三月

著者 :
  • 光文社
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感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928988

感想・レビュー・書評

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  • 過去未来に振り回されず今を大切に。

  • 始まりは少し違和感、というのも夢の話とか死んだ人の話から始まるから。
    でも、読み進めるうちに、その亡くなった人が残された人に与えていた影響、そして登場人物たち同士が与えていた影響、それが直接話したり一緒に行動したりしたことでなくっても、なんらかの形で存在が影響していることが見えてくる。
    学生時代からずっと連絡とってない者同士が、それぞれの目的は違っても同じ方向に向かいたいと思ったとき、それは他人に流される形であっても、足を向けることができる、、物語的だというとそれまでだが、時としてそういう流れもある気がする。

  • 偶然、3月11日の今日読んだ本にあの大震災が出てきたので吃驚した。
    短大時代に友達として親密な時を過ごした女性達5人。それぞれに様々なことを経て、40代になった彼女達がまた繋がり、再会する。
    私にも有難いことに旧くからの友達が多勢いるので、その存在のかけがえのなさ、彼女達と過ごす時間の楽しさを身に沁みて共感できる。20歳の頃からアラフォーの今まで、良いことも挫折も色々な経験をしてきて、でもそういう友達を支えに前を向いて進んでいけるということ。生きている以上は生きていこうということ。
    今日読めて、良かった。

  • 今のところ、大島作品に外れなし。

    順風満帆に見える人間でも、みんな紆余曲折あるわけです。
    そこを表現するのが巧い。

    仕事に生きてマンションまで買い、犬と幸せに暮らしている人は失業に悩み
    稼ぎのいい夫と可愛い娘と幸せに暮らしている人は夫の浮気(浮気じゃなく本気だと啖呵を切られたわけだけど)に悩み
    誰もが認める美人でお金持ちのお嬢様は、長年の恋に破れ
    いつまでも仲良し夫婦で通っている女性は、共通の友人の自殺に夫が絡んでいるのじゃないかと疑心暗鬼していたり
    夢をかなえてアメリカで役者として成功している女性は、じつはそんなことは全て嘘で、挫折と失敗を繰り返しながら日本に帰る勇気もなく一人で暮らしていたり。

  • 彼は本当に自殺だったのか?から始まったのでミステリー要素があるかと思いきやほぼ無し。一本の電話をきっかけに短大時代の仲間が集い、卒業後の20年をそれぞれが振り返っていく。変わらないね、私達もそう思うしそう言い合いますが、変わらないわけもなく。確実に刻まれる年齢と経験の皺。そんなのを一気に飛び越えてあの頃に戻れる貴重な時間。震災に絡めたラストには少し違和感もありましたが、それぞれ、本当にそれぞれの年月を経た今とこれからが幸せであるように…作品中の同年代の彼女たちへ…心からそう願います。

  • 装丁に惹かれて手に取った。
    色彩がいい、変形サイズなのもいい。
    読み終えて、装丁者に感謝したいと思った。
    読んで良かった小説だった。

    四十代を迎えた女性達についてのオムニバス。
    彼女達は同じ短大の友人だけれど、今も連絡を取っていたり疎遠だったりとまちまち。
    そこを再び結びつけるきっかけになったことは、拍子抜けするほど軽い扱い。
    謎解きに近い話になるのかと思っていたのでそれには驚いたが、すぐに気にならなくなった。
    彼女達の背景は、正直なところありがちだ。
    失職、夫の浮気、しっくり来ない夫婦関係…。
    しかし、途中から物語が現実に絡まり出す。
    三つの大きな現実の事象が関係して来るのだ。
    その使い方が非常に上手い。
    扱うのに覚悟の要る事柄だけれど、気負いを見せずに、けれどしっかりと重みを持って書いている。
    そのため、それらの事象が登場人物達に与える影響と結果にも説得力がある。
    この作者の小説は初めてだったが、他の作品もぜひ読んでみたい。

  • 知らずに借りたが震災関連の作品だったか。人生色々、そんな話かと思いきや突然の震災。そのぐらいのショックがなければ動き出せないことも確かにあるかもしれないけども、うーーーん。話自体は面白く読めた。

  • 2014.9.25

  • 短大時代同級生だった女たちが20年ぶりに連絡を取り合い、再会する話。40代目前、離婚・子ども・結婚・親・仕事などそれぞれの悩みを抱えており、直接的ではないがそれぞれに助けを求めているのが垣間見える。3月に東北でプチ同窓会のくだりで、震災の話だと気付く。まだあの震災を物語として読むのは辛かったけれど、希望のある終わり方だったので一気に読めた。平穏な日々が続いているけれど、明日どうなるかは保証されていないという事を改めて気づかされた。

  • 学生時代を共にした女性6人のそれからの20年。あの頃思っても見なかった、だけど当たり前の「生きることの難しさ」が書かれていた。

    自分の10年後のような気がして気が滅入った。

    2014.7.27

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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