一心同体だった

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334914677

感想・レビュー・書評

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  • mixiの「薄汚い自意識」のくだりで笑ってしまった。めっちゃわかる。
    自分をどうかっこよく見せようか試行錯誤していたあの頃。

    全然仲良くないのに18歳で子供ができた同級生のことをたまに思い出し、子供の年齢を計算して「もうこんなに大きくなったのか。」って思うのもめっちゃわかる。
    ちなみにその子供に会ったことは一度もない。
    あれ、なんなんだろう。

    中学生の頃って他人からめちゃくちゃ外見をチェックされていたし自分もめちゃくちゃ他人の外見をチェックしていたなと思い出した。
    ヘアゴムの色とかヘアピンの角度とか靴下の種類とか、サブバッグのブランドとか文房具のおしゃれさとか…。

    大人になってみればくだらないことでもあの頃は一生懸命だった。

    小学校、中学校、高校とその世代ならではのそれなりに辛いことはあるんだけど、大学に入学して「あれ、なんかよくわかんないけど男子の言うこと聞かなければいけない感じ?」みたいな違和感からぐっと辛くなった。
    女子校時代楽しく撮影していた北島は、やりたくもない女優をやらされ、ちはるは縁もゆかりもない夫の地元で結婚し、絵里はあんなに情熱を持って仕事をしていたのに妊娠・つわりを機に退職する。

    でも、最後女性たちがフェミニズムと出会って光が差し込んだ感じが希望を持ててよかった。

    最後、千紗が昔の友達のフルネームを記憶にある限り列挙していく中で裕子の名前も美香の名前も全く挙がってこなかったのが「うわぁ〜っ!」って思った。

    章ごとに作文、日記、友達への手紙、台本、過去の自分への手紙、Twitterなどいろんな方法で友達との関係を表現しているのが面白かった。

  • 最高に面白かった。
    少女から大学くらいまでは、そんな感じだったんだーと女子の生態を学び、
    後半の女性になってからは胸が締め付けられるシーンが多く、なんて住みにくい世の中なのか考えさせられた。82年生まれキムジヨン、フェミ彼女に通づる内容だった。

  • 女子特有なのなかな?女子あるあるでまた煩わしさ的なものも感じてちょっと心苦しさもありながら共感できてしまう。

  • 山内マリコさん作品記録14

    大好きな山内マリコさん作品。
    装丁も可愛らしい刺繍で絶対に読みたいと
    ずっと気になっていました。

    全8話、8人の女子のストーリーが
    ロンド形式でつながっていくという
    構成が良い。

    わたしは今年29歳なので
    世代ぴったり!という訳ではないけれど
    自分も小4の時こう思ったな、とか
    これからの人生でこう思う瞬間が
    あるんだろうな、
    とか気付いたらまるで物語の主人公のような
    気持ちで読み進めていました。

    夫婦別姓制度、わたしの母も
    わたしが結婚する頃には整ってるんだろうなと
    思っていた。ってこの前話してくれたな。
    実現はしないまま、 
    2年前の春に違う苗字になった訳だけれど。
    …そういうことだよなあと思ったり。

    『一心同体だった」
    読み終わった後にタイトルが
    腑に落ちるというか
    一人じゃないなって
    何となく強い気持ちになれた。

    女子みんな読んだほうが良いよ!と
    心から思った作品でした。

  • 40代前後の女性に読んで欲しい本。
    クラスのヒエラルキーのどこに位置するか気にすること、昨日まで仲良かったこと急に話さなくなること。
    あんなに仲の良かった地元の友人と疎遠になること。
    誰もが経験したことあるような、若かりし頃の原体験を思い出させて、もう一度整理していくような追体験。自分にとっては大切な一冊になった。

  • 敬愛する山内マリコ先生の新刊、絶対読まねばと思っていた一冊。装丁も美しくて手に取るだけでしあわせ。

    かつての私、そして今の私が本の中にいた。
    自意識にがんじがらめになっていた10代、異性からの好意に囚われていた20代の前半、前時代的な地元や親を疎ましく感じていた20代後半、そして社会から離れて子育てしている現在。

    最後のエピソードはいまの自分に近すぎて息がつまりそうになりながら読んだ。最後に成長したあの子が出てきて思わず涙が。何度も読み返したくなる。

    わたしも母から「手に職を」と言われ続けて育ったけれど、その背景にまで考えが及んでいなかった。自分が届く最大限でできることを与えてくれていたのだと改めて感じることができた。
    前の世代の女性たちが繋いできてくれたことを自分も次の世代の女性たちのために繋げられるようにできることを考えていきたい。

  • わたしたちのロンド。
    わたしたちはゆるやかに回り続けている。手をとって、手を離して。

    女の子たちの30年間の記録。
    振り返ると彼女たちはてんでバラバラで、考え方も境遇もまるで違っている。
    でも彼女たちとわたしたちは繋がっている。女だという一点で。
    わたしたちが手を取る理由はそれだけで十分。
    わたしたちは一心同体だったね。

  • 小学生のエピソードが一番よかった。

    結婚式は、そこまで悪くはないとも思う。

    つながっていく面白さもあると思うけど、最初の主人公のその後も気になる。

    ところどころ、共感できたり考えさせられたりする箇所もあり、読んで損はなかったと思います。



  • 途中まで面白かったのに、
    終盤のフェミ主張がきつかった。
    希望を書きたいんだろうけど、文句にしか聞こえなかった。

  • 本書の紹介文は意図的に誤読させるものだとおもう。「全八話、それぞれの年代の女子の友情が、ロンド形式でつながっていく、わたしたちの平成三〇年史。」
    たしかに一見すると「女子の友情」が描かれるのだけど、全八話に通ずるのは時代への告発と、「わたしたち」=女に限らず平成に生きた全てのひとたちの30年史ということだ。読み進めていくなかでだんだんと先鋭化してくる核の部分は、女子の友情を通してみせる、平成の時代のリアリティと人間の生き様だ。
    性差別、経済格差。社会に苦しまされ、声を上げてきたひとびと。いまへと続く時代。
    平成の記憶を描き遺す、わたしたちへの弔いと未来への希望。

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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