テンペスタ~天然がぶり寄り娘と正義の七日間~

著者 :
  • 幻冬舎
3.14
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  • (13)
  • (1)
本棚登録 : 97
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344025714

作品紹介・あらすじ

東京の大学で美術の非常勤講師を務める賢一。30代も半ばを過ぎているのだが、結婚の予定もなく、ギリギリの収入の中、一人ほそぼそと生活を送っていた。そんなある日、田舎に住む弟から一人娘を一週間預かって欲しいと連絡がくる。しぶしぶ引き受けることになった賢一を駅で待っていたのは、小学四年生の美少女・ミドリ。しょっぱなから毒舌全開、得体の知れないミドリに圧倒されながら、賢一とミドリの一週間の共同生活が幕を開ける…。

感想・レビュー・書評

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  • (¯―¯٥)

  • 冒頭から末尾の文に至るまで、文章に全く無駄がなく非常に読みやすい。中年男性と少女の奇妙な共同生活という題材は目新しくはないものの、二人の会話の掛け合いや、少女に感じるいい意味での幼さは心の温まるものがあった。特筆すべきは、全編を通してきちんと大人の視点があり、大人の責任を果たしていることである。少女の無垢さによって啓発されるという単純な図式ではなく、保護者としての視野や自覚を獲得していく様が良かった。前半から中盤にかけては愛らしさと軽妙洒脱なやり取りが展開されるが、後半になって、散りばめられた伏線が一気に回収されるあたりは、ミステリとしての面白さがしっかりとあった。少女と中年男性では未来に対する総量が違うが、最後の最後で二人の未来になったのは救いがあって素晴らしかったです。

  • ミドリの態度には腹も立つけれど
    急にキャラ変をして場当たり演じる役柄には
    大いに笑わせてもらった。

    誘拐事件の辺りから雲行きが怪しくなって最後にはとんだ展開になるのがビックリするやら悲しくなるやらで
    前半の東京珍道中の落差がありすぎ。
    お気楽な気分で読み進めていただけに
    心にえぐられるものが半端なくって。
    心臓病のくだりもさらっとかいているけど
    これはこれでかなり深刻なはず。
    全体的に軽くかかれているけれど
    実はかなりドロドロのストーリー。
    ミドリのあっけらかんとした行動もその裏返しといったところか。

  • 30代半ばで独り身の主人公賢一が突如姪の小学四年生のミドリを一週間あずかることに。天真爛漫というか破天荒なミドリに振り回されつつも、一週間の共同生活をおくる。

    奔放な性格で描かれてるミドリが、まあ見る人によって奔放とみるか単に我がままな性格と見るかはあると思います。自分は若干イラッとくるところも。
    で、話の最初のころから「頻発する少女誘拐事件」があからさまな伏線としてでてきてるんですが・・・読み進めながら「あれ?まだ誘拐事件からんでこないの?」と。で、結構最後の方でようやく出てきたと思ったらびっくりするくらいさらっと終わってしまって。え?これだけ?
    で、まあ最後にもう一波乱あるわけですが。。。なんか急な。それまでとの落差がすごい。で、なんとなくよくわからずに大団円的に終わる。初めからそういう意図で書かれた小説なんだろうか?前半のミドリとの東京珍道中みたいなののボリュームがやけにたっぷりだったような気がするんだけども。。。

  • 突然キュートで生意気な少女と生活することになるという、時々ある設定の深水ミステリ。
    テンポや言葉選びは、エンタメ性の高い筋書きによくあったもので、作家の幅広さがうかがえた。
    結末がもう少し。読後感は良いが、それを求めるなら著者でなくともよい。もっと捻って、ミステリとしての純度やオリジナリティを高めてほしい。
    3

  • 弟から突如預かる事になった姪っ子。
    彼女がやってきてからの、ものすごく濃い1週間。

    途中まで普通に読んでいたのですが
    デパートの下りから、ぱら読み。
    話としては面白いのですが、どうしても
    姪っ子のやり方が…。
    嘘はきらい、とか言いながら、散々騒いで
    脅し取るかのような状態がもう…。

    結局近所(?)で起こった変変質者の話も解決。
    ついでに妙な状態も浮き上がり。
    行動力によってどうにかなるようですが
    なんかこう…納得がいかない最後。
    多分、飛ばし読みをしていたから、でしょうが。

  •  こんな小学生いたら腹立つだろうなあと思いつつ、二人の会話を楽しんだ。それにしても、二人も死なせてしまう必要はない。やりすぎ。

  • ちょっとバランスが悪かったけど、まぁ面白かった

  • 読みやすいが、いらっとする。あれこれフラグが多すぎ。

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著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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