おあとがよろしいようで

著者 :
  • 幻冬舎
4.18
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  • (1)
本棚登録 : 712
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041714

作品紹介・あらすじ

人は皆、出会ったものでできている。金も夢も友もない上京したての大学生・暖平。ひょんなことから落語研究会に入ることになり、“背負亭(しょいてい)こたつ”として高座に立つ羽目に!?累計100万部突破の名手がおくる、新しい自分に出会える人生応援小説。あらすじ大学進学を機に群馬から上京したばかりの門田暖平は一人、新品のこたつを亀の甲羅のように背負い佇んでいた。配送料が払えず自力で下宿に持ち帰ろうと思ったが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことができない……。途方にくれる暖平の前に、一台のワゴンが停まる。乗っていたのは、入学式当日、構内で落語を演っていた落語研究会の部長・忽那碧だった。落研に誘われるが、金もなく、コミュニケーションにも自信がなく、四年間バイト生活をして過ごすつもりだと語る暖平。「必要なのは扇子一本。あとは座布団さえあればどこでもできる」という碧の言葉に背中を押され、暖平の人生が大きく動き出すーー。・「面白さ」「上手さ」は一つじゃない・明日が来るのが楽しみになるくらい準備する・徹底的に同じ型を踏襲し、初めて個性は爆発する・追い詰められてはじめて、人は真価を発揮する・どんな時も楽しむ。自分がやりたいことをやる

感想・レビュー・書評

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  •  今年のトリ(多分)になるであろう一冊に、本書を選択して正解! 最後を飾るに相応しかったです。
     喜多川泰さんの著作は、8年ほど前に4〜5冊続けて読んでいます。「自己啓発小説の旗手」の呼称は個人的に好みませんが、若い人にほど読んでほしい作家という認識は、今も変わっていません。独特の世界観である「喜多川ワールド」は健在でした。

     本書は、よりよく生きるための教訓を「落語」の物語の中に落とし込んでいるようです。
     自己肯定感が低く、マイナス思考の門田暖平(そうそう、主人公いつもこんな感じ)は、大学進学で上京し、落語と落研の先輩との交流を通して、「守・破・離」の先にある「個性」に気付いていきます。読み手は、暖平を応援し成長を見守りながら、知らず知らず勇気や希望をもらっている気になります。

     構成も、まくら・噺が十一席(各演目、中入りあり)・サゲと、寄席の流れにつながる工夫がなされ、楽しくスルスル読み進められました。
     名言が道徳っぽく、鼻に付くという方もいるかもしれませんが、悪い人が登場せず読みやすいです。心が温まり、前向きになれること請け合い!

     私も〝年寄っ亭しっぷ〟とか、笑える芸名と扇子一本でYouTubeデビューしてみようかしら‥。
    ムリムリ、センスなし!(いや、扇子はあるヨ!)
    つまらないオチ(泣)‥
     次(来年初)の本の準備が整いましたので、今年はここら辺でご無礼します〜お後が宜しいようで〜

     今年もブクログの皆様には大変お世話になりました。来年もよろしくお願い申し上げます。
     皆様、良いお年を〜〜〜

    • かなさん
      本とコさん、おはようございます(*^^*)
      私もこの作品、図書館予約中です!
      本とコさんのレビュー読んで
      ますます読むのが楽しみになり...
      本とコさん、おはようございます(*^^*)
      私もこの作品、図書館予約中です!
      本とコさんのレビュー読んで
      ますます読むのが楽しみになりました。
      こちらこそ、大変お世話になりました。
      よいお年をお迎えくださいネ!
      そして来年もどうぞよろしくお願いします。
      2023/12/31
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      かなさん、おはようございます♪
      大晦日のコメントうれしいです!
      お互いに、来年もよき読書生活ができますように☆彡
      かなさん、おはようございます♪
      大晦日のコメントうれしいです!
      お互いに、来年もよき読書生活ができますように☆彡
      2023/12/31
  • 大学進学を機に群馬から上京した門田暖平は、慣れない土地での新生活の不安もあり、新しい友達をつくるのさえ億劫に感じていた。
    ひょんなきっかけで、落語研究会に入ることになった暖平が、先輩たちの話を聞くことで今までの殻を破って大きく成長していく姿を描く物語。

    落語の登場人物はみんなどこか抜けてる。欠点だらけだけど、一つだけいいところが誰にでもある。
    その一つだけのいいところで社会にちゃんと居場所をつくって、お互いにそれでよしとしている。何の文句もない。お互い人間だから、馬鹿なところとか、自分勝手なところとか、あるよねってのが根底にある。

    自分もそのままでいいと思ってもらいたいんなら、相手もそのままでいいって思わなきゃいけないって気づいた。

    予習をすることで明日が来るのが楽しみになる。

    何をみるか、何を聞くか、何を感じるか、何を経験するかによって、世界に対する認識が変わる。


    人と関わるのが苦手で、一人がいいって思っているけど狭い世間しか見ずに終わるより、まずは動いてみようと思える。

    人と出会うことの素晴らしさを感じる物語である。
    寄席に足を運んだことはないけれど、本文に少し出てくる演目にも興味を持った。


  • 「運転者」、「賢者の書」同様、優しいお話でした!
    大学の落研が舞台となっていて、
    落語を実際に聴いてみたくなりました!

    オチが綺麗でした!

  • 落語を中心に、とある大学1年生の1年間を描いた小説。主人公暖平は地元群馬から出たくて東京へ進学。人見知りで友達もできない中、ひょんなことから落研に入部。とても小所帯のサークルだが、全部員が思いやりがあり温かく、それも暖平が心を開くきっかけとなったのだろう。人との出会い、落語との出会いを通じて少しずつ前向きな考え方を身につけていく暖平は幸せだ。私は残念ながら落語に不案内だが、落語がわかる人はより一層楽しめると思う。

  • 『おあとがよろしいようで』喜多川泰

     出版されたものはほとんど読んでいる喜多川泰さんの本。最近、ちょっとネタ切れ気味かなと油断していたら、『ソバニイルヨ』に次いで心に残る名作だった。

    喜多川泰さんの一番凄いところは、のせるうまさだと思う。冷めた目で読んでいるといると、さむくてしらける。私は冷めきった方なのに、まんまとのせられる。

     この物語は、大学生になった、人との交流がなく、冷めた目で世の中を見ていた「こたつ」こと暖平が、落語サークルの先輩「文借亭那碧」(あやかりていなあおい)こと碧の名を継ぎ、「文借亭門田」(あやかりていもんだ)になるまでの成長物語です。

    一番印象に残ったのは、自分の、閉ざされた中にいる脳に、色んな素晴らしい体験を見聞きさせてあげたいという考え方。
    読んでいる最中は、本当にそうだ!とこんな私でも前向きになっていました。

    学祭の落語会の名前、『日々喜会』(ひびきかい)
    ひびきあうとも読める…が印象的でした。

    *********
    (抜粋)
    ○自分もそのままでいいと思ってもらいたいんなら、相手もそのままでいいって思わなきゃいけないって気づいた。

    ○落語の登場人物は欠点だらけなんですね。だけど、1つだけいいところが誰にでもある。その1つだけの良いところで、江戸の社会にちゃんと居場所を作って、お互いにそれで良しとしているんですね。お互い人間だから、馬鹿なところとか、自分勝手なところとか、あるよねってのが根底にある。そういう世界に憧れたんです。

    ○相手に変わることを要求するような見方をやめた時から、自分が変わらないと誰にも受け入れてもらえないなんて考えなくなったんだから、原因は全部自分にあったのかもって思ってね。それからは、相手がどんな奴でも、そのまま受け入れて仲良くなれるようになったんだ。

    ○本当は、自分が相手のことを条件付きで見ているのに、相手が自分のことを条件付きでしか見てくれないと思い込んで、孤独を感じて、生きづらくなってるやつってたくさんいると思うんだよ。

    ○落語の登場人物は欠点だらけなんですね。だけど、1つだけいいところが誰にでもある。その1つだけの良いところで、江戸の社会にちゃんと居場所を作って、お互いにそれで良しとしているんですね。お互い人間だから、馬鹿なところとか、自分勝手なところとか、あるよねってのが根底にある。そういう世界に憧れたんです。


    ○明日は来るのが楽しみになる位準備する。

    ○師匠から教わった通り、全く同じようにできるまで練習して、間の取り方や、表情の付け方まで真似してできるようになって演ってみるんだけど、全然違うものになる。そうやって表れてくるのが個性ってやつだ。

    ○人は出会ったものでできている。

    ○お前の脳を『こ・こたつ』とする
    お前はお前の中でずっと一人ぼっちで、真っ白い壁の中で、外界に触れることもないまま、お前の目や耳といった窓から入ってくる情報を頼りに世界を知りたいと思ってきた『こ・こたつ』にこれから何を見せてやりたい?何を聞かせてやりたい?それはできることならさ、世界ってこんなにすごいんだぜって、こんな素晴らしい人がいるんだぜ、こんなすごいことがあるんだぜってことを見せてやりたいじゃない

  • 初の喜多川泰作品。
    悪い人が出てこない、穏やかな話だった。

    落研のメンバーそれぞれが、主人公の暖平を導いていく。
    凜が教える、楽しく生きるための「予習」の大切さ。
    健太が教える「そのまま」でいることを自分にも相手にも許すことの心地よさ。
    常に冷静で何事にも動じない正範の、部を静かに鼓舞する力も素敵だと思った。
    「こういうバタバタな状況こそ落語らしくていいじゃないですか。大丈夫ですよ。きっちりしてるのが好きな人は落語を見にきたりはしませんから。なんだか間の抜けた、締まりのない運営でバタバタ慌てふためきながらやってやりましょう。」

    タイトルの「おあとがよろしいようで」は、「私の時間は終わりが来ていて、次の人の準備が整いましたので、私は下がります」という意味。
    部長の碧が、暖平に落語の技術や心構え、それ以上に生き方の術を教えて、部を去っていく。「おあとがよろしいようで」を言うのは部長なのかな。


    「だって、どこまでも同じことをやってるのに、一緒にならない部分のことを『個性』っていうんだろ?」

  • うわ~、これいいなぁ。
    2024年上半期ベストになりそうなくらい良かった。

    大学進学で上京した人付き合いが苦手な暖平。
    自分の殻にとじ込もり、この先も1人なんだと卑屈になっていたが「落研」部長・碧に出会い、少しずつ変わっていく。

    『人は皆、出会ったものでできている』

    暖平が落研メンバーと出会い、新しい経験や失敗を通して変わっていく姿を見るのが嬉しい。
    成長を見守るような気持ちでの読書。
    健太が落語に興味を持ったきっかけ、凛さんの記憶力がいいという流れからの話、どちらも良かった。

    落語の知識がなくてもテンポよく読めて楽しくて、悩んだりするのも含め「青春」って感じがする。
    ストーリーとともに心に留めておきたい言葉がスッと入ってくるのもいい。

    人との出会いって本当に大きい。
    毎日を楽しむためのヒントが詰まってる。
    そっと背中を押してくれて、明るく前向きな気持ちになれる素敵な作品でした。

    巻末にある作中に登場した演目紹介も嬉しい。
    老若男女問わずお薦めしたい、自己啓発的な小説。
    すっかり“喜多川ワールド”にハマりました!

    『初めての人ができないものってあんの?それってみんなどうやって始めたんだよ』

    『今のお前はこれまで出会ったすべてだ。
    でも、未来のお前はこれから出会う全てだ』

    『俺たちは、何を見るか、何を聞くか、何を感じるか、何を経験するかによって、世界に対する認識が変わる』

  • 誰かに会うのが楽しみになるくらい予習する、人生を自分から楽しいものにするという考えが素敵です。

  • 【がんばってみる】
    小説です。

    喜多川泰さんは裏切りません。

    先日、講演を聴講させていただきました。
    非常にいい話をありがとうございました!
    感動です。

  • 人は皆、出会ったものでできている。
    主人公が出会った人の影響をうけて成長していく姿に胸が熱くなる!

    落語に関する知識が全くなくても楽しめましたし、逆にすごく興味が湧きました。
    そして、人生について今までの自分になかった新しい考え方を教えてもらった。
    気になる方は是非本書を読んで確かめて欲しい。

    すぐにまた読み返したいと思える最高の一冊でした。

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著者プロフィール

1970年生まれ。愛媛県出身。東京学芸大学卒。2005年から作家としての活動を開始。『賢者の書』でデビューする。10年『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』が13万部のベストセラーとなり、映画化、舞台化された。「喜多川ワールド」と呼ばれるその独特の世界観は、小学生から80代まで幅広い年齢層から愛され、その影響力は国内にとどまらず、多数の作品が台湾・韓国・中国・ベトナムでも翻訳出版されている。執筆活動だけではなく、全国各地での講演やセミナーも開催している。主な著書に、『おいべっさんと不思議な母子』『One World』『秘密結社Ladybirdと僕の6日間』『[文庫]福に憑かれた男』『君と会えたから……』『手紙屋』『株式会社タイムカプセル社』『運転者』等がある。

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