下北沢であの日の君と待ち合わせ

著者 :
  • 光文社
3.58
  • (9)
  • (20)
  • (18)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 187
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914394

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 30年前の若かりし頃の自分と今の自分を比較する。
    若い頃は目の前に見えるモノしか見えていない。
    お金もないしお腹もすぐに減るし世の中を巧く渡る知識もない。
    プライドだけは高く劣等感にいつも苛まれている。いつかきっと、と夢の明かりを常に灯しながら。

    同年代の女友達と共に過ごしたオンボロアパートでの暮らしぶりは優雅とは程遠い。風呂もないしトイレは共同。家具だって拾ったものだし食べものだってありあわせ。大人になった今なら絶対にそんな暮らしに戻れない。
    けれど巧くいかず落ち込んだ時は共に憂さを晴らし、悲しい時には共に泣き嬉しい時は共に笑う。相手に非があれば注意もするし叱りもする。
    そんな若さが羨ましい。

    あれから30年。
    いいことばかりでもない。後悔もたくさんある。
    けれどあの頃の記憶があるから今がある。
    あの頃の思い出があるからがんばれる。
    自身の”あの頃”にいつまでも浸っていたくなる物語だった。

  • 懐かしい気持ちと切ない気持ちが心から溢れ涙を流しました。
    いま一度、青春を振り返りたい中年世代にオススメの一冊です。

  • 1967年生まれの理夏。19歳の頃バイトをしていたパン屋さん「アンゼリカ」が閉店すると聞き、30年ぶりに下北沢を訪れた。コーポ服部で過ごしたバイト仲間の秋子、元住人のちはるとの日々は楽しい時間だったが、やがて秋子に恋人ができ、すれ違い、バラバラになってしまい・・・・・・

  • 服飾関係の専門学校に通うため上京した理夏。
    女優を夢見て劇団で活動している秋子。
    理夏が住むことになるコーポ服部の前住人のちはる。
    それぞれが将来に悩みながら、共に時を過ごし、ある出来事をきっかけにバラバラになり、30年後に再会することに。

    なんか、せつないお話でした。

  • 下北のパン屋「アンゼリカ」。かつてそこでバイトしていた二人。30年ぶりの再会。あの懐かしく、若く、無責任だった、けど、それなりに一所懸命に生きていた日々を思い出す。

    タイトル通り、ノスタルジーの塊です。私も下北に通っていたクチなので、とても懐かしいです。今の、変わってしまった駅前は、下北とは思えません。すみません、オヤジの愚痴です。

  • 初読み作家さん。
    まさに年齢的にドンピシャなので、色々思い出しながら読みました。
    寮生活や寮を出た友だちのアパートに泊まりに行ったり、くだらないことで笑って怒って落ち込んで。
    銭湯も行ったし、酷いことも人に発してた。
    あれからずいぶん経つけど、あの頃の友だちとはほとんど疎遠になって、それでもいい思い出だなぁと感じています。
    読んで良かった。

  • 1980年代、バブル真っ只中の下北沢が舞台にした女3人の友情物語。思い出したのが新橋烏森口青春篇。

    不器用で危うい暮らし。収入は不安定で乏しく、食事も睡眠も不規則不安定、横行する詐欺まがいに引っかかり、男に騙され、それでも夢と若さと体力で毎日を乗り切っていく。

    全力でぶつかった若い日の日々は、実となり傷となり自分の心身に刻み込まれ、栄養や味わいになって自分を形成していくんだなと。そこには効率とか数値化とかではないものがあって、俺たちにはそういうものも絶対必要なんだなと思えた。

    歳をとってしまった今では、ノスタルジーを味わうしかないのかも知れないが、俺たちにもギラギラでフワフワで危うく輝いて生きた時代はあってんな

  • 図書館で借りたもの。
    ごめんね、って言えばよかった。言えなかった――。実在した人気パン屋「アンゼリカ」を舞台に、下北沢に30年在住の著者が描く過去と今。80年代の下北沢の空気感を愛する大人の読者へ向けた、ノスタルジー溢れる青春小説。

    昔の生活を知るのが好きだから面白かったなー。
    朝ドラみたいな感じで。

    若い頃に住んでた場所って思い入れあるよね。
    わたしも久しぶりに亀有に行きたいな。

  • 下北沢の閉店したパン屋「アンゼリカ」を舞台とした小説。閉店時に行列が出来ていたことを思い出す。
    物語はフィクションだが、バイト先として登場。同世代の主人公たちの銭湯通いなど、懐かしい時代の物語。青春とは淡くてかけがえのないもので、少しの掛け違いが人生の岐路にもなる。閉店時に集まる仲間の人生の経過も、またそれぞれ。
    同級生とか、ある一時期を過ごしただけで無条件に相手を信用できるのは何故だろう。長年の付き合いならわかるが、会わなかった友にも時を超えて接することができる不思議。たぶん、自分に関わった人に悪いのはいない、と思いたいのか。利害を共有していたからか。損得のない関係性は貴重だと感じた。

  • 何て不器用な人たち!
    理夏も秋子もちはるも、
    どの人とも、私は友達にはなれんなあ。

    でも、ちょっと離れたところから、
    不器用な友情をみていたかった、いつまでも。

    そんなこと無理だとわかっていても。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

神田茜(かんだ・あかね)
北海道帯広市生まれ。1985年に講談師の二代目神田山陽門下に入門、95年に真打に昇進。2010年『女子芸人』で第6回新潮エンターテインメント大賞受賞。著書に『フェロモン』『好きなひと』『ふたり』『ぼくの守る星』などがある。

「2014年 『しょっぱい夕陽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

神田茜の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×