ゴーレム 100 (未来の文学)

  • 国書刊行会
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336047373

作品紹介・あらすじ

22世紀のある巨大都市で、突如理解不能の残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、ゴーレム100、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔である。事件の鍵を握るのは才気あふれる有能な科学者ブレイズ・シマ、事件を追うのは美貌の黒人で精神工学者グレッチェン・ナン、そして敏腕警察官インドゥニ。ゴーレム100をめぐり、3人は集合的無意識の核とそのまた向こうを抜け、目眩く激越なる現実世界とサブリミナルな世界に突入、自らの魂と人類の生存をかけて闘いを挑む。しかしゴーレム100は進化しつづける…『虎よ、虎よ!』の巨匠ベスターの最強にして最狂の幻の長篇にして、ありとあらゆる言語とグラフィックを駆使して狂気の世界を構築する超問題作がついに登場。

感想・レビュー・書評

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  • 『破壊された男』『虎よ、虎よ!』などでSF史に名を残すアルフレッド・ベスターの第5長編。奇作、怪作……?

    不思議なタイトル。本文を読んでいけばわかるが、読み方は「ゴーレム百乗」である。本を手に取り、ぱっとペラペラめくっただけで、普通ではないことが明らか。まったく意味のわからないイラストが大量に収められており、かなりの頻度で奇妙なフォントの文章が入っていて、とにかくぶっ飛んでいるのだ。

    ぶっ飛んでいるのはパッと見の表現仕様だけではない。ストーリーそのものも驚異の展開をする。西暦2175年、スラム街化した元ニューヨークの巨大都市で、理解不能の奇妙な猟奇連続殺人事件が発生。犯人はすぐに明らかになるが、その正体は……。事件を追う3人の人物を軸に、サスペンス、ホラーの要素を包容しつつ、ミステリー的な展開を広げ、ラストに驚くべきSF的着地をする。ベスターワールドに引きずり込まれるセリフ、文体、書体。8人のレディのイカれっぷりにはところどころで爆笑も。この雰囲気を原書に忠実に再現したという翻訳者の実力と苦労たるや、恐るべし。読みにくそう、難解そう、そんなイメージもあるが、個人的にはそんなこともなく、一気に楽しめた。『破壊された男』『虎よ、虎よ!』をも超える最高傑作と断じていい!

    P276 「トラには魂があると思う?」
    このセリフ前後の、「魂とは何か」という深淵なテーマを、ラストの超展開につなげていく力わざには度肝を抜かれた。この結末は予想できない……最終章はどう解釈するべきか、読解と分析が必要だ。

    唖然とする読後感のなか、頭に漂い続けるセリフがこの作品を象徴しているように感じつつ、本を閉じる。
    「ガフってる?」

  • 再読月間ですから。グダグダと炬燵や布団の中で読みながら、私も100乗召喚できる身分になりたいなァとか退廃的な妄想にふけって楽しむのがベスト。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「退廃的な妄想に」
      ドップリです。
      「退廃的な妄想に」
      ドップリです。
      2014/01/29
  • 分解されなかった男。

  • 疲労と達成

  • 「虎よ!虎よ!」「分解された男」のアルフレッド・ベスターの作品。ワイドスクリーンバロックが時空を超えて飛び回る作品だと定義した場合、先の二作は空間的に飛び回っていたが、この作品は内面的宇宙を駆け巡っている。内面的宇宙を見つめる、またロールシャッハ的な絵やコラージュ、自動書記的独白などシュルレアリスム的表現にもあふれている。ストーリー、テーマ、暗喩、そして文体も含めた表現すべてを味わうべき作品。

  • この本の面白さを理解するには勉強不足だ〜〜〜
    解説にもあったように2回3回繰り返して読む本だ
    もっと知識つけてから読みます

  • 最強のSFの一つ。挿絵がまたヤバイ。

  • ファンタジー。ホラー。SF。
    何だコレ?
    とにかく凄いものを読んだ気がする。
    イラストで表現された、ファズマ界へのトリップシーンがあまりに新鮮。
    意味は分からくても、唯一無二の読書体験ができる傑作。

  • 表紙の感じからして重厚なゴチック物かしらと思ったら、うへへへうははは。あらすじ→金余ってる欲求不満マダムが集まって謎の悪魔ゴーレムを召喚。勿論街で凄惨な事件が多発。それを警察と精神工学者、科学者が事件を追う。悪魔も進行形で進化。色々調査して、特殊ドラッグを使用して無意識の世界を調査するのがいんでね?そんな訳で設定はぶっ飛ぶが、それ以前にこの本が最初からぶっ飛んでるからさあ。
    こういう絶対現実的じゃない未来物(馬鹿口調)最高だなあ。ドゥシャン・マカヴェイエフ監督の「スイート・ムービー」みたいなテイスト。

  • 高橋源一郎のやりそうな、ガチャガチャと詰め込まれた宝石箱のように、言葉をフィクションの中で論理立てずに放り繋げた感覚。挿絵などからするに、一種のLSD芸術の感がある。ディテールが自己満足の仕掛けになっており、ピタリと感性が合う読み手か、相当ゆっくり読む読み手しか気付かないギミックに溢れている。だから、人によっては、難解な感じもすれば、消化不良にもなるだろう。自分は、実はこうしたやり方は苦手なので、正直言うとキツかった。

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