- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784341019020
作品紹介・あらすじ
粋の本質を知る、男をみがく。
感想・レビュー・書評
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劇作家の池波正太郎さんがインタビューを通して語った男の生き方について読みやすくまとめた本。
池波正太郎さんは大正生まれの古い人なので、時代にそぐわない部分が多少あることは無視できないが概ね現代でも通ずると思う。
ただ私としては情報量が少ないと感じたので★3つ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
粋な振る舞い、というのは、粋な人に教えてもらうしかありません。
例えば寿司屋で「しゃり」だの「がり」だのと言う人がいますが、こういう符丁は店の者が使うものであり、客が粋がって使うのは粋の対極、野暮の極みだったりします。当人は大将の使う符丁を一緒になって使い、なじみヅラしてるんでしょうが、これは閉店になった後のスナックのカウンターに入り込み、嬉々としてコップを洗ったりして常連面する変ななじみ客とその精神は一緒です。
本書を読んでいくとわかるのですが、実は著者は別に「粋」を語っているわけではありません。むしろ、その場に合わせた常識的な振る舞いについて語っているだけです。
だけど、そこに著者の生き方や美学が反映されています。寿司屋でもう一つ言うと、著者はやたらトロを食う奴に眉をしかめてます。「金があるからとバクバク食うもんじゃない、他の客が食えなくなるから一つ二つ食ったらおしまいにするべきだ」と店や他の客のことを考えて振る舞えと説くわけですが、そういうところに本当の美学が宿っているように思います。
男の美学、そして人間的な余裕、そういうものがダンディズムの重要な構成要素なんでしょうね。僕に足りないものばっかりです…
ただ、読み進めると「アレ?」と思うような記述に出合ったりもします。
74頁以下では「浮気」という項目で、浮気について語っていたりします。うん、ここはさすがに作法もクソもないですよね(笑)
天ぷらの項では、「天ぷらは揚げたてが美味いのだから、親の敵に会ったようにかぶりつけ」とあり、店の親父だって一番美味しい時を狙って出してんだから…と料理人に敬意を払う話に納得します。「腹を空かせて行くのが料理屋に対する礼儀なんだよ」というのは、仰るとおりです。続いて、料亭でも出されたものはすぐ食べろ、そういうタイミングで向こうは出してんだ、という話に。
ここまではわかるのですが、雲行きが怪しくなるのは、その料亭の名前が「吉兆」だということ。
《どうしても腹がすかせないで、おつき合いで行って食べられそうもないという場合は、むしろ手を付けないほうがいいんだよ。
仲居に、
「あと、何が出るの?」
と、聞いてもいいんだな。で、仲居が何と何ですと教えてくれるから、
「それならぼくは、あとのそれを食べるから、いまちょっとおなかいっぱいだからこれは結構です」
と言って、手をつけずに最後きれいなまま下げてもらう。そうしたら、せっかくのものが無駄にならないでしょう。だれが食べたっていいわけだから。》(83頁)
い、池波先生…実はそれで「船場吉兆」という料亭がつぶれるくらいの大問題になったんです…
ま、そういうのもありますが(笑)、飯の食い方、酒の飲み方、着るものに人生諸事全般について粋とは何かを教えてくれる人が身近に居ない方は、是非本書をひもといて下さい。池波正太郎大先生が粋な口調で教えてくれます。 -
全てが肯定では無いけど貫いててかっこいい。
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池波正太郎の教え、ちょっと古いので時代に合わない点も散見されるけど。
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昭和57年に書かれた本。現代との差を感じながら楽しくよめた。心意気とか考え方に触れることができる。折に触れ再読したいと思う。
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男としての日々の作法について学んだ。例えば食事では、それぞれの最高の食べ方・飲み方があるため学んでおく。身なりにも神経を使い、特に上等な万年筆を持つ事と、靴にまで気を配らせておく。
また、健康には気を配りながら常に「死」を意識しておく。それができないと、何事も逆算して真剣に取り組むことができない。
時代は移り変わっていくが、日本古来の知恵や文化を軽視してはいけない。 -
タクシーのチップは交通安全にもつながる。
気分転換の趣味。好奇心。
死ぬことを考えながら生きる。
自分の周りのすべては、自分を磨くための磨き砂。
身銭をきること。 -
時代も違い、
当てはまらないことが多いし、
偏見も強い。
ただ上の世代の方々が
何を良しと思うか、何を粋と思うか
知っていると違ってくるだろう。