世界が赫(あか)に染まる日に

著者 :
  • 光文社
3.48
  • (15)
  • (43)
  • (58)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 354
感想 : 63
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910747

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いじめ加害者らに私刑をする少年2人組のお話。

    少年という不安定な精神と友情と正義にもやもやしつつも2人は私刑を実行していく。
    日本のいじめ加害者には手厚く税金をかけるが被害者にはその何分の一程度の税金しかかけないといった理不尽な社会であることがテーマでもある。

    まったくそのとおり。
    とても同感できる内容ではあるが・・・どうもまとまってない一冊に感じる。

  • いじめの描写がとにかく胸が悪くなる内容で、読み続けるにはある程度の覚悟が必要だった…。
    でもきちんと復讐まで読みきって自分を納得させないと!と思い読破。
    復讐の内容もかなりヘビーで暴力的なのだけども、なぜいじめの暴力はこんなに怒りが湧くのに、復讐の暴力だともっとやれという気持ちになるのか。
    正当化する理由さえあれば、人は暴力的になってしまうのかな。
    復讐系の話はいつも最後に本命を残してから行うので、邪魔が入ったり途中で復讐の無意味さに気がついたりで完遂できないものも多いけど、今回もそんな予兆がありながらもきちんと?復讐がなされてたのはほっとした。やっぱり因果応報を求めてしまう。

  • 引き込まれた。夢中になって読んだ。話の設定が面白いし、文樹と櫂の関係性が面白かった。著者の、世界の切り取り方や道徳観やSNSについての捉え方などにはとても共感できる。文樹の、生きていても意味がないけれど死ぬことにすら意味がなくなった時の絶望感にも同調できたし、世の中には死んでもいい人間や死んだほうがいい人間がいる、という考え方もまったくその通りだと思った。総じて、文樹に感情移入できたのがこの本をここまで楽しめた理由だったと思う。正直、自分の鬱憤ばらしのために人をイジメで苦しめるような奴等など死んでしまえばいいと思っているし、殺されて当然だと思っている。櫂はこの物語の良心でありストッパーでもあったが、その生ぬるさが時に疎ましくも感じた。結末も含めて、もっともっとハードに徹した作品だったら、この上ない傑作となっていたに違いない。
    でも十分に面白かったです。櫛木さん、すごいです。

  • 目には目を。
    暴力には暴力を…
    これは許される事なのだろうか。


    加害者に甘い国。
    それでいいのだろか。

  • いとこがいじめの被害を受け、体に障害をおわされた恨みをはらすべく、復讐を誓った櫂は同級生の文稀を誘い、復讐することに。まず失敗のないよう、他のターゲットを練習台とする。
    話は面白かったし、現代の闇である「いじめ」や「少年犯罪」などを扱っていて興味深かったのだが、制裁を加える描写が生々しく、最近心が弱くなっている私としては個人的に受け付けない描写もあったので★を減らしました。

  • 復讐ってどうなの?
    気持ちはわからなくはないが、実行に移したら人間としてどうなのよ? と思ってしまう。
    頭の中で復讐するだけにして、関わりを持たないが一番なんじゃないのだろうか。

  • 暴力的で人をいためつける描写は読むに耐え難い。前半はしょうがないとしてもやはりこういった流れになるのかと救いのないお話に気持ちが反れていってしまったのは非常に残念。
    櫂の生き方は非常に人間的でここを否定してしまう文桸が猟奇的なのかもと思ったが一番悲しみを心にたたえていたのかも。櫂がそばにいてくれることを知って目覚めてほしい。と希望的観測を残すラストももどかしいが。

  • 復讐は正義か、悪か。
    テーマとしては今さら感がなくもないけれど、重いテーマの割にさらさらと読めた。それは少年2人の友情の物語としての側面があるからかも知れない。

    同級生らに暴行され昏睡状態となった従兄弟の復讐のため、少年法に守られた加害者たちを次々と襲撃する中学生カイとフミキ。
    カイは小学生の頃から野球を続けてきたスポーツマン。一方のフミキは複雑な家庭環境で、15歳の誕生日に自殺すると決めている孤独な少年。まったくタイプの違う2人が契約を結び、復讐計画を進めるなかで、徐々に距離を縮め、やがて友情が芽生える。
    花火や夏祭りの夜店でカイと一緒に〝初めて〟を経験するフミキの姿は、全編通して漂う重苦しい雰囲気を少しだけ和らげる。

    復讐の物語だから仕方ないけれど、暴力のシーンが結構多く、しかも具体的。苦手な方はご注意を。
    そして、以前『チェインドッグ』を読んだ時も思ったけど、この作者さんの含みを持たせる終わり方は好き。

  • こういうひどいいじめで人を傷つけておきながら、たいした罪に問われず、生きているやつも多いのかも。
    私刑はいけないけど、もし自分の子供が被害者になってしまったら、やり返したくもなるよなぁ。
    少年院とか入ったとしても、やっぱり何も変わらないものなのか?前と同じく人を平気で傷つけるのかしら?
    未成年だからって必ず更生する可能性があるとは限らないと思うけど。

  •  いじめに遭い寝たきりになった従弟を持つカイは復讐を誓う。また、自分の人生に失望し、15歳の誕生日までには自殺しようと思っていた文稀。2人が夜の公園で出会い、カイの復讐に文稀が協力することになり、2人の狩りが始まり・・・。

     いじめの加害者に復讐することで、結局は自分も加害者になってしまう。もし、後遺症を残すような怪我をさせてしまったらと思うと二の足を踏んでしまうような気も。結局は負の連鎖になるようで、何が正解なのか正直わからないが、自分の身内が被害者となったならば、そんな綺麗ごとも言ってられないような気もする。
     ただ、エグイ描写もあるので、そういうのが苦手な人は手にしない方がいいかも。

全63件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

櫛木理宇の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×