アンチェルの蝶

著者 :
  • 光文社
3.81
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本棚登録 : 133
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927912

作品紹介・あらすじ

劣悪な環境から抜け出すため、罪無き少年は恐るべき凶行に及んだ。25年後の夜。大人になった彼に訪問者が。それは、救いか?悪夢の再来か。

感想・レビュー・書評

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  • また今作も凄かった…
    何が?って主人公と幼馴染の過酷な子供時代が(*_*)
    これだけ悲惨な子供時代に、同じような仕打ちを受けていた3人が唯一無二の存在になるのは当然だと思う。
    三人三様の毒親…いやもう鬼畜です。゚(゚´Д`゚)゚。

    おすすめ本にはできないわ…
    一人で読んで一人で消化しないと…辛い…

    それが遠田作品です(>人<;)

    はい!わかって読んでます。

    そしてラストがどっちなの?
    え〜っ!ここで終わり?
    ちょっとやめてよ遠田さん。゚(゚´Д`゚)゚。


    • ゆーき本さん
      鬼畜…こ、怖い…:(•ㅿ•`):
      「ドライブインまほろば」を買ったまま まだ読んでないんですが…こちらも心が折れますか??
      鬼畜…こ、怖い…:(•ㅿ•`):
      「ドライブインまほろば」を買ったまま まだ読んでないんですが…こちらも心が折れますか??
      2023/02/04
    • みんみんさん
      ゆーきさん♪初めまして(^ ^)
      心は折れるかもしれません…笑
      ラストは救いの光がさします!
      ゆーきさん♪初めまして(^ ^)
      心は折れるかもしれません…笑
      ラストは救いの光がさします!
      2023/02/04
    • ゆーき本さん
      ありがとうございます(*¨̮*)
      今 読んでいる本の次に読もうかなぁ!
      ありがとうございます(*¨̮*)
      今 読んでいる本の次に読もうかなぁ!
      2023/02/04
  • クライマックスの熱量の高さでいったら、今年一の作品かもしれない。そして、ラストの場面でタイトルの真の意味を理解した瞬間、私は泣き笑いしていた。

    想像するに衝撃的であろう秘密を内包したまま、展開される物語は、一貫して重苦しく、痛々しい。
    決して気楽に読める作品ではないが、男性目線と女性目線、共にリアルに捉えた表現や描写が素晴らしく、遠田さんの作家としての凄さを感じた。

    読者側から見れば、もう少し視野を広げて観ればみたいに、安易な考えをしてしまいそうだが、25年前の思い出が、あまりに三人にとって、素晴らしいものであるが故に、拘り、縛られてしまい、様々な勘違いや悲劇を生み出していく、負の連鎖は、筆舌に尽くしがたい辛さがあり、物語の中で「藤太」が、「言いたいことは言うべき時に言わなければならない」と後悔した一文が思い出される。

    ただ、それを責めることは私には出来ないと思う。子は親を選べないとは、よく言ったもので、親が子にどれだけの影響を与えるのかを、なぜ親はもっと真剣に考えられないのかという思いは、この作品でも実感した。

    しかし、その中でも「藤太」は、自分がどうしようもない人間と自暴自棄に思いながらも、「ほづみ」に対しては、自らの心の歪みの原因である父親のような生き方だけは、絶対にしたくない思いで、醜態を曝しながらも、毎日をなんとか食いつないでいく。その姿に胸を打たれた。

    救いのないような展開の中で、最後の最後、藤太が報われるであろう瞬間は、真実かどうか、はっきりしていないが、それ自体は問題でなく、初めて、藤太が自信を持って前向きな気持ちになれたこと。
    この自らの癒やしこそが、ラストに繋がっていることを実感した時、私は本当に嬉しかった。

    25年前で止まっていたのは、罪の意識の重さだけが、頭を占めていたから。今後、それ自体が消えることはないけれど、自分を必要としてくれる人の存在で、未来のことを考え始めた藤太の心の中は、きっと僅かな晴れ間がのぞいたのだろうと思う。

    物語で登場する、ドヴォルザークの「新世界より」は、ちゃんと聴いたことがなかったのですが、これを機に聴いてみたくなった。藤太が美しいと思った、その景色を私も見てみたい。もちろん、カレル・アンチェルの指揮で。

  • デビュー作以来、読み逃したくないと注目してきた遠田潤子さん。

    読み始めると苦しくて、でも頭を支配されて止められない、そして読後のものすごい虚脱感と満足という謎の感覚が毎回味わえる。

    という訳で読後、いつも感想を軽々しく書けないうちに日が経ってしまう。

    読書記録を見返していて、読了したのに、またもや感想を書き忘れていたことに気づいた。

    細かい筋のことはいい。
    やっぱりすごかった。
    そして、軽々しくお勧めすることは出来ないけれど、間違いなく力のある作家さんを知っているぞと密かな喜びに浸るという時期だったはず。

    体力気力のある時でないと駄目だ、とまた思った。

  • とてつもなく重くて、悲惨で、壮絶で、でもせつない。
    向き合うのに精神力が必要だった。

  • 初めて読んだ作者の本。
    読んでいる間、どんどん気が重くなってきた。
    低空飛行がずーっと続いているような話で、読んでいて気分が上がらない。
    半分くらい読んで斜め読みになってしまった。

    主人公は父親から継いだ居酒屋を営む男性。
    お世辞にも繁盛していると言えず、きれいな店でもない、その居酒屋に幼馴染の弁護士の男性がやって来る。
    久しぶりに会った彼は小学生の女の子をつれてきて、しばらく主人公に面倒をみて欲しいと言い、大金と一緒に置いて行ってしまう。
    少女はかつて主人公が愛した女性の子供だと言う。
    さらに、女性は亡くなったのだとも。
    その後、弁護士の男性は火事にあい行方不明に。
    少女と主人公のぎこちない2人暮らしが始まる。
    そこから徐々に、主人公と幼馴染の二人とのなれそめや昔に起きた事件について描かれていく。
    やがて、店に少女の父親だという男が現れてー。

    主人公の男性にイライラする。
    あまりに考え方や行動が後ろ向きで低調すぎる。
    25年もあったのに・・・。
    何故、その間に一度も愛した女性を探そうとしない?
    彼女が万が一帰ってきた時のために最初の目標であった居酒屋の改革をしない?
    何のためにあんな事件を起こしたん?
    また、事件後の経緯がちゃんと書かれていないから、まだ10代だった3人の男女がどうやって成長していったん?と思う。
    丁寧に描いているのは主人公の頭の中で、それ以外はおざなりな所が目立った。

    また、3人の間に過去に何かあったらしいというのは読んでいてすぐわかるものの、それを出し惜しみしているように中々すぐに書いてないというのも読んでいてイライラした。
    読んでいてその部分に惹きつけられる、だから読み進めるというのとは全く反対の感覚。
    それは無意味な引き延ばしに思えた。

    この本ではある場面が心にひっかかった。
    それは主人公が恵まれていると思っている、弁護士の女性と主人公の会話。
    彼女はエリートで、主人公から見れば確かに恵まれた人だけど、この物語で悲惨な人生を送っている女性に嫉妬している。
    何に価値観を置くかで、大体の人が「可哀相」と思うような人でもある人には羨むような存在だったりする。
    同じように自分を卑下している主人公の事を羨む人もいる。
    私は弁護士の女性に好感をもった。
    彼女は正直だし、言っている事に共感できる。
    それに対して、主人公は斜め、斜めに物事をとらえてすねている様子が見ていて嫌だった。

  • 辛くて辛くて読みながら気持ちの持って行き場のないくらい切なかったです。それでも読む手が止まらず一気読みでした。遠田さんの作品は、子供たちの不幸さが半端なくていたたまれなくなります。誰もが、小さな頃の不幸から逃れられなくて苦しんでいる。境遇で全てが決まってしまうことはないと信じたいですが、そこでしか生きていけない子供たちの悲哀がどっぷり描かれていて、どうにも出来ない自分が腹ただしくなるくらいでした。最後の描き方は、どちらとも取れるのでしょうが、私は未来が見えた結末だと信じたいです。

  • 74大阪市港区での友情と毒親との葛藤のお話し。誰もが平等ではない宿命を背負って悩み傷ついて出口の見えない闘いを続けている。ちょっと救いのないストーリーだったが、グランジュテで飛んだ少女に希望を授けたい。

  • 読み進めやすいが、少し安直な結末。
    傷ついた女性の内面描写が拙い

  • 母に3歳で捨てられ、父に殴られ、勉強もできない。
    それがこの本の主人公の藤太。
    劣悪以下の環境で、ここから抜け出すため、藤太と同じような境遇の秋雄とふたりで、ふたりの親と、やはり同じような、境遇のいづみの親を焼き殺す。

    その後、3人はバラバラになり、会うこともなくなる…
    なのに突然、秋雄の前にいづみが3歳の女の子を連れ現れた。事情がある、この子を預かってほしい、と。

    そして更にあと、今度は秋雄が藤太のもとにいづみの娘のほづみを連れ、事情がある、預かってくれ、と。

    藤太は、もちろん戸惑い、それでも自分の生きられなかった子供時代を、ほづみを通して経験していく。
    それは、藤太にとって思いがけず楽しい経験になっていることに気づくのだった。
    大切な存在がいることで、人は頑張れる。

    最後は一気に話が進みすぎて混乱する。きっちりラストは描かれていないが、どうなったんだろう。

  • 読み始めて3時間ほどで読了。初めて読む作家さんで、文章は読みやすいけど、中身は重い。本当に重い。久しぶりに小説を読んだ感じがした。アンチェルの音楽を聴いてみたくなる。
    2017.10

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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