ長屋風聞帖」「はぐれ又兵衛例繰控」「死ぬがよく候」「人情江戸飛脚」などがある。

「2023年 『うぽっぽ同心終活指南(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂岡真の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×