どこか、安心できる場所で:新しいイタリアの文学

制作 : 関口英子  橋本勝雄  アンドレア・ラオス 
  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336065391

作品紹介・あらすじ

エーコ、タブッキ、カルヴィーノだけじゃない、
もっと新しいイタリアの文学がここにある。
本邦初、21世紀イタリア短篇アンソロジーがついに登場!
13人の作家(うち11人が日本初紹介)による15の物語。
序文=小野正嗣

現代イタリア文学と聞いて思い浮かべるのは、エーコ、タブッキ、カルヴィーノ、ブッツァーティ、モラヴィア……しかし彼らがおもに活躍していたのは前世紀のこと。では、イタリアの文学は衰退したのかといえば、とんでもない、なぜこれまで紹介されてこなかったのか不思議に思える作家たちが山ほどいるのだ。本書はいまを生きる新しいイタリアの作家によるヴァラエティ豊かな作品を厳選した、本邦初の21世紀イタリア短篇アンソロジーである。普通の人々の生活に降りかかる移民・格差・人種問題、新しいセクシャリティのかたち、めくるめく幻想の世界、そして甘くほろ苦い少年少女時代の記憶――現在のイタリア文学シーンを代表する13人が繊細に大胆に鮮烈に描く多様性にみちた15の短篇を収録。巻末に各作家・作品を詳述する解説を附す。

 〈『どこか、安心できる場所で 新しいイタリアの文学』は、文学というレンズあるいはマイクを通して、21世紀のイタリアの諸側面を伝えてくれる。ここに読める作品はほぼ同時代に書かれたという点を除けば、それぞれ主題も文体もまったく異なっている。本書だけからでも、イタリア文学の「いま」がどれほど多様で豊かなものであるかがたしかに感じ取れる。これを機会に、ここに紹介された作家や他の作家たちの作品が翻訳されることを切望する。僕たちには海外の文学を読むことが必要なのだ。イタリアの「いま」を描く、あるいはイタリアで「いま」書かれているこれらの作品を読むことで、それをいわば鏡にして、日本の僕たちは自分自身の姿を見つめ直し、自分が生きる「いま」がどのようなところなのかを確認することができるからだ〉(序文より) 小野正嗣

感想・レビュー・書評

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  • 「イタリア現代文学案内2020」がpdfで読めます。
    イタリア文化会館の刊行物
    https://iictokyo.esteri.it/iic_tokyo/ja/la-biblioteca/pubblicazioni-dell-istituto.html

    どこか、安心できる場所で|国書刊行会
    https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336065391/

  • 21世紀イタリア短編アンソロジー。
    2000年以降に発表された13人の作家による15の物語。うち11人が日本初紹介。

    少年少女時代の記憶、移民・格差・人種問題、幻想的、メタフィクション的、風刺、寓話、、さまざまな作品がおさめられている。


    個人的に印象に残った作品
    「わたしは誰?」イジャーバ・シェーゴ
    アイデンティティの確立への道が混沌とした夢の中で描かれているところがおもしろかった。

    「隠された光」リザ・ギンズブルグ
    別れた夫の様子が変わった理由について、それが何なのかはわからないけれど、それらから自分の身を守ったほうがよいと悟るところが印象的だった。

    「捨て子」ヴァレリア・パッレッラ
    この作品もよかった。それまでの生き方を変える強い決意、というものが描かれた作品。他の作品も読んでみたい。

  • 21世紀イタリアの文学を紹介するというコンセプトで、様々な作家の短編が収められているアンソロジー。パオロ・コニェッティ目当てで読んだんだけど、やっぱりコニェッティの「雨の季節」が一番面白かった。離婚寸前の両親の間で宙ぶらりんの少年、そして宙ぶらりんの時間をやり過ごすための山へのバカンス、コニェッティお得意の山男との出会い。お互い寂しさを抱えた山男と少年はシンパシーを感じていたのに、あっという間に断絶と別れがやってきて、後悔の鈍い痛みがずっとずっと尾を引いていく。コニェッティは、この寄る辺なさと後悔の余韻を書くのが恐ろしくうまいと思う。別れと余韻が短編でより凝縮された形で味わえて良かった。

  • 日本で有名すぎるエーコー等は20世紀の作家・・以降の若手は紹介されていないイタリア文学界。コニエッティ他と見出しに有るように、彼だけは単独で探鉱翻訳モノが出ている。アンソロジーにも2編掲載されている。
    13人の作家による15の短編集・・21世紀テイスト。
    序文を書いている小野さんの照会内容が余りにも的確で素晴らしいのでそれを先に読まないように!(私は読んでしまったけど、秀逸)

    21世紀のイタリア・・分断とは言わないけれど、長靴の形の国の景色人種、宗教、思想は様々・・世界的な傾向であるものの、移民問題が色濃く、経済的格差、性的立場の複雑化、ステップファミリー、アイデンティティー問題等々今を感じさせる。

    第2集がでたらきっとポストコロナのイタリアの情景が現れてくるのだろう。
    思想的にラジカルな感じのもあったり、内奥への掘り下げが概念的過ぎてやや苦手な空気感もありぃで、さすが欧州イタリア文学によるアンソロジーだと感心極まる。一人ひとりの個性がくっきり、邪魔をせず、いいメロディーを高らかに歌い上げている。

  • パオロ・コニェッティ読みたさに買ったが、パオロ・コニェッティやはりよかった。『ママの親戚』は吹いてしまった。

    全体的には政治的なものが多かったかな。たまたまかもしれないが、日本の作家で今のアンソロジーを編んでも、ここまで主張が強くならないだろうなと思う。日本の作品ももっと主張が強くてもいいのにと思った次第。

  • 翻訳文学を読む意義を高い熱量で語る小野正嗣さんの序文に、目の覚める思いがしました。これからは、翻訳者の方々にも注目しつつたくさんの作品を読みたいです。

    色々な作品に出会えるのがアンソロジーの良いところ。気に入った著者の別の作品を読む、芋づる式の楽しさよ。
    ということで、パオロ・コニェッティさんの『雨の季節』が好みだったので、続いて『帰れない山』を読みます。

  • 日本でなじみの薄いイタリア文学。カルヴィーノやタブッキ、ブッツァーティはわりと邦訳されているものの、20世紀の作家である。現代のイタリア人作家の短編をまとめたアンソロジー。13人のうち11人が初邦訳。パオロ・コエニッティは最近『帰れない山』で読んだので、それ以外は初かな。ちょっと苦手だなぁと思うものもあった。パオロ・コエニッティはやはり自然の描写が美しい。

  • 13人のイタリアの現代作家の作品が収録された、短編集です。その中では、パオロ・コニェッティさんの「雨の季節」が一番好みでした。
    中には、自分の好みじゃないなあと感じる作家さんもいましたが、普段あまり触れる機会の少ない、現代のイタリア作家のさまざまな作品を読むことができたのはよかったです。

  • 新しいイタリア文学が日本に紹介される機会が少ない中、貴重な一冊。あぁイタリアがもっとブームになったらいいのに。ドラマや映画も入ってこないものが多いので、コロナが明けたら絶対真っ先にイタリアに行きたい。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00601938

    エーコ、タブッキ、カルヴィーノだけじゃない、
    もっと新しいイタリアの文学がここにある。
    本邦初、21世紀イタリア短篇アンソロジーがついに登場!
    13人の作家(うち11人が日本初紹介)による15の物語。
    (出版社HPより)

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