猫は髭から眠るもの

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 52
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344039674

作品紹介・あらすじ

あの猫も、この猫も、俳句の中で生き続ける。「猫俳句大賞」に寄せられた約3万句から、猫が可愛くて仕方ない、よりすぐりの299句。ゲスト審査員 町田康氏・新井素子氏・角田光代氏「猫俳句大賞」に寄せられた約3万句から、よりすぐりの猫俳句をお届けします。ゲスト審査員 町田康氏・新井素子氏・角田光代氏イラスト 丹下京子氏猫をテーマにした俳句を募った「猫俳句大賞」。第一回〜第三回に寄せられた約3万句から、よりすぐった299句を書籍にまとめました。ゲスト審査員によるエッセイ「猫と俳句」も収録。ダービーやテレビの前に猫二匹 堀本裕樹・選春暑し猫の開きに手術あと 新井素子・選何してもほめられてゐる子猫かな 堀本裕樹・選去年今年猫は髭から眠るもの 角田光代・選

感想・レビュー・書評

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  • 『着ぶくれて猫のあくびを数へけり』

  • (2023/12/18読了)
    図書館の短歌の書架を見ていて、隣の俳句の書架に見つけた本。猫に特化したということで、大の猫好きなので借りてみることにした。
    短歌より少ない文字数で表現する。詠んで思い描く。猫が主人公の句も、猫が景色となってる句も。
    途中で、猫と書かずに猫を表現してる句はあるのかな?(あったかな?)と思った時に、図らずしも審査員・角田光代さんが取り上げた句と出会う。(その句については特に何も)
    読み慣れてきた最後の辺りの、心が動いた句を少し。

    「満月を抱く形に猫看取る」
    「春眠し猫は液体と思ふ」もうひとつ猫=液体の句「うららかや猫融点に達す昼」
    「猫の字の苗の意味問う新学期」
    審査員の言葉→"これもまた、何も気にせず書いている猫という字に、はっとしました。たしかに、なぜ苗? 気になって調べてしまいました。理由とされる説を読んで、猫という字が今までよりいっ そうしなやかにはかなく見えてきました。"
    私も調べてみよう。

  • 猫は魔性だなぁ、そう思う。
    常日頃から思っている。
    実家家族が、野良猫を飼い猫として遇するようになって、あっという間にその子をまさに猫かわいがりするようになった。父などは入院したときに病室へ、人間の家族のではなく猫の写真を持参して飾って励みにしていた。厳しく動物に心動かされる姿など見せたこともない父を、猫はすっかり籠絡していた。

    猫俳句大賞へ寄せられた俳句から選りすぐった作品299句がこの本に収められている。
    私は猫を飼ったことはないし、俳句も正直よくわかっていない。
    ただこの句集のタイトル「猫は髭から眠るもの」にどうしようもなく惹きつけられた。よくわからないがものすごい説得力と引力だった。
    一読して、ああ、猫はやっぱり魔性だ、と思った。
    犬とは違う距離感で、態度で、眼射しで人間に寄り添ってくれる(寄り添ってくれないときもある)。
    299句のどれもが、猫を見ている。情景、猫の立ち位置、人間の関わりかた、居場所、温度、季節も時間も生死すら問わないで、そこにある(あった)猫を見ている。猫への愛情があって、猫からの愛情は…ちょっとわからないが(あったらいいな)。

    猫に夫あづけて旅へ柿紅葉(蘭歌)

    何か、いいよね。猫に預けていれば安心だし。



    ※短歌ではないけれど定型詩との認識でカテゴリ「三十一音」に分類しました。

  • タイトルに引用された句がよいね。
    ゲスト審査員の角田光代選の一句だ。

    去年今年猫は髭から眠るもの   もふもふ

    子猫、猫の恋、さらには竈猫と、猫は季語にもなっている。犬が「猟犬」くらいしかないのよりは、あるほうか? 近頃は、家の中で飼うのが当たり前となってきているので、その行動も、じっくり観察もしやすく、句も浮かぶというもの。

    猫の可愛さを詠んだ句よりも、亡き猫や、亡き人と猫の想い出を詠んだ句に、じんわりくる。年取ったなあ。

    亡き猫と遊びし部屋の障子貼り  小宮太郎

    亡き母の衣服枕に猫眠る  大野貴子

    他にも、「亡き夫の~」とか数句。
    ちょいと「亡きxx」という発句が多いのが気になるが、猫との良き思い出に浸れ味わいがある。

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著者プロフィール

俳人。俳句結社「蒼海」主宰。二松学舎大学非常勤講師。2016年度、2019年度「NHK俳句」選者。著書に句集『熊野曼陀羅』(文學の森)、又吉直樹との共著『芸人と俳人』(集英社文庫)、『俳句の図書室』(角川文庫)、穂村弘との共著『短歌と俳句の五十番勝負』(新潮社)、『NHK俳句 ひぐらし先生、俳句おしえてください。』(NHK出版)、『桜木杏、俳句はじめてみました』(幻冬舎文庫)、『散歩が楽しくなる 俳句手帳』(東京書籍)など多数。
自選一句「耳は葉に葉は耳になり青葉闇」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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