凪の司祭

著者 :
  • 幻冬舎
3.09
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本棚登録 : 211
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028418

作品紹介・あらすじ

暑さが残る初秋の、とある土曜。コーヒー専門店店員・篠崎百代は、一人で汐留のショッピングモールへと向かった。できるだけ多くの人間を殺害するために。一方、百代の協力者・藤間護らは、仲間の木下が死亡しているのを発見する。計画の中止を告げるため、百代を追う藤間たちだったが…。緻密な設定と息もつかせぬ展開で、一気読み必至の傑作大長編!

感想・レビュー・書評

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  • ゲリラ豪雨の被害で恋人を失った女性が、テロで2,000人以上の命を奪う話が延々と描かれる。次々と人を殺していく様子は、あまりにも残酷で、読んでいて、心が折れそうになった。ゲリラ豪雨が天災ではなく、人災だという考え方も理解出来ない訳ではないが、その復讐のためにここまでしなくても・・・と言うのが率直な感想。

  • カフェ店員のモモちゃんが,都合よくスペシャリスト揃いの常連客の支援を受けてテロ行為を行う,ロジカル大量虐殺劇。
    理には適っているのかもしれないが,「ただし床の摩擦は考えないものとする」的な違和感がある都合の良さ。

  • 先が気になって、一気に読んだ自分が言うのも何だが、この小説の加害者、及びその協力者には動機も行動も一切共感できない。だからやり遂げたカタルシスはない。加害者はまるで機械のようで、途中ずっとさっさと捕まればいいのにと思っていた。
    協力者も利己的な理由ばかり。その中のひとりは本気で恋人を助けたかったのか。現場から遠ざけたいなら、いくらでも方法はあるのに、死んでもいいかと考えていたとしか思えない。
    むしろ被害者側に感情移入して、胸が痛くなる。描かれているのは、普通の人たちでこんな理不尽な死に方をすべきではない。最後にふられた青年にも同情する。あの場合、自分も鍵をかけるかもしれないと思うからだ。それはエリート意識ではなく、恐怖だ。それを青年の独白で悪い印象にされている。
    最後もなんかいい話に、無理やり持って行こうとしているように感じる。2000人以上の犠牲者の影に、その何倍もの被害者遺族の存在がいることが消されている。つまり、全てが中途半端なのだと思う。
    結局、巨大ショッピングモールで大量殺戮する話が書きたくて、動機をこじつけたような印象は否めなかった。
    座間味くんシリーズ好きなのに…

  • 周到に練られたテロ計画を淡々とこなしていく様と、阿鼻叫喚の地獄絵図にただただ戦慄。動機に納得できないと感じる人が多そうですが、狂気の演出に一役買っているのと、題材が題材だけに共感しづらいように気をつかっているのだろうなと邪推してみる。

  •  著者自身がひどい話と言っているが、ひどいなんてものではない。クズのような話だ。ゴミクズだ。以下、ネタバレ等には一切配慮しない。

     一言で言うと、頭おかしい女が、巨大ショッピングモールで無差別に殺しまくる、それだけの内容だ。背後で糸を引いていたのは、5人のこれまた頭おかしい人間ども。計画立案や武器の手配等で、専門的立場から協力していた。

     この人の作品の登場人物に共感できないのはいつものことだし、その思考回路に突っ込むのが、この人の作品の楽しみ方だと思っていた。今回は、もはや共感どうこうではない。自分の目的のためなら大量の犠牲者を屁とも思わない、クズたちなのだ。

     おい、実行者の女。気の毒ではあるし、そういう説があるのは聞いたことがある。だからといって、結論が大量虐殺テロなのか? おい、5人委員会とかいうクズども。たしなめるどころか、後押しするのか? 決行当日まで、何の疑問も持たずに?

     決行はこども休憩室から。自分が親になって以降、何の罪もない幼子をあっさり殺すような描写は受け付けなくなった。序盤で早くも、本作は駄作に認定だ。いや、駄作ならまだましか。本作は駄作を超越したクズなのだから。

     たった1人の女がそんなにうまくやれるのかとか、クズどもがまんまと容疑から逃れられるのかとか、そんなことは些細な問題でしかない。2000人以上死んでも、自分の恋人は助けたい? ついでに金品を奪おう? 保険金をせしめよう? はあ???

     挙句の果てには、モモちゃんとかいう女は、テロリストではなく儀式の司祭だった? 2162人は生贄だった? 祈るしかない? お前らバカか? クズか? 一切良心の呵責も感じずに、のうのうと生きていくのか? 爽やかにまとめてんじゃねえよ。

     最初から最後までクズ本だった。シュレッダーにかけてやりたい。

  • 2023.12.07読了

    動機が分けわからんとか、カビ毒がそんな簡単に抽出できないやろとか、諸々は無視してこういう突拍子も無い内容は面白い。

    然も武器が刷毛っていう 笑

  • 主要登場人物の誰にも共感できない小説も珍しい。
    推理小説的な要素も含んでいるが、本作は社会派というよりテロリズム小説、とでも言うべきだろうか。視点が、徹底してテロリストのそれなのだ。
    汐留の商業施設を狙った、化学物質によるテロ計画が実行に移される。さて、その顛末とは。
    容赦のない展開、目を覆いたくなるような描写、映画さながらのスケールと読み物としては一級品である。ただし、前述したように主要登場人物の誰にも共感はできない。

  • 一人で二千人を殺すという殺戮マシンの女と、それを作り出した「五人委員会」。
    本当に虫けらのようにバタバタと人が死んでいく。そこにときどき被害者の視点が入ってきて、個人として認識させられちゃうものだから、読者のダメージも相当で、本当にしんどかった。
    私には苦手ジャンルだけど、パニック系が好きな人には楽しめるのだろうか。

  • ただこういうのを書きたかったんだろうな〜
    という動機のくだらなさ。
    でもあったら怖いこういうテロ。
    能率は悪いけど、効率的な方法が
    逆に見つかっちゃったら…
    とりあえずショッピングモールでは
    周りの人に注意しよう。

  • 2019.10.27

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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