入婿 鬼役伝(三) (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334794071

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  • 将軍の毒味役「鬼役」の矢背家初代の物語です。

    鹿島新當流の遣い手で膳奉行支配同心の伊吹求馬(もとめ)は、三月前までは千代田城の中之門を守る持筒組の同心であったが。剣の腕を見込まれて老中秋元但馬守喬知(たかもと)の推挙により、二百俵取りの旗本、膳奉行・矢背家の志乃の婿候補となる。婿候補には、他に風見新十郎がいて競わされている。膳奉行は、鬼役といわれ秋元但馬守から密命が下される。

    【鳩殺し】
    千代田城の軒下の鳩の巣を撤去しようとしたら、本来檜で修復していなければならない所が杉で修復されていた。修復をした材木問屋伊丹屋吉兵衛と差配した作事奉行坪内刑部の悪事が露見した。伊吹求馬が調べて行くと黒幕の甲府藩次席家老、宇治原遠江守正義へたどりついた。

    【龍の涙】
    薬種問屋の隠居治兵衛は、2才の凛を拾って九年育ててきた。凛が、琵琶湖をのぞむ比良の山々で暗殺剣を修行する比良一族三人衆のひとり持国に攫われた。狙いは、凛がもつ水晶玉の「龍の涙」である。凛の母は、八瀬の首長家、志乃の姉であった。志乃は、江戸で凛を探していた。

    【比良の男】
    比良一族三人衆の二人目、下り酒問屋の池田屋庄介を倒した伊吹求馬は、鵺といわれる比良一族の最後のひとりにむかっていく。あろうことか志乃の婿候補である風見新十郎であった。求馬は、新十郎を倒し、志乃の婿となり鬼役として千代田城へ向かう。

    【読後】
    三作目で婿入りを争っていた風見新十郎を倒し、伊吹求馬は、矢背家に婿入りし鬼役となった。これで伊吹求馬が矢背求馬となり矢背家初代の物語が終わり。次は、初代鬼役としての物語がスタートしていくのか? 次作が楽しみです。
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    入婿 鬼役伝シリーズ3作目
    2022.08発行。字の大きさは…中。2023.01.08~09読了。★★★☆☆
    鳩殺し、龍の涙、比良の男、の短編3話。
    図書館から借りてくる2023.01.04
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    《鬼役伝シリーズ一覧》
    04.従者
    03.入婿 2023.01.09読了
    02.師匠 2022.02.03読了
    01.番士 2021.09.07読了

  • 本編32巻、外伝がこれで3冊目。
    本編の主人公の矢瀬蔵人介の養父母である求馬と志乃の物語。本編では隠密的な働きを志乃は知らなさそうであるが、外伝では志乃が先導している。また薙刀の達人として志乃が描かれているが、外伝では蔵人介の妻の得意とする弓矢を志乃が得意としている。何か混乱してしまう。
    養父の求馬は探索も思慮も浅く、上田秀人氏の描く若い主人公に近い。周囲からの助けによって成長していく。志乃の婿候補として弱いが、出来すぎる候補でも困るようだ。タイトル通り婿の座を射止めるのだが、これからも本編と並行して書かれるのだろうか。本編に出てこない猿婆の最後もあるのだろうか。

  • 2022年8月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ3作目。鳩殺し、龍の涙、比良の男、の3つの連作短編。ようやく求馬と志野やそれを取り巻く事情にも慣れて来た。矢背家の因縁に関わる悪人たちが凄まじい。それを相手にする求馬、志野、猿婆の活躍も凄まじい。盛り過ぎの感もあるものの坂岡さんの真骨頂の展開。次も楽しみになって来た。

  • 求馬と志乃による矢背家始まりに至る話。先代の鬼役夫婦は熱い熱い

  • とにかく言えることは、

    ”地獄から戻ってきました”と猿婆の言葉に、ふっと笑うとともに安堵しました。
    生半可じゃない、あのすごさ、求馬でなくとも驚きを隠せません。

    不死身とは、ああいう人間をいうのではないだろうか。

  • 当て馬の風見さんって、そういう人だったのねー。

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著者プロフィール

坂岡真
一九六一年、新潟県生まれ。十一年の会社勤めを経て文筆の世界へ入る。江戸の情緒と人情の機微、そして花鳥風月を醸し出す筆致で、多くの読者を魅了している。主なシリーズに「鬼役」「鬼役伝」「帳尻屋始末」「帳尻屋仕置」「照れ降れ長屋風聞帖」「はぐれ又兵衛例繰控」「死ぬがよく候」「人情江戸飛脚」などがある。

「2023年 『うぽっぽ同心終活指南(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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