アランの戦争――アラン・イングラム・コープの回想録 (BDコレクション)

著者 : エマニュエル・ギベール 野田謙介

• 国書刊行会 (2011年1月12日発売)

作品紹介・あらすじ

ある日、ギベールはひとりのアメリカ人、アラン・イングラム・コープと出会い、親交が始まる。アランの戦争体験を聞いたギベールはBDにすることを申し出る。ギベール30歳、アラン69歳のときだった。生涯を大きく決定した戦争体験という青春の日々-訓練で出会った戦友たち、フランス・ドイツ・チェコへの行軍で知り合った人びととの交友-を振り返るアランの人生が、淡々と、ユーモラスに彩られていく。節制された筆致で、戦争のなかの日常の記憶がアランの声とともに再生し、見事に結晶化された、戦争バンドデシネ作品の傑作。

感想・レビュー・書評

[大手前大学・大手前短期大学 メディアライブラリーCELLさんの感想 · 2014年11月17日]

＜閲覧スタッフより＞
第二次大戦。アメリカの青年・アランの戦争体験を著者であるギベールはＢＤに描いた。徴兵されヨーロッパへと行軍したアランに起きる出来事や人々との交友。戦争の物語を優しく包む焦茶の印刷と心憎い描写がなんとも美しい一冊です。

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所在記号:726.1||キヘ
資料番号:10209348
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[kenzyさんの感想 · 2022年8月13日]

戦争はたやすく人を死に追いやる。悲惨だ。
ただ、
皮肉にも、アランの人生を形づくる人びとと出会い、文化に触れ、仕事を得、生活の糧となったのも、戦争。
その時代の多くの兵士と同じように。

[名無しさんの感想 · 2021年3月10日]

絵の一コマ一コマが素晴らしい。
戦争の日常。自軍の戦車にひかれる兵隊。
あやうく同じ目にあいそうになる語りて。
ヨーロッパに上陸したが武器が行方不明になる。

ところで従軍神父のE牧師（p191）
という翻訳がある。
いやいや、これはまずいでしょ。

[大手前大学・大手前短期大学 伊丹図書館さんの感想 · 2019年6月13日]

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所在記号:726.1||キヘ
資料番号:10209348
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[あきらさんの感想 · 2014年4月18日]

一人の若いアメリカ人が第二次世界大戦時ヨーロッパ戦線で戦い、戦後年老いていくまでを描いたバンド・デシネ。実際の戦闘シーンなどはほとんど描かれることはなく、時代や歴史、あるいは風土の中で人がどんな風に考え、生きていったかを描いくその様は人のありようの深さを感じさせる。すばらしい。

[Holonさんの感想 · 2013年8月15日]

戦争は一介の個人がどうこう出来るものではなく、動いてしまえば多くの人を濁流の如く巻き込みながらも大きな流れとして進んでいってしまう。この漫画は、大きな流れに飲み込まれた若者の回想録だが、烈しい戦闘はなく、滔々と描かれてあるのは、そんな中で出会った人、起こった事とともに心の機微を丹念に掬いとった、それは淡々と流れていき、過ぎ去っていく。流れ行く人の営みに不意に訪れる綻びの一瞬一瞬の深奥を垣間見せるが…それは、言葉にはし難いもので容易に説明出来るものではない深遠でした。だから、読み終えた後に言い難い尾を引いた。

[xxciiiiiexxさんの感想 · 2011年6月12日]

独特な絵のタッチと文字量にびっくりするんだけど、人生の機微が繊細に描かれてて、凄く好き。何度も読み返してしまう。

[onumeganeさんの感想 · 2011年1月12日]

漫画とは思えない文字の量に圧倒される。絵柄は描き込み系ではないが、不思議なテクスチャで覆われ、ボリューム感があってリッチ。物語も転々とするが、各断章で人生の機微を感じさせる印象的なエピソードが盛り込まれている。