ひろしまのピカ (記録のえほん 1)

著者 :
  • 小峰書店
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感想 : 45
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  • / ISBN・EAN: 9784338022019

感想・レビュー・書評

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  • 夏休み、子供達と一緒に。読み語りを聞きながら、息子は怖いからもうやめてと目を背けようとした。辛いけれど読まなければ、知らなければいけない本なんだよ。

  •  1945年8月6日。両親と朝食を食べていたみいちゃんは突然、閃光に包まれた。気がついた時、みいちゃん一家は家の下敷きに。燃える家から這い出し、負傷した父を背負った母に手を引かれ、みいちゃんは火の海の中へ。そこには地獄よりも恐ろしい光景が……。


     図書館本。
     存在を知っていたが、今更ながら初めて読んだ。
     実は私は、この方の絵がちょっと苦手で……。
     小学校低学年の時に読んだ「手ながの目」という絵本がこの方の絵で、ストーリーも絵もなんだか気味が悪く、苦手意識がこびりついてしまった。
     代表作「原爆の図」よりは表現がおとなしめだと思うが、惨状の連続には違いないので、苦手な人は無理に読まない方が良いかもしれない。

     本作で衝撃的だったのは、中盤あたりに描かれた黒い鳥。甲骨文字みたいな見た目だけど、何じゃこれ?と思ったら……なんと、羽が燃えて飛べなくなったツバメだとのこと。言葉にならない。

     ある女性の体験談と、作者自身が原爆投下後の広島での実体験に基づいた絵本だそうで。
     犠牲者が日本人だけではないことにも触れられている。
     読むのは結構キツいかもしれないが、耐えられそうな人は一度読んでいただきたい。

  •  今年も八月がきた。何となく棚から引っ張り出してみると埃で大変。埃を拭ってページを繰り始める。もう読んであげる小さな子供がいるわけでもない。絵本の棚を探る子供もいない。それでも、声に出して読んでみる。いろんなことが思い出されて、涙が出る。
     古い本には、内容と一緒に「読んだ歴史」が積もっているようだ。せっかくだからブログにも紹介を描いた。読んでみてください。
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202008060000/

  • ヒロシマの原爆について描いた名作絵本。
    力のこもった絵が、大人にも子どもにも訴えかけてくる。
    特に、少女(みいちゃん)が持ち続ける赤いお箸が、日常生活の象徴ともなっている。それを、あっという間に切り裂いたのが、一発の原爆だった。
    「人がおとさなければ、おちてこん」とは至言だけれど、そこに至るまでの経緯を考えておかねば、とも思う。
    戦争に駆り立てたのは誰か。それを、止めることができなかったのは、どうしてか。その結果として、原爆を落とす決定がなされるが、その岐路となるのは、どこだったのか。
    北朝鮮の脅威が声高に喧伝される「今」、どう生きていきたいのか、どんな社会を目指したいのか、もっと真剣に考えて、声を上げるべきなのではないか、と思う。

    あとがきに、これは、ある日、出会った被爆者の婦人の話を元にしているとのことでしたが、この少女は、この後、本当にどうなったのだろう、と思います。

  • 原爆の図を観たことがあります。
    それはものすごい衝撃でした。
    地獄のような現実。

    この絵本の存在は前から知っていましたが、どうしても読めなかった。
    だけど、知らないことはなかったことになる、わけではない。
    逆に、知らないことの無責任を痛感せざるを得ない出来事が世の中に頻発している今こそ、意を決して読まねばならないのではないかと思いました。

    表紙は、髪の毛を逆立てて父さんを背負い、みいちゃんを抱えている半裸のお母さん。
    真っ赤な炎が三人を包み、みいちゃんの手には真っ赤なお箸。

    戦時中ではあったけれども、日常の、穏やかな生活を、楽しい朝ご飯の時間をおくっていたはずが、ピカッと恐ろしい光で全てが変わってしまう。
    炎の赤。
    土気色した人々。
    地獄のような光景。

    “おとされた原子爆弾は、いっぱつでした。
    けれど、かぞえきれないおおぜいのひとがしに、そのあとでもぞくぞくとしんでゆきました。”

    みいちゃんはいつまでたっても7歳のまま、ちっとも大きくなりません。
    ピカの時に飛んできたガラスに破片が今でも体に埋まっていて、かゆくなるとお母さんがピンセットで抜いてくれます。

    その時だけではない苦しみ。
    死んでも死ななくても、苦しみは襲う。

    “「ピカは、ひとがおとさにゃ、おちてこん」”

  • 怖い。

  • 少し長いですが二年生と年長の子どもと夢中に聞いていました。絵が入っているし、言葉もわかりやすいので小さい子どもにもおすすめです。

  • 「みいちゃんはそのとき、お父さん、お母さんと一緒に朝ごはんを食べていた。小さなお茶碗をかかえ、赤いお箸を握って。1945年8月6日午前8時15分、広島に落とされた原子爆弾は広島の町の上で爆発。爆風が一瞬のうちに建物を壊し、草も木も家もない焼け野原にかけた。赤い箸を手から離せなくなったみいちゃんが、箸を持ち続けながら避難をするさまが物語の経糸のようになっていく。最終場面の灯篭長w氏の鮮やかな絵が希望の光となる。
    <原爆の図>を夫の丸木位里とともに描いた作者が、展覧会場で出会った「みいちゃん」の話をもとにこの本を制作。あとがきには未来の子どもたちへの「遺言」とある。」(別冊太陽『こわい絵本』の紹介より)

  • 第27回アワヒニビブリオバトル「心に残る絵本」で発表された本です。
    チャンプ本
    2017.07.04

  • 【5月のGuruGuruBooks読書会】
    テーマ:絵本を紹介しあう会
    で紹介させた本。

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著者プロフィール

1912年、北海道に生まれる。<br>1932年、女子美術専門学校卒業。<br>1945年8月、原爆投下直後、丸木位里の故郷広島に入る。<br>1950年より、丸木位里との共同制作「原爆の図」を発表。本来の油彩画を制作する一方で、「水俣の図」「南京大虐殺の図」沖縄戦の図」「アウシュビッツ」など丸木位里との共同制作の数々を通して、いのちと平和の大切さを訴えつづけた。絵本に『12の月のおくりもの』『水俣海のこえ』『沖縄島のこえ』など多数、また著書に『幽霊』『女絵かきの誕生』他がある。<br>1952年の国際平和文化賞をはじめ、数々の賞を受賞。<br>1995年、夫・丸木位里とともにノーベル平和賞候補となる。<br>2000年、死去。享年88歳。

「2003年 『いのちの四季』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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