中国が世界標準を握る日 The Day China Grasps the De-Facto Standard (ペーパーバックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334933630

作品紹介・あらすじ

現在、13億の民を抱える中国。日本の10倍という巨大マーケットをバックに、中国は独自の技術規格を策定しはじめた。それは携帯電話から無線LAN、次世代DVDまで非常に多岐にわたっている。言うまでもなく、中国の規格が世界標準になれば、日本は中国に多額の特許料を支払う羽目になる。それは、日本が単なる中国の下請け国家に成り下がってしまうのと同義である。いま目覚めなければ、日本に復活の道はなくなるが、当事者たる政府にも日本企業にも、まるで危機感がない。このままで、本当に日本は「技術立国」を維持できるのか?本書は、中国の秘められた技術覇権戦略を明らかにし、日本が取るべき道を示唆する。

感想・レビュー・書評

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  • 日本製品のモノマネをして、特許侵害で訴えられるぐらいなら、中国の技術力を結集して独自の国際標準規格を作り上げ、日本に真正面から対抗しようという狙いがある。

    1、 DVD
    2、 第3世代携帯電話
    3、 無線LAN

    1のDVDについて

    今は、EVDと呼ばれる次世代DVD規格として中国の国家標準。

    値段は一般DVDの3倍から4倍はするものの、画質が30%ほどアップするだけ。

    このEVDを国際標準規格にしたい理由として、知的財産権の侵害に対する政府の対応が厳しくなり、特許使用料の支払が急増していることがある。

    中国国内では、年間6000万台ものDVDが生産されている。規模でいえば世界の6割ほど。

    つまり、世界で最もライセンス料を支払っている。

    DVD一台あたり13.8ドルものライセンス料が支払われている。特許使用料として、もうすでに日米欧を中心とした家電メーカーに500億円を超える代金を支払った。

    中国市場だけで独自規格が普及すれば、彼らの規格に合わせた機器を製造するために、特許使用料を中国側に支払わなければならない。

    としているけど、3倍も4倍もする価格で画質が3割アップするだけだったら、日本にだってもっと安価でいいものが作れるんじゃないかなぁ。

    ブルーレイとか、HD―DVDとか。

    中国が怖いのは、市場経済じゃないからそのEVDを買わされるということになる可能性があるってことだね。

    そういう意味では怖いかもしれない。

    2の携帯電話。

    加入数は、2004年末で3億3000万件、毎月平均550万件ずつ増えている。中国政府は第3世代携帯では、すでに標準をとった。

    第3世代ケータイとして、日欧のW−CDMA、アメリカのcdma2000が3GPPsの場で国際標準として認められている。

    シュー教授(中国人)がドラフトを考え、シーメンス(ドイツ企業)が開発した、TD−SCDMAが正式に標準化されたのは2001年。

    この基本特許は、シーメンスが握っているのかという見方が強い。しかし、シーメンスは携帯電話部門を台湾メーカーの「明基」に売却。

    その理由としてシーメンスが中国と険悪になっているという説が根強い。

    3の無線LAN

    「Wi−Fi」と呼ばれる規格が事実上の国際標準となっている。

    中国政府は「WAPI」という規格を策定。台湾メーカーが中国国内で作った製品。

    国際標準とはまったく互換性がないため、中国で購入したパソコンを国外に持ち出して使用することができない。

    人気も少なく、ほとんど買う人もいない。

    しかし、この実用性のないWAPIを中国政府は猛烈に推進。

    アメリカIT関連業界もWAPI仕様の半導体を採用しない方針を中国政府やパソコンメーカーに通告。米中摩擦の対象となっている。

    結局、外国(特にアメリカ)に特許使用料払いたくないから、同じようなものを作ってそれを国際標準化させたい狙いなんだと思う。

    1つとして、脅威に感じるようなものはない。

    この人と中国人だけ「中国が世界標準を握る日」を待っているんじゃないかなとも思える。

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著者プロフィール

岸宣仁
1949年埼玉県生まれ。経済ジャーナリスト。東京外国語大学卒業。読売新聞経済部で大蔵省や日本銀行などを担当。財務省のパワハラ上司を相撲の番付風に並べた内部文書「恐竜番付」を発表したことで知られる。『税の攻防――大蔵官僚 四半世紀の戦争』『財務官僚の出世と人事』『同期の人脈研究』『キャリア官僚 採用・人事のからくり』『財務省の「ワル」』など著書多数。

「2023年 『事務次官という謎 霞が関の出世と人事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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