- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334928216
作品紹介・あらすじ
高校の写真部を舞台に、女子高生たちが構えるカメラに写るのはともだち、コンプレックス、未来、そしてミステリー。
自分の容姿に自信がもてないミラ、クラスの人気者カオリ、「わたし」というしがらみに悩む秋穂、そして誰とも交わろうとしないシズ。
同じ高校の写真部に所属する4人は、性格も、好きなカメラも違うけれど、それぞれのコンプレックスと戦っていた。カメラを構えると忘れられる悩み。しかし、ファインダーを覗く先に不可解な謎が広がっていて……。
少女たちは等身大の自分を受け入れ、その謎に立ち向かう!
感想・レビュー・書評
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「カタカナの魔術師」という称号を捧げたい、相沢沙呼さん!
『午前零時のサンドリヨン』、『ロートケプシェン、こっちにおいで』では
魅力的なマジック用語を交えながら、高校生たちの声にならない叫びを
それこそ魔法のように鮮やかに描き出していたのが印象的だったのですが
この本では、高校の写真部を舞台に、タイトルはもとより、
各章のタイトルにも写真用語のカタカナをあしらって
カメラのファインダを覗き込みながら自分を見つめ直していく少女たちを
男性作家とは思えない筆致で描いています。
どうしたって親友のようには可愛くなれない、と自分で自分を追いつめて
好きな男の子の前でも自然に笑えないミラを描く「コンプレックス・フィルタ」
「わたしらしさ」がわからなくて、自分には日の当たらない場所が似合うと
諦めてばかりの秋穂を描く「ピンホール・キャッチ」
いじめられていた中学のころの自分と訣別するために創り上げた
お洒落で可愛らしいキャラクターに罪悪感を抱くカオリを描く
「ツインレンズ・パララックス」
優秀な子しか受け入れてくれない両親の期待を背負い、写真を続けたい自分を
出来損ない、失敗作と責め、進路に悩むシズを描く「ペンタプリズム・コントラスト」
カクカクとぎこちなく転がるような、カタカナの写真用語と
上手にからめて描かれる謎と、コンプレックスの鎧。
レンズを通ってからファインダーに届くまで、何度も何度も反射を繰り返す光のように
あちらにぶつかり、こちらにぶつかりしながら
想いが届くまで、伝わるまでもがき続ける少女たちがいとおしい物語です。 -
2020/12/20読了
#相沢沙呼作品
高校写真部の女子たちの青春もの。
短編でそれぞれの視点で
抱く悩みや葛藤を描いている。
こういう本気系文化部ってのも
なかなかイイな。 -
ファインダー越しに覗く校舎。屋上。窓から見える、吹奏楽部の子たち。頭上の桜の木。眼下の影。十代の目に映る景色の瑞々しさが甦る
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女の子たちの日々の小さな悩みや些細な出来事。ずっと遠くなってしまったけれど、私だってそんなことに一喜一憂してました。
連作短編集で、章が代わるごとに目線が代わり、友人から見た彼女たちの悩みを客観的にも見られひとりひとりの日常に愛おしくなるような思いを抱かされます。
さらっと読めてしまったのだけど、じっくりと読み込んでみてもよかったのかもしれない。でもやっぱり遠い昔・・・かな。 -
ミステリを咀嚼し消化し溶かし込んだ青春小説。
この作家は「ミステリ」という方便にこだわらなくても、もっといろいろ書けるのではないだろうか。うまい。よくできた連作短篇であり群像劇。
『コンプレックス・フィルタ』『ピンホール・キャッチ』『ツインレンズ・パララックス』『ペンタプリズム・コントラスト』
カメラ用語になぞらえたタイトルを持つ四篇。
高校の写真部に所属するミラ子、秋穂、カオリ、シズの四人が、ときに主人公となり、ときに脇に廻りさまざまな役割を演じる。収録された四篇のパートが各人の内面を深く掘り下げているので、それぞれが影響し合い、『ココロ・ファインダ』という大きな物語の中で四重奏のようにハーモニーを奏でている。
特に最終話で四人の想いが文字通り「絡まる」シーンはグッときたし、あらためてうまいと思った。
始めは女子高校生の青春ストーリーが生々しく、ひりつくような痛みが伴い読み進めるのがつらかったが、第二話の半ば位からグイグイ面白くなってきた。
高校卒業から遠く離れ女子ですらない我が身だが、思春期のアノ何とも言えない感情は、年代や道具立てや性別が違っても共通するものだと再確認。
相沢沙呼さんって男性なんですよね。本当に「女子」を描くのがうまいなぁ、と思うのですが、実際の女子のみなさんはどう感じているのでしょうか。 -
高校写真部の女子部員4名の青春を綴った連作物語。
心に引っ掛かる謎解きが終わると、あたたかい気持ちになる小説です。
カメラの仕組みの解説も心の動きを説明する役に立てているところなんか憎いですね。
こんなさりげなさで、普通の事を書いているように見えますが、女子高生の心がうまく描かれていて、どの作品もキラキラしています。 -
ミステリーというよりも、女子の友情物語に近い。ミステリーは軽いが、繊細な心の描写に男ながら、胸が一杯になった。みんないろいろな、一言では言い表せない悩みを持って学校生活を送っている。
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あ~~ウマイなあ!!っていう感じ!
高校生のころの考え方や人間関係ってこんな感じだよね!
と読みながらあの頃に戻ったようでした
主要登場人物のエピソードが一編づつあるという形態大好きです
ミステリ要素も本当に良くて相沢先生は
そのうち大きな賞を取りそうだな~って思います -
高校生、写真部のミラ、秋穂、カオリ、しず
それぞれの四編からなる作品。
自分らしいってどんなことなのか、自分を知りたくて
自分を確かめたくて、十代は声高に生きる。
かと思えば沈み込む。実に難しい年頃だ。
あの楽しくて面白くて、だけど憂鬱で腹立たしい
あの頃を思い出す。
十代の女の子が、かつて十代だった女性が、
読むと共感と反感の混ざり合った,
どうしようもない塊が現れて涙を誘う。
私は、あの頃と今の塊を鷲掴みにされた。
相沢氏が男性だということに納得がいかないなぁ。
どんなファンダーから覗けば、こんな風に見えるんだろうか。わかりすぎだ。
質問
これ、タイトルから内容をイメージして、ドンピシャリ!なんですか?
それと...
質問
これ、タイトルから内容をイメージして、ドンピシャリ!なんですか?
それとも、読んでから、タイトルを顧みてグッとくるのですか?
実は私、超弩級のメカ音痴で、目次で章のタイトルを見ても
なにがなんだか、さっぱりわからなかったのです。
本文を読むうちに、ほう...
実は私、超弩級のメカ音痴で、目次で章のタイトルを見ても
なにがなんだか、さっぱりわからなかったのです。
本文を読むうちに、ほうほう、こういうことなのか!と感心しながら理解していったので
まさに「読んでから、タイトルを顧みて」という感じでした。
それでも、カメラの仕組みなど、哀しいかな、わからない部分がいっぱいあったので
ああ、誰か理系の人、解説して!と心の中で叫びながら読みました。