九人の偽聖者の密室 (奇想天外の本棚)

  • 国書刊行会
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336074010

作品紹介・あらすじ

伝説の「さまよえるユダヤ人」を名乗るアハスヴェルが主宰する教団「光の子ら」を糾弾すべく準備を進めていたカルト宗教の研究者ウルフ・ハリガンは、ひょんなことから知り合った作家志望の青年マット・ダンカンの協力を得、二人は「光の寺院」で開かれる教団の集会に参加する。その集会の場で、全身に黄色い僧衣をまとった教祖アハスヴェルは、信者たちとともに「ナイン・タイムズ・ナイン」の呪いを唱え、ウルフの死を予言する。
その翌日、ハリガン家の家族とクロッケー場でゲームに興じていたマットがふとウルフのいる書斎を見ると、ウルフの机に身をかがめている黄色い僧衣を着た人物の姿が目に入る。窓は施錠されており、邸内の扉から書斎に入ろうとするものの、やはり鍵がかかっていて中に入れない。再び外に出て窓から中をのぞくと、ウルフは顔面を撃たれて床に倒れており、存在したはずの黄色い衣の人物は消え失せていた……。
この不可解な密室殺人の謎に直面したダンカンは、探偵小説嫌いのマーシャル警部補と共に「密室派の巨匠」ジョン・ディクスン・カーの《密室講義》を参照しながら推理・検討をするのだが、なんと《密室講義》のどの分類にも当て嵌まらないことが判明する。困惑する捜査陣を前に、難事件の経緯を知った尼僧アーシュラは、真相究明のために静かに祈りを捧げるのだった……。果たして異色の尼僧探偵の祈りが通じ、神をも畏れぬ密室犯罪の真相が看破されるのだろうか⁉
ジョン・ディクスン・カーに捧げられ、エドワード・D・ホックが主催する歴代密室ミステリ・ベストテンにも選出された、都市伝説的密室ミステリが新訳によって半世紀の時を経てここに甦る!

装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design)

感想・レビュー・書評

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  • <奇想天外の本棚>第一回配本。
    カルト教団を弾劾しようとしていた研究者が教団の集会で死を予言され、密室で殺された。目撃者は黄色い僧衣をまとった教祖らしき姿を目撃するが、その姿は消え失せてしまう…
    トリックはそれほど驚くものではないが、登場人物がディクスン・カーの《密室講義》を参照しながら推理するところが面白い。不可能犯罪やモヤモヤするロマンス要素などもカーを意識しているのか。尼僧探偵は地味ながら最後になかなかすごい活躍。全体的にクラシックな雰囲気がよく、楽しめた。

  • 2023/04/15読了

  • 真相自体はそれほど驚くものではないが、ミスディレクションが上手いのでなかなか気づけない。探偵役のシスターアーシェラが魅力的。この作家のものをもっと読みたい。

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著者プロフィール

H. H. Holmes (1911-1968)
本名ウィリアム・アントニー・パーカー・ホワイト。アメリカ合衆国の作家、批評家、編集者。アンソニー・バウチャー名義で、ミステリ小説、短編小説、SF小説、ホラー小説、ラジオドラマの脚本、映画の共同原作を執筆するなど多ジャンルで活躍。ペンネームは19世紀のアメリカの殺人鬼が使った偽名に由来する。アメリカ探偵作家クラブ (MWA) を創設し初代会長を務める。MWAにはバウチャーの名前を冠した賞が設けられた。1937年に長編『ゴルゴタの七』でデビュー。長編に、『シャーロッキアン殺人事件』(40)、The Case of the Seven Sneezes(42)など。H・H・ホームズ名義では『死体置場(モルグ)行ロケット』(42)やアーシュラ尼の短編などがある。短編The Quest for Saint Aquinは、アメリカSF作家協会が1970年に選出したSFオールタイムベストの1編に選ばれた。また、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編「八岐の園」「死とコンパス」を英訳して『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』に掲載した翻訳家でもある。

「2022年 『九人の偽聖者の密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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