- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334979058
感想・レビュー・書評
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パソコンを遠隔操作されて、何も悪いことしてないのに警察に逮捕された人たちが、致命的な被害を被っている。
警察がリークした情報を、記者クラブの飼い犬たちが、ろくに検証もしないまま、被疑者の実名まで晒して、ただただ間違った情報を垂れ流したために。
中でも、明治大学を退学に追い込まれた大学生や、仕事が忙しい真っ最中なのに犯人扱いされて多大な被害を負ったアニメーションの作家など、ほんとうにお気の毒だ。
無実の被疑者が、絶対に知るはずの無い、犯罪に使われたハンドルネームを、警察からムリヤリ自白させられている事実には笑った。
つまり、警察は、被疑者を、拷問してムリヤリ自白させたうえで、好き勝手に調書をデッチあげている。
背筋が凍りつくような無法警察・・・・。
我が国は、法治国家ではない。
厚生労働省を舞台とした「郵便不正事件」では、村木厚子・元厚生労働省社会援護局長の犯行をでっち上げるために、証拠の改竄まで行われていたからね。
証拠の改竄だよ!
『留置場は警察署の中にあるので、警察が外部に知られること無く、いつでも好きなときに好きなだけ取調べができるなど、被疑者の人権が侵害される恐れが高い。実際、日本の代用監獄制度は国連の人権規約委員会や拷問禁止委員会などから、あまりにも非人道的であり、人権を侵害している等の理由で繰り返し改善勧告を受けるほど、国際的にも問題視されている。』
警察や検察や裁判所やマスコミは、このような拷問が日常的に行われているという現実を知りながら、なぜ、問題にしない?
近代司法の最も重要な原則は「冤罪の人を決して罰してはならない」という事なのに。この原則は、守られていない。
どこの、土人の国の司法制度なんだよ、コレは?
昔、日本のマスメディアを研究してる浅野健一教授と、事件の被害者なのに、無実の罪で連日連夜自白を強要され、マスコミからは散々に叩かれ誹謗中傷された河野義行さんと、直接会って話したことがある。
あの時も、警察も裁判所もマスメディアも、あまりにもインチキすぎて、心底呆れ果てたんだけど、あの時代から、なにも進歩していない。一歩も前に進んでいない。
国際社会からは、このような違法な取調べのことを、はっきりと「拷問」だと指摘されているが、日本では、裁判所まで一緒になって、拷問を公認している。
無罪の容疑者を、警察が脅迫し恫喝して嘘の自白をさせ、死刑囚にまで仕立て上げた事件もある。
無罪の人を何十年も拘禁して、人生をメチャクチャに破壊しておきながら、はっきりと冤罪であった事が証明された後でも、警察はまともに責任をとろうとしない。
裁判官も誰一人責任をとらない。
警察にリークされるがまま、嘘の報道を実名で垂れ流した記者クラブの飼い犬記者たちも、誰一人責任をとらない。
それでもまだ冤罪であることが立証された人は良いよ。
冤罪が立証されないまま死刑になって殺された人もいるだろう。
罪の重い軽いにかかわらず、警察や検察に脅迫されて、容疑者が嘘の自白をさせられる、という事例は、かなりの頻度で起きていることなのに、記者クラブで飼いならされたバカ犬たちは、この深刻な問題を取り上げようともしない。
刑事事件に関する日本のマスメディアの報道は全く信用に足るものではない。
記者クラブに代表される一握りの報道機関に特権的な待遇が与えられ、その特権は政府が保証しているから、政府よりの報道にならざるを得ない。
警察や検察側の主張におもねって、被疑者や被告人の人権を平気で踏みにじる。
日本の司法制度も、マスメディアも、おおよそ先進国のものではない。
この問題は、毎年、国連でも指摘され、国際社会からも、日本の前近代的な司法制度の早急な改善を求められているのに。
司法も、警察も、政治家も、マスコミも、ゼンゼンこれを改めようとしない。
この現実を、はっきりと問題にしている神保哲生は本物のジャーナリストだ。
記者クラブの、もたれあい仲良しグループの中には、彼のような本物のジャーナリストは一人もいない。
ネットでウィキリークスだってなんだって見れるこの時代に、日本の新聞なんか、オレは読もうとも思わないし、そんなものに払う金は1円も持っていない。
オレだけじゃなくて、権力に飼いならされたバカ犬が書いた、大本営発表の記事なんか、そのうち、誰も読まなくなる。
バッカじゃねえの?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一つの事件をあらゆる視点で深く考察すると、こんなにも色んなテーマが出てくるのかと。新聞を浅く広く浚うような読み方をするのではなく、こうして掘り下げる事の意味を改めて感じた。
ウイルスで仕込まれた遠隔操作ツールにより、他人のパソコンから爆破予告や殺害予告を発信。その後、警察をおちょくるように、謎解きを仕掛け、江ノ島の猫の首輪にSDカードを貼り付けた男。確たる証拠を上げられず逮捕出来ぬままに、日々ニュースで放映されていた事を思い出す。2012年頃からの事件、あれから、10年が経つ。
ハイジャック防止法も適用され、再犯加重、併合罪を加味して実刑、懲役8年。ただの愉快犯にしては厳しい気もするが、他人を隠れ蓑にした上で多くの人間を脅迫し、司法を冒涜、撹乱した罪は重い。読めば、彼は事件の前から同じようなネットの荒らし、殺害予告のような事を繰り返していたらしい。この事件も途中で止めていれば迷宮入りした可能性もある。しかし、止められず、自滅した。
スリルを求めての結果か、ネットへの書き込み、それによる承認欲求の充足、習慣化したレス乞食、ネット中毒が誤った関わり方で脳を変えてしまったのではないか。依存症になっている。最も共感を得ないのは、彼の行為で得るものは何一つない事。警察を馬鹿にする事でのカタルシスのみだという事だ。
能力が高いのか馬鹿なのかよく分からない事件だったが、警察の杜撰さや脆弱性が露呈された事、サイバー事件の一モデルとしての社会的影響は大きい。そろそろ、出所だろうか。 -
この本が出版されたとき、何故今更この事件をという気持ちがあった。
事件発生から、片山が自供し逮捕されるまでは、テレビや神保氏の運営するインターネットメディア『ビデオニュース』でも長い期間、日々のニュースの上位にあったような記憶がある。神保氏は当初から、大手メディアの興味本位の報道とは違っ視点「司法プロセス」にスタンスをおいて、この事件を追っていた。
簡単にいうと、テレビや新聞は片山祐輔が‘犯人として相当疑わしい’という前提で、視聴者の興味をそそる情報を小出しに流し続けていた印象がある。のに対して、神保氏は警察・検察及び裁判所を含めた一連の司法プロセスの姿を炙り出しながら、これで良いのか?と読者に問いかけていた。
その材料として、読者の‘正義感’に頼るのではなく、国際的な比較や、手続き上の歪みを私たちに提示している。この本の中でも紹介されてあるが、『足利事件』・『袴田事件』司法の歪みがこれだけ明白なのになぜそれらが正されることなく、続き、繰り返されるのか?
この事件での結末を知ってしまっている者が、あえてこの分厚い本を読もうとするとしたら、それはまさに神保氏が訴えたい「結果オーライ」ではない「司法プロセスの実態」を見つめることに興味を感じたか、憤りを感じているかのどちらかなのではないだろうか。 -
詳細を記したドキュメント。
読み終えるまで結構疲れたが、おそらくの全容を知ることができ、改めてこの世界の危うさ、警察の対応など、怖さを実感する図書でした。 -
2000年代小泉政権で「構造改革路線」を提唱。
なんでも政府が面倒を見てくれる日本従来の護送船団方式から新自由主義路線、つまり自己責任の社会へ政策転換された。
終身雇用、学歴、結婚、を通じて安定した居場所を提供してくれていた社会が壊れ、自分で自分の居場所を見つけなければならなくなった。
「誰かに自分の存在を認めてもらわないと不安でたまらない」という強い「承認欲求」を持つ状況が生まれた。
そこにその心の穴を埋めてくれる理想的なツールとして登場したのがインターネットだった。
リアルの世界で悩み、ここに現実逃避した人々がバーチャルの世界に入っていく。
ということか?
とすればまだまだこういう輩が出てくるということか? -
犯罪報道がどうあるべきかという観点で読むと、(特にメディア関係者にとって)興味深い本だと思う。
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【告白と沈黙の狭間で】殺人や航空機に対するテロの予告により,社会的に大きな注目を浴びたPC遠隔操作事件。この事件の全内幕を明らかにすることにより,現代の捜査制度や司法が抱える問題に深く迫った作品です。著者は,日本初のニュース専門インターネット放送局の設立者でもある神保哲生。
こういうニュースがあったなというのは覚えていたんですが,ここまで多角的に,かつ根幹的に現代司法の問題に切り込むことが求められる事件であったとは思いもよりませんでした。「なぜ今更この事件のことを?」と思われた方(=自分もそうでした)にはぜひ手にとっていただきたい一冊です。
〜今回の事件で一つだけはっきりしていることは,サイバー犯罪と,殺人や窃盗などを裁くことを前提とした既存の刑事司法制度の間に,何とも言えない噛み合わせの悪さがあるということだった。〜
少し分厚いですが☆5つ -
ごくごく普通の人が2chノリで大きな事件を起こしてしまったんだな。。。
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5年前くらいに片山祐輔(ネットでの通称:ゆうちゃん)によって引き起こされたPC遠隔操作事件の一部始終をまとめた本。犯人が凡ミスしなければ完全犯罪になっていた可能性もあるなどサイバー犯罪特有の捜査の難しさや、ネット上での劇場型犯罪の特徴について触れられています。また、犯行の真の動機についても彼が育った時代背景を踏まえて考察しています。何を隠そう、僕も同じ年の生まれなのです。
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知識と技術を持ち、本気で悪意を抱いた人に立ち向かうすべはあるのか。
知識も技術もなく、日々、インターネットにお世話になっている身としては恐ろしくて仕方ない。