危険なふたり

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344040977

作品紹介・あらすじ

新婚3カ月で破綻! その後40年の別居婚生活!樹木希林・内田裕也夫婦を主役に、よりによって「ホームドラマ」を書けだって!?売れないバツイチ脚本家の受難が始まった笑いと涙のエンタメ長編売れない脚本家・三林草生介は、人気大物監督に頼まれ、内田裕也・樹木希林夫妻を主人公にしたホームドラマの脚本を書くことになった。執筆は難渋。なんとか書き上げるも監督からはダメ出しが。失意の底に沈み街中をさまよう草生介がたどりついたのは、希林の旧宅。誰もいないはずの家からは、なんと希林が現れる。「あんたが私たちのホームドラマを書くのに協力してあげる。代わりに手伝ってほしいことがあるの」その日から、希林と草生介の不思議な共同生活が始まった――。

感想・レビュー・書評

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  • 登録番号:1027192、請求記号:913.6/H56

  • 2023年4月21日読了。

    P34
    夢は叶いそうになると
    恐怖に変わることを知った。

    P45
    自分が面白いと思うこと以外は
    やりたくないんだな。
    一日は二四時間しかない。
    それなのに今は観るモノが多すぎる。
    いくら時間があっても足りない。
    そんな中、作品を観てもらうには
    自分の面白いと感じるものを信じるしか
    ないと思ってね

    P65
    先人の詩文の発想·形式などを踏襲しながら、
    独自の作品を作り上げるってことです

    P66
    役者の度肝を抜くようなホンを作って、
    「演じるなんて、こんなもんでいいや」と
    冷めている俳優を本気にさせたいんです。
    それには、こっちが本気で環境を
    用意しなきゃいけない。
    物作りに潜む狂気を、この先、
    ドラマに携わる人たちへ残したいんです

    P84
    センスっていうのは、既製のおしゃれな服を
    選ぶことではなく、あるもので賄い、
    自分に合わせた着こなしをする術って
    ことなんです。
    ★これしかなかったら、
     その中でどう発展させていくか。
     まさに創造の原点ですよね。

    ★P118
    大事なのは、脚本で何が起きているかじゃなく、
    読んだ人の心で何が起きたかだ

    P121
    悲しさが癒えた後に淋しさが現れる。
    悲しさは一瞬、淋しさは永遠なのだ。

    P137
    人と比べる人は人のせいにもするのよね。
    人のせいにするのは、言い訳と悪口を
    考えなきゃならないから、実は面倒臭いことよ。
    そういうのコスパが悪いって言うの

    ★P141
    「センスがいい」なんて言い方は、
    相手をどう褒めていいかわからないから、
    センスって言葉で誤魔化してるのよ。

    ★P148
    希林はもっと人間をよく見なさいと言った。
    脚本家の都合で物語を進めるのではなく、
    人の心に潜む恐怖とおかしみを同居させなさい
    と言った。

    P153
    老婆という絵画にぴったりの額縁ではない、
    違和感のある額縁を用意する感性、勘、本質の
    捉え方が、寺内きんというキャラクターを生んだ。

    P155
    あんたの言う「自信」っていうのはさ」と
    前置きし希林は語った。
    「テレビ局の派手な雰囲気に慣れ、
    俳優同士で群れて、バラエティ番組にも
    出るようになって、その対応にも慣れてきて、
    人気者の友達も増え、居心地のいい群れの中で
    いい気になってくる。
    それを自信と勘違いするの。
    自分の心の中を、いやしさとか、さもしさが
    食い始めたなって気づいた時に、
    その群れから離れないと自分を見失うのよ」

    ★P173
    自分の人生とは向き合った方がいいわよ、
    とくに嫌なことと。
    一般の人にとっては、不幸なことは思い出しても
    嫌な思い出でしかないけど、作品を作る人に
    とっては、それはそれは尊い価値のあるものなの

    ★P197
    人生なんて人と比べても仕方がないの。
    もったいないわ、この運命を面白いと思わないと。
    どう思われようが平気な顔して生きればいいのよ。
    傷ついたことも含めて面白がる、
    それが脚本家ってものよ。

    ★P213
    人生に起きたエピソードは
    その人のアングルによって、
    どんな話にも変化させられる。
    創作の原点はここにある。

    P219
    自分にとって「家族のために働くこと」が
    大義だと思ってきたが、
    それは家族を想ってのことではなく、
    自分にはやりたいことを貫く自信が
    なかったからだ。

    ★P222
    自分の人生で起きた出来事、妬み、傷、淋しさは
    創作するための貴重な資源だと感じた。

    ★P237
    この先、年を重ねる度、
    喪失感は増えていくだろう。
    それは負の感情だけではなく
    創作し続けるための糧である。
    淋しさとは自分との対話であり、
    その対話が創作なのだ。

    P249
    「たった一回の過ちで戻ってこられない
    世の中は間違っているわね。
    さあ、もう一度世間に戻るのよ」
    と希林は言った。

    ★P254
    「おごらず、人と比べず、面白がって、
     平気に生きればいい」

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著者プロフィール

1964年、北海道生まれ。放送作家として「笑っていいとも!」「Qさま!!」「お願い! ランキング」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「林修の今でしょ!講座」などを担当し、2012年、『ボクの妻と結婚してください。』で小説家デビュー。他の著作に『もう一度、お父さんと呼んでくれ。』『「ファミリーラブストーリー」』『続・ボクの妻と結婚してください。』などがある。

「2020年 『喋る男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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