わたしの容れもの

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 552
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029408

作品紹介・あらすじ

老いの兆しは、悲しいはずなのに、嬉々として話してしまうのはなぜだろう?減らない体重も、ひどくなる二日酔いも、乾燥する肌も…それは、劣った自分ではなく、新しい自分。変わる、というのは、実際はちょっとおもしろいことなのだ。「変わりゆくカラダ」を好奇心たっぷりに綴る。

感想・レビュー・書評

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  • 老いの兆し。それに伴って変化していく体。ただただ恐れでしかなかった「下り坂」な状況をユーモラスに語れるのは角田さんだからこそ!このエッセイの連載が始まった頃の角田さんの年齢が今の自分の年齢に近いこともあり、興味津々で読みましたよ。老眼、白髪、更年期、痩せにくい体…中年女性の「あるある」に溢れていて、ああ~そうそうそう!とテーブルをバンバン叩きながら読みたい衝動に(笑)モヤモヤと感じていたこの状況、そうかこれって老化の始まりだったのかと腑に落ちることが多々ありました。
    角田さんも語っていたけれど、勿論状況には個人差があるので、角田さん元気だなと思う反面、自分にとって未知の領域である「ぎっくり腰」のエピソードはぞぞぞっとしました。「それは突然やってくる」…そう、この世代になると、何かが突然やってくるのだ!その「何か」はまた人によって様々だろう。私もそれまでは、文中の角田さんのように、来たる更年期や閉経に至るまでの状況がどんなものなのか、年上の知り合いの「大人の話」を聞きながら戦々恐々としていたのだが、突如発覚した病の治療で疑似閉経&薬の副作用による更年期症状を体験することとなってしまった。これで、更年期に対する意識が少し変わったね。
    そういう意味で、共感ポイントは人それぞれであり、若い読者にどこまで受け入れられるかはわからないけど…「ちょっと自虐ネタばっかじゃない?」なんて思わず、過度にビビらず、面白がってくれればなと思う。
    「私自身の意識としては、そんなに古びていないのに、容れ物は勝手に軽々と年数を受け入れていくのである。」
    あとがきのこの一文に、すごく納得!じわじわとくる変化にがっかりしたりため息をついたりすることも多くなるだろうけど、ある程度は笑って受け入れるしかない、その覚悟が少しできたかしら。
    ちょっと大きめの活字も読み易くってよかった。短めのエッセイだからということもあるかもしれないが、もしかしたら内容的に、読み易さも考慮してくれたのかなと思っている。

  • 「容れもの」という表現が独特。

    外の話も中の話もあって、
    それぞれの変化やそれに対する思いが綴られて。

    アラサーの私には、
    共感する領域と、まだ知らない領域とがあったが、
    未来の自分を想像する一ヒントになったと思う。

    共感できたのは運動を始めるということ。
    私も最近ランニング→トレイルラン、を始めた笑

  • 身体は年々変わっていく。体重は落ちにくくなり、食べ物の脂を好まなくなったり、腰を痛めたりする。人間ドッグの結果に一喜一憂し、同世代との会話も健康が話題が多くなる。そろそろ更年期に入るのでは、と考えてみたりもする。
    身体、という容れものに関する角田さんのエッセイ。

    なるほどなあと思ったのは、二日酔い対策にハイチオールCがいいということだ。お酒を飲む前にハイチオールC!
    これは是非とも試してみたい。

    マラソンでかなりの距離を走り、毎日の飲酒を欠かさず、仕事の定時を守る角田さんは、良い意味で一般人ではないと思った。生き物として、とても強い部類に入るのではないだろうか。

  • 「わたしの容れもの」?どういうこと?と思ったらカラダについての話。ナルホド「容れもの」であるなと思った次第。

    角田さんは50歳前後ということですが、その頃の年齢の女性に起きてくるもろもろのカラダの懸念事項(更年期障害、閉経、ドライスキン、睡眠時間の減少などなど…)についてちょいと今まで疎かったのでは、と正直思いましたが、自分も実は知識についてはそれ程変わらないかも、と読みつつ思い時々「更年期」や「閉経」などググりながら読みました(笑)

    ほぼ自分と同年代、ちょっと先輩の角田さんなのでわが身にひきつけて読みましたね。いずれ行く道と思い。
    きっと35歳、40歳、45歳、50歳…とほんの五年刻みくらいでもカラダのコンディションって全然変わるのだろうなと興味しんしんでした。そして年を経るにつれカラダのコンディションの変わる期間も短くなってゆくのではないか…と思いました。
    だって、10年前の角田さんならこんなこと書いたかな、と思いましたもの。

    確かに自分も5年前とは明らかにいろいろ違います。
    5年前履いていた靴が今日足を入れたら半分も入らなくてびっくりしましたもの。
    「足がでかくなったのじゃなくて足に肉がついたんだよ」と義母に言われるまでまさかこの年で成長したのか!と本気で思いましたもの。
    や、自分の認識って案外客観的に出来ないものです。
    角田さんの文章に首がかくかくするほどうなずきながら読みました。

    更年期中、もしくは前後の方に特にお勧めです(笑)

  • 角田光代さんとほぼ同年代だったんだ。へぇー。
    あと数年したら同じようなことを思うのかなと。へへへ。
    確かに、老眼の話はチラホラ聞くようになったかな。
    そういう自分はもともと近視&乱視のせいか、自覚症状はないけど、そのうちきそう。
    加齢は誰にも避けられないから、これは変化を楽しまないと損だよね〜。

  • アラフィフになった角田光代の更年期障害あるある。
    集中力がなくなったとか、ほてりなのか本当に暑いのかわからないとか、体重が簡単には減らなくなったとか、霜降りより赤身とか、著者と同年代の私はいちいち「あ〜、わかるわかるw」と共感したり、老化を認めたくない著者に「諦めろ!」と突っ込みを入れたり、友達と話しているような気分で読めた。特に「更年期について語る女性が皆一様に楽しそうなのは、体の変化を面白がっているからだ」という一文は大いに同感。更年期は体の変化が多過ぎて、新しい(しかも扱いづらい)自分を生き直してる感じ。
    取り敢えず角田光代氏には、更年期以降は転ぶとヤバいので泥酔しないよう自重して頂きたい。

  • 年齢を重ねるにつれ起こる体の変化。
    若い頃から周りの年長者の話を聴いて、私もいつそれが自分の身に起こるのかとびくびくしたものだ。
    味覚の変化や初めてぎっくり腰になった時の戸惑い、ダイエットのこと、更年期に対する不安、バリウムのこと等々角田さんと同年代なので一つ一つに共感!
    変化した自分は今の自分より劣った存在ではなく新しい自分なのだと思えるようでありたい、という角田さん。同感です!

    無理せず自分の体という「容れもの」と相性のいいものを見つけて、ゆるゆると「容れもの」の変化を受け入れたい。
    そして角田さん曰く「憎めない」大人になりたい。

  • 角田さんとは歳が近いので、読んでいて共感する話が沢山あって「一緒だ、そうそう!」と大興奮。
    例えば、私も10代の頃から読書好きだけど、今よりも文字の小さい文学小説をよく読んでいて今は無理と思っていた。角田さんもそうと知って嬉しくなりました。
    とにかくいっぱい共感どころがあって、読んで良かった~と思いました。

  • 著者の小説も好きだけど、エッセイも好き。
    あーこの人となら友達になれそう…と思わせる親近感。
    今回もうなづくとこがいっぱいあったよ。

    分厚いものをちびっこい字で読む。(ドフトエフスキー、トルストイ等)しかも短期間で読む。
    そっれってほんと体力と時間が有り余っている若いときならではなんだと思う。
    ほんとあの頃、パールバックの”大地”や”風と共に去りぬ”読んでいて良かったよ。
    でも”カラ兄”これはいつか読みたい。

  • 四十も後半になり体の変化についてのエッセイ。
    うーん、本当にまだ若い私には関係がないし参考になるほど心境が描かれずただ身近なおばさんの話を聞いている程度。
    閉経のことは私も知らなかった。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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