奈良監獄から脱獄せよ

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 177
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344040359

作品紹介・あらすじ

時は大正。舞台は日本で最も美しい監獄――。繊細な数学教師×天真爛漫な印刷工無実の罪で収監された凸凹バディの武器は、頭脳と胆力。監獄は人が作ったものに過ぎない。僕が、この問題を解いてみせる。数学教師の弓削は冤罪で捕まり、日本初の西洋式監獄である奈良監獄に収監されていた。ある日、殺人と放火の罪で無期懲役刑となった印刷工の羽嶋が収監される。羽嶋も自分と同じく冤罪だったことを知った弓削は、彼とともに脱獄をたくらむ。典獄からの嫌がらせ。看守の暴力で亡くなった友人。奈良監獄を作った先輩からの期待。嵐の夜、ついに脱獄を実行する――。人気BL作家が描く、究極の友情。

感想・レビュー・書評

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  • バディー物は面白い。弓削のキャラが魅力的。
    冤罪晴らす感じの続編はあるのかな?

  • 弓削は、数学教師として勤めていたときに女子高生の自殺を暴行し殺した罪で懲役20年となり奈良監獄に収監されていた。
    罪状は、殺人罪である。
    冤罪にも関わらず弁護士でさえ負けた裁判にそのあとまで真摯に向き合ってはくれないままだった。

    ある日、殺人と放火の罪で無期懲役となった羽嶋に作業手順を教えているうちに彼も自分と同じく冤罪だったことを知る。
    最初から番号ではなく名前を呼んでくる羽嶋に無駄口せずに距離を置こうとしていたのだが…
    彼はあまりにも素直で純粋だった。
    だが一度見たら忘れない記憶の持ち主でもあった。

    やがて弓削に作業を教えてくれた相内から彼が恩赦で減刑になることを知り、彼と話をした際に出てからの夢が、誰かが成功(脱獄)するのを近くで見ることだと聞く。

    典獄からの嫌がらせや看守の暴力で亡くなった友人や相内からの期待が膨らみ、弓削は羽嶋と脱獄しようと勝負にでる。

    羽嶋から寄せられる無垢な信頼ほど、強いものはない。彼には躊躇いがいっさいないと感じたときに一緒に行動しようと思えたのだろう。

    この2人の相性が良かったのかもしれないが、お互いに良い部分を最大限に活かしたからこそ…だと思った。

    久しぶりに良い読書時間だった。


  • 奈良監獄に収監されている弓削と羽嶋。
    お互い2人とも冤罪である事を知り、数学教師で数字の強さを持つ弓削と、瞬間記憶を持つ羽嶋が手を取り合い脱獄を計画する。

    実際の旧奈良監獄が閉庁した後の見学会に参加した事があり、気になって手に取った本。
    当時撮っていた写真を見ながら読み進めるととても楽しい。

    真面目さ故に自分が大胆な事はできないと全てに諦めていた弓削だが、同じ囚人の山岸や相内に背中を押され、計画を練っていく、自分を信じてくれる羽嶋のために。
    そして自分も羽嶋なら信じられる。
    お互いの信用が大きな力になる。

  • どこで見つけたのやら……
    人気BL作家が描く…表紙も何やらそれっぽい?とにかく初めてです。ってそんなに構える必要はなかった。普通の内容です。
    冤罪により奈良監獄に収監された数学教師の弓削と同じく冤罪で収監された羽嶋、ようはこのふたりが脱獄を企てて、実際に実行するという話です。時は大正時代です。
    監獄での過ごし方、日常、目立った事件も、変わったことも起こらない。
    そんな中でそんなに緻密に計画されたものでもなく(と思える)そんな苦労するわけでもなく(と思える)あっさり(と思える)脱獄してしまうのです。へっ?という感じ。
    その後ふたりは新天地で楽しく暮らすのでした。このあたりBL感ありかも。

  • 時は大正時代、裕福な家庭に育った寧子は、良妻賢母を育てる名門校の橘樹高等女学校の3年生だった。
    寧子は、若い数学教師に心を高鳴らせるが、教師は指導以外には全生徒に対して距離を置いていた。
    ある日寧子は何の理由も告げず、校庭の片隅にあった樹に縄をかけて自死してしまう。
    数学教師の弓削朋久は寧子殺しの容疑で逮捕され、冤罪を主張するのだが懲役20年の判決が下り、奈良監獄に収監される。
    弓削は1日でも早く娑婆に出る日を迎えようと、感情を抑えて刑期を務めることに留意する。
    そこに殺人と放火の罪で無期懲役ながら、朗らかな元印刷工の羽嶋が収監されてくる。
    実は羽嶋も冤罪で収監されたのだと知ってからは、徐々に気持ちが通じ合うようになる。
    監獄内では友達を敢えて作らなかった弓削ではあるが、収監されて以来、高齢者の相内とは親しくしていた。
    その相内は、奈良監獄は人が作ったものである限り、きっと脱獄は可能であると主張する。
    そして何気に弓削に脱獄を果たして欲しい気持ちを伝える。
    奈良監獄からの脱獄など不可能と弓削は考えるのだが、羽嶋の影響もあって脱獄の計画を練るようになってゆく。

  • 脱獄バディもののエンターテイメントかなと思ったけれど、それだけではなく、主人公の内面の変化が、過去を見つめ自分を振り返りそして未来に進むまでを見守るような感じだった。とても読みやすくて一気に楽しく読んだ。
    すべてが解決されるわけではないけれど、彼の気持ちが伝わってきたのか、とても清々しい気持ちで本を閉じた。

    奈良監獄、行きたくなったんだけどホテルになるのね。小学生や中学生のとき行ったりしたのかな記憶にないのだけれど…行きたかったな。ホテルになったら行ってみたいな。

  • 冤罪で投獄されている孤独な弓削が、無垢な羽嶋や、師匠の相内、なぜか絡んでくる山岸、コンプレックスを抱えて嫌がらせをしてくる長谷川典獄との人間関係の中で、人を信じることや熱い気持ちを奮い立たせる過程がじっくり描かれていた。
    脱獄を計画するまで、計画し実行するまでの心情が丁寧に書かれていて、弓削の硬く冷たく閉ざされた心が、少しずつ羽嶋や相内との交流でほぐされて、さらに、いつか見た祖母の情念の焔が弓削の心にも宿るまで(脱獄を決意するまで)の心情の変化が大きく、読みながら自分の心も熱くなったのを感じた。
    最後、冤罪のきっかけとなった女生徒への心の向け方まで変わっていて、読み手の心も変えられたのはびっくりした。
    一番のみどころは羽嶋とのバディ感で、脱獄するシーンはハラハラした。
    脱獄した後は、大正時代の背景もあり、身元を証明する方法は曖昧だっただろうし、北海道でうまくやっていって欲しいな、と願う。

  • 今年(2023年)5月にサッカーの試合を鴻ノ池競技場に見に行った時に後ろに見えた建物が気になって帰宅後に調べたら元の奈良監獄だった。で、その繋がりでこの本を見つけ読んでみる。非常に読み易くてすんなり読める。そしていよいよ大詰め、脱獄が図られる。なかなか面白かった。でも、根本的な問題はどうなった・・・。そこはがっかり。ちなみにこの監獄跡、2026年に星野リゾートがホテルと史料館をオープン予定らしい。生きてれば行きたい

  • 大正時代に冤罪で、日本初の西洋式監獄である奈良の監獄に収監された主人公弓削。
    まあタイトル通り彼が脱獄を試みるわけですが。そこに至るまでの心理的な葛藤がメイン・・のお話なんでしょうか?なんかこう、話のポイントみたいなものが散らかってしまっている印象でした。彼を冤罪たらしめた女学生の死の真相とか羽嶋との奇妙な友情みたいなものとか当時の監獄がどういうものであったかという背景だとかそのほかにもいろんな要素が散りばめられてる割にはどれも特に突き詰められることなく終わってしまったような。作者さんはなにを書きたかったんだろうか?やっぱ最終的な着地点を見るに羽嶋さんとの、というところなんでしょうかね?
    話のスピード感はよかっただけにちょっと残念。

  • 軽いタッチで話が進む。監獄での生活が続き、脱獄するのは最終章近くになってから、さてそのあとどうする?最後は北海道に逃れ開拓団の一員となり生活が始まる。あまり緊張することもなくリラックスして読了出来た。

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著者プロフィール

「清澗寺家シリーズ」(幻冬舎コミックス)や「キスシリーズ」(講談社)など、多くの人気シリーズ、著作を持つ作家。ドラマCD化した作品も多数ある。特に名門華族・清澗寺家一族の大正時代から戦後までのドラマを描いた「清澗寺家シリーズ」は熱心な読者が多く、完結を記念して完全予約限定のファンブックが発売されるほど。

「2019年 『キッチンカー鎌倉、推して参る 再出発のバインミー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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