十号室

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910402

感想・レビュー・書評

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  • 鉄筋4階建て、8世帯の暮らすコーポ中里。
    亡き叔母の後に、十号室に暮らすことになった詩乃は、在りし日の叔母の秘密を知ることとなった。

    先入観なく手に取り読んだので、まさかのミステリーで驚かされました。
    各部屋の住人の目線で語られる各章で、謎に近づき、解明する感じが面白かったです。

    それぞれの母の愛が招いた悲劇。
    悲しい事件でした。

  • 初読み作家さん。
    奇しくも読み終えたばかりの東野圭吾の赤い指と通ずるところあり、文章もとても読みやすく、気持ちの入り込める作品でした。
    他人は他人、そう思えない人のなんと多いこと。
    そして、無遠慮な物言いをする人。
    こういう本を読んで、自分の襟は正していかないといけないな。

  • うなぎ女子に続いて2冊目です。ひとりひとりの心情を丁寧に描いた作品で、特に女性の感情をうまく書いてるなあと感じながら読みました。読みやすくてあっという間に読んでしまい、また読みたいなと思いました。

  • 濃密と希薄。裏腹が混在一致し形成される村社会。なんともアンバランスな中を上手く折り合いを付けて誰もが生きて行く。その誰もがそれぞれの幸せを求め、散らばり、混ざり合い、傷つけ合い、手を取り合う。この四階建てのアパートは小さな村社会でもあり、今の世の中の縮図にも思えた。それにしても、この静かだけど骨のある文章好きだなぁ。

  • 4階建てのコーポ中里。
    十号室に住んでいた伯母の森下悠子。
    彼女に部屋を遺された姪の詩乃が辿る悠子と住人の物語。
    口数の少ない悠子だが、住人それぞれに思い出があり。なかなか読み応えがあった。
    悠子の言葉が印象深い。
    「幸か不幸かなんて勝手に決めるのは無礼だと思いますよ。その人の人生はその人だけのものなんです」

  • 加藤元。初めて読んだが、なかなか良かった。それぞれの人がほんの少し勇気を出して、真実を言っていれば。10号室の子どもが亡くなるのは避けられなかったとしても、10号室の彼女が死ぬまで苦しむこともなかったのかと思うとやりきれない。
    物語は10号室の女性が亡くなり、その姪が部屋を譲り受け、そこに暮らし始めるところから始まる。10号室の女性には、20数年前に子どもが行方不明となった事件があった。
    彼女は高校の元教師であり、なんの面白味もないような人物だと周りからは思われ、実際人付き合いもほとんどしてこなかった。そんな彼女にも裏の顔(良い意味で)があり、人間らしさを持ち備えている人物であった。
    ラーメン屋で出会った教え子と恋人関係になり、子どもを授かったのだが、1人で育て、時期にその子が行方不明となる。彼女が死ぬまで、結局は見つけることができなかったのだが、それを姪である女性に託す。
    彼女の生き方を思うと切なくなった。また、周りの人たちがほんの少し勇気を持って正直に事実を告げることができたらと思うと悔しいやら、悲しいやらで、やりきれなくなった。

  • またまた新しい加藤元さんです。
    また別の顔の加藤元さんを読みたい。

  • 何気に取った本。住民の色んな人生模様が面白い。

  • 内庭に枇杷の木が植わっているアパートは、全部で8つの部屋がある。そこに住んでいた10号室の住人が亡くなった。近所付き合いが濃厚なアパートだったが、その10号室の女性は付き合いもなく魔女みたいな雰囲気だった。そんな魔女の部屋に、姪という若い女が住み始めた。濃厚な近所付き合いに遠慮すればいいのに、参加をし住民たちの話を聞いていく。



    なんというか、最初の若い夫婦の章を読んでいるときに「あれ?私、これ読んだことある気がする」と思った。だけど、私の記憶の引き出しの中には話の展開とか結末とか印象的なシーンとか見つからなくて読み進めた。
    最初は、仲がいい住民同士だけど、その腹の底では重く暗いものを持っていて、それが暴かれる的な「人が1番怖いよね」的な話かと思った。しかし、読み進めていくとそうじゃなくて、昔そのアパートで行方不明になりその後見つからない子どもの話に。まぁ、犯人のおばさんの家庭内事情はなんとなく最初の時点でお察しってかんじだったが。


    たぶん、これって嫌ミスの部類なんだろうなと思うのだけど、今まで読んできた嫌ミスより全然後味がいい。亡くなった叔母さんも救われただろうし。あと住民もどことなく息がちゃんと出来るようになった感もあるし。良かった良かった。


    2020.6.6 読了

  • なんか救いが無いですね…

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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