人間の条件 上

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 23
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344003071

作品紹介・あらすじ

片倉宏は結婚相談所のパーティで出会った仁科里美に求婚するが断られてしまう。失意の片倉の自宅周辺で起こったOL殺人事件の捜査に動き出した警視庁捜査一課・棟居刑事は事件解決の手掛かりすら掴めずにいた。そんな時、近所の川で魚が全滅したことに不審を覚え水質調査に乗り出した片倉が、恐るべき生物災害の存在と人為的な細菌散布の可能性を探り当てる。棟居は、片倉と新興宗教「人間の家」に関連した家出人捜査に携わっていた新宿署・牛尾刑事から情報を得てOL殺人事件の背後に潜む「人間の家」の危険な正体に気づく。

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻通しなので、上下とも同じレビューです。

    これは、現代にひそむ人間の根源的な問題を、包括的に描いている作品だと思います。一読すると、オウム事件をメインに扱っているようだけど、それだけではないと思います。人間の出会いとは何か、愛とは何か、怒りとは、刑事とは、そして人間であるための条件とは・・・。色んなことを考えさせられる、とても深い作品です。

    棟居刑事は、人間であるための条件を満たしたのだろうか。様々な試練から立ち直り生きていくことが人間の条件だとしたら、棟居刑事は人間と非人間の境界をさまよいながら、この作品が終わったのでしょう。確かに、立ち直ることは人間の条件かもしれないけれど、僕だっていつ立ち直れなくなるか分からない。その時に僕は、それでも「自分は人間だ」と言えるだろうか。それは分からないし、棟居刑事と同じ立場に立たされたなら、僕は確実に人間の条件を満たさない。

    小説だから切ない結末はいくらでもあるけれど、棟居刑事は切なすぎる。この物語が終わったあと、棟居刑事が幸せになっていますように・・・。

  • 図書館本。何だかなぁ〜これ2003年初版になっているが、要はオウム事件をまんま棟居刑事物に書き換えただけで、全く、なぁーんの新しい事も無く。余りに話題が古すぎて「今更?」的感覚は拭えない。しかも棟居さんがまたひどい状態になってしまって、何か、暗すぎ・・・

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著者プロフィール

森村誠一
1933年1月2日、埼玉県熊谷市生まれ。ホテルのフロントマンを勤めるかたわら執筆を始め、ビジネススクールの講師に転職後もビジネス書や小説を出版。1970年に初めての本格ミステリー『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞を受賞、翌年『新幹線殺人事件』がベストセラーになる。1973年『腐触の構造』で第26回日本推理作家協会賞受賞。小説と映画のメディアミックスとして注目された『人間の証明』では、初めて棟居刑事が登場する。2004年に第7回日本ミステリー文学大賞受賞、2011年吉川英治文学賞受賞など、文字通り日本のミステリー界の第一人者であるだけでなく、1981年には旧日本軍第731部隊の実態を明らかにした『悪魔の飽食』を刊行するなど、社会的発言も疎かにしていない。

「2021年 『棟居刑事と七つの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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