世界幻想文学大系 第38巻 B 西の窓の天使 下

著者 : 荒俣宏 グスタフ・マイリンク 紀田順一郎

• 国書刊行会 (1985年8月1日発売)

感想・レビュー・書評

[izumowolさんの感想 · 2022年7月31日]

主人公が、従兄の残した書類で錬金術師であり占星術師、
魔術師でもあったジョン・ディーの生涯に触れ、読み進める
内にそのジョン・ディーと一体化し、錬金術的な大いなる
業・化学の結婚をなしとげるオカルト小説。実在の人物で
あるジョン・ディーの史実を上手に取り込みつつ、手記を
読むことによって両者が渾然一体と化していくという見事な
手法で上質な幻想小説に仕上がっていると思うが、この結末
を受け入れられるかどうかは人それぞれといったところか。

著者プロフィール

作家・翻訳家・博物学者。京都国際マンガミュージアム館長。
平井呈一に師事、平井から紹介された紀田順一郎とともに、怪奇幻想文学の日本での翻訳紹介に尽力。のち活動の幅を広げ、博物学をはじめとして多ジャンルにわたって活躍。
主な著書に『妖怪少年の日々』、『帝都物語』シリーズ（ともにKADOKAWA）、『世界大博物図鑑』（平凡社）、『サイエンス異人伝』（講談社）、『江戸の幽明』（朝日新書）など。『怪奇文学大山脈』Ⅰ～Ⅲ（東京創元社）を編纂。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」