魔の眼に魅されて―メスメリズムと文学の研究 (異貌の19世紀)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336034922

作品紹介・あらすじ

十八世紀末、革命前夜のパリに登場した奇跡の施術師アントン・メスメルの催眠療法はたちまち人々を魅了し、その動物磁気説は、物議をかもしながら全西欧へとひろがっていった。そのの発見は、後のフロイトの精神分析を準備するが、一方でメスメリズムはドイツ・ロマン派において魔術と混淆し、人を呪縛し支配する暗い力の源泉と化す。ホフマン、クライストからバルザック、ポー、ホーソーンをへて、ヘンリー・ジェイムズ、D・H・ローレンス、トーマス・マンへ、さらにはカリガリ博士、ヒトラーへと受け継がれていくの系譜をたどりながら、疑似科学が時代の精神、文学作品にあたえた影響を跡づける。

感想・レビュー・書評

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  • (編集ノート)ドラキュラ映画などを観ていると、ドラキュラと目があった犠牲者が、恐怖でおののきながらも魅入られたように吸血鬼の命に服従してしまう、という場面がよく出てくる。これが〈魔の眼〉だ。強い意志の力で相手を支配する〈魔の眼〉の持ち主が登場するのは、なにも怪奇映画や幻想小説の中だけではない。主流文学にも、そして現実世界にも、この恐ろしい力は存在する。メスメルの動物磁気は、いかがわしいエセ科学の代表格だが、彼が開発した催眠療法は、シャルコー、フロイトへと受け継がれ、精神分析の重要なファクターとなる。正統的なものだけをみる歴史学では見えてこないものを、タタールは見事にすくいとっていく。

  • メスメリズムと文学の関係を論じたもので、メスメリズム自体の変遷もきちんとおさえて恰好の入門書兼読み物。

  • Spellbound: Studies on Mesmerism and Literature (1978)
    Maria M. Tatar

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