ママはきみを殺したかもしれない

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 284
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344040786

作品紹介・あらすじ

殺したはずの息子が、目の前に──。今度こそ、私は“いいママ”になる。仕事もプライドも捨て、狂おしいほどの愛情を注いだ先にあるものは何か。無償の愛とは?母性とは?息もつかせぬ衝撃作。母親失格と気づいたとき“ママ”をやり直せるなら、あなたは、何を犠牲にしますか?目標としていた賞を受賞し、脚本家として活躍中の美汐。だが、彼女の心は晴れない。小学校から呼び出され、息子・悠を「支援クラス」に通わせることになったからだ。ある日、美汐は手に負えない悠の首を絞めかけ、そのまま気絶する。意識が戻ると、悠を保育園に預ける初日の朝だった。神様がやり直しをさせてくれる! 美汐は、理想のママになろうと奮闘するが──。

感想・レビュー・書評

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  • あっと驚くラスト。

    途中に何度も繰り返される、
    母親としての戸惑いと葛藤、
    仕事人としての挫折と理想、
    妻としての安心と失望、
    子供としての渇望と諦め。

    主人公(美汐)の気持ちが想像できたり、
    悩みに共感できる部分があるため、
    どうしても主人公の気持ちに引きずられてしまい
    読んでいてしんどく感じる瞬間もありました。

    図星だから苛立ったり腹が立ったり、
    一緒に疲れ果てた先に待っていた結末に
    ほろりとさせられました。

    親として、子として、1人の人間として
    自分ととことん向き合った物語。

  • タイトルが気になってしまって、思わず購入。
    母親であり、人気脚本家でもある主人公の美汐。一見、華やかで余裕のある生活を送っているように見えるが、内面は仕事や子育てにおいて、様々な葛藤、悩み、焦り、苛立ち、贖罪の気持ちを抱えている。その内面は、自分も感じたことのあるもので、自分自身の、幼い子供を抱えた当時の子育て中の思いとリンクしてしまって、思い出して辛くなってしまった。
    最後の
    『私が愛しているのは、結局のところ私が「いいママ」になれないまま育てた、たくさんの足りないところがある、それでも愛しい七歳の悠で…』
    の一文に涙(本当は最初から辛すぎて泣いていた)。
    今、私の息子は不登校で、悩みの渦中にいます。自分の子育てに関して、それこそやり直したい!なんて思っていたけれど、今できる自分のやり方で精一杯側にいてやろうと思います。

  • 私は 5人の子育てをしてきた母親。いや、現在進行形で子育て中。
    なので…。リアルすぎて…読み進めるのが辛すぎた…。

    乳幼児期の閉塞感、児童館での探り探りの会話…よくわからない勧誘…

    全て、経験してきた。

    私は専業主婦だけど…。

    いつも、自信がなくて、子供がいるのに死にたいと思った事も何回もあるし、何度も1人で泣いたし、何度も子どもに当たり散らかしてきた。

    そして、私もまた、自分の母から愛された実感を持てずに、大人になってしまった。
    この本のような明らかな毒親ではなかったけど、私の心は、満たされた事がなかった。

    だからなのか…自分の子供にも、無償の愛というのが注げず、私はダメな母親なんだと、自己嫌悪に、いまだに陥ってしまう。

    過去の場面は…本当に読んでいて苦しかった。

    最終章…予想はしていたけど、夢オチだったことに、本の構成としては少しガッカリしたけど、ただ、物語に入り込んでいたので、その点ではホッとした。少しだけ、私も救われた気がする。

    『私が悠の母親でいることくらいは、自分で自分に許してあげてもいいのではないか。そう思う。』

    この一文を、私も自分に言ってあげたい。

  • 本屋さんでタイトルに惹かれ購入したご本。
    自分の子供に腹を立てて殺しかけてしまった主人公が過去に戻りやり直すお話。
    タイムリープものが好きなわたしは大変面白く読めました。(タイムリープじゃなかったけれど…)

    やり直しても主人公の沸点を超えてしまう場面がちょくちょくあり、子育てってやっぱり大変で、繊細で、難しいことなんだなあと思った。
    1回目の7歳の悠くんを立派に育てあげた時には晶くんとの間に感謝の言葉や会話が飛び交っていたけれど、2回目の子育てをやり直した時には晶くんとの会話が減っていたところを見ても、1回目の子育ては間違ってなかったよ美汐ちゃんー!って思える。やっぱり評価が他人軸だとしんどくなりやすくなるね。。

    美汐ちゃんが自然派子育てに目覚めかけたところ、予防接種をしないって話が出たところであちゃーって声が出た。

    親にネグレクトをされていた人は美汐の過去編部分読むのしんどいかも。わたしはしんどかった。
    美汐の過去編の終わり方も、ちょっと納得いかなかった。まだ受け入れられないわたしが子供なだけかもしれない。

    今考えてみたらネグレクトをしていた美汐ちゃんのお母さんは美汐ちゃんに予防接種はしてたのかな??ちょっと気になるね。

  • 愛しい息子の首に手をかけてしまった…と思いきや、気がついたら6年前の保育園に初めて預ける日に。もう一度「いいママ」になるべくやり直せるか。

    母性とは?「いいママ」とは?考えさせられるテーマだが、まさかの夢オチ…小説じゃなく、育児書ならアリかもしれないが。

  • いいママとは。
    母親失格と気づいたとき、子供の首に手をかけようとしたとき、やり直せるならなにを犠牲にするか。
    こうあるべきといういろいろな葛藤や、自分が育てられたときの思い出の裏返しなど、気持ちが空回りしてあれしなきゃこれしなきゃという焦りだけが優先してしまう。
    母親じゃないけどすごくよくわかる。
    190冊目読了。

  • 『ちゃんとしたママ』
    何度も登場するこのフレーズが、徐々に呪いの呪文のように聞こえて来る。

    主人公は脚本家として活躍中の美汐。
    女性が働く事に理解ある夫と一人息子とのマイホームでの暮らしは何不自由ない生活に見える。
    だが息子の悠に発達障害の疑いがある事が判明し、美汐は自分の子育てを後悔し壊れていく。

    母性神話に囚われ、自分で自分の首を絞めていく彼女に共感する女性は多いと思う。
    けれど母親の『ちゃんとした』完璧さを子供が求めているとは思えない。

    子が安心して過ごせる居場所があればそれでいい。
    子育てに正解などないのだから。

  • これは私のことを書いているのか、と思った。あの時、こうしてあげれば良かった、なんでそんなことで怒った?いつも仕事、、、と自分自身が後悔したことが書かれていて。過ぎてしまった日々に戻ることは出来ないのだから、これからの子供たちを大事に、、、。
    内容は読みやすく、2日で読み終えました。現代の母親のほとんどが仕事をもっているため、子育てて悩んでいる方にオススメしたい。

  • 読ませる作品だ。苦悩でのたうち回る母親の姿に胸を掻きむしりたくなった。
    正しい、ちゃんとした母親とはどんなものだろうか。そこを目指してひた走る主人公の葛藤と苦悩がよく描かれている。
    のたうち具合が半端ないので、主人公の苦悩がいつまで続くのかと疑問にも思ったが、きっちり着地させる手腕がよい。

  • これは面白かった☀︎
    いいママになりたくて時間が巻き戻る…
    やり直す!
    構成が面白くて久しぶりに夢中になって読んだ…

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