無銭優雅 (幻冬舎文庫 や 1-12)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1442
感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344413528

感想・レビュー・書評

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  • 大人向け雑誌の武蔵野を歩く特集から抜け出てきたみたいな2人がリアル…この本に出てくる界隈は深掘りするとエリア外に出たくなくなると思っているし、街の中を巡るだけで世界中に行けてしまうの判る

  •  「学問」の次のこの作品です。学問のような彼女の箱庭はどうもこの作品にはありませんでした。ちょっぴり残念です。なんだか2人よがりの好き好き好きの押し付けがだんだんしんどくなってきました。全然おもしろくない作品ということではないです。求めていた箱庭感が…
     でも、山田詠美さん。あと2冊ばかりは読んでみたいと思います。

  • 42歳、中年男女の恋愛。
    だらしないように見えて繊細な二人は”死”を想いながら、恋愛を盛り上げる。愛が溢れ続ける生活のなかで徐々にあきらかになる栄の過去。両親、兄夫婦との暮らしのなかで慈雨の前に突然現れる本当の死。
    なんやかんや言っても愛こそはすべてなのだ。All You Need Is Love。毎日、誰かと一緒に楽しく過ごせること、結局それが一番の幸せ。

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    慈雨さんと栄さんのラブラブ話より、慈雨さんと彼女の両親との関係性を気にしながら読んだ。
    年齢が上がれば親との関係も変わる。わずらわしいこともたくさんある。でも、親は自分よりもきっと先に死んでしまう。時間はたくさんあるのかもしれないし、全然ないかもしれない。それはその日がくるまでわからない。

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    先日実家に帰ると、母が「塁くん、塁くん」と言っているので何のことかと思えば、NBAドラフト一巡目で指名された八村塁選手のことだった。これほど母がバスケットに対して興味を持ったことはかつてなかった。「そんなに塁くん見たいなら日本代表戦のチケット取ろうか」と訊くと、母は強く頷いた。
    ドイツ代表との試合のチケットを購入し、母とさいたま新都心へ向かった。電車のなかから母は興奮している様子でこちらも嬉しくなった。スーパーアリーナで行われた試合は大盛り上がりで、塁くんの大活躍もあり、日本代表が接戦を制した。
    https://www.youtube.com/watch?v=edL96ipV6VY
    試合終了後、選手たちのインタビューもすべて見終えてからオペラグラスを顔に当てたままの母が言った。
    「明日も試合あるんでしょ。もっと観たいな。明日のチケットはもう買えないの?」
    そんなにバスケット好きになっていたのかと驚くと同時に、明日のチケットも買っておくべきだったと悔やんだ。
    母がわたしに対して「何か欲しい、どこかに行きたい」と要求してくれることはほとんどなかった。実家に帰るとき、何か買っていこうかと訊いても「ビールでいい」としか言ってくれない。たぶん息子の負担になりたくない、と思っているんだろうな。すこしくらい親孝行したいのに。

    だから、「もっと観たい」と言ってくれたときはすごく嬉しかった。”もっと”っていい言葉だ。
    「今度この会場でバスケの天皇杯あるけどどうする? 塁くんはいないけどチケット取ろうか」と言うと、母はまた強く頷いてくれた。
    欲しがってもらえることは嬉しいことだ。

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    物語のなかで何度か登場人物たちが「意味ある偶然」というフレーズを使う。
    先日幕張で開催されたサマーソニックでYUKIはこう歌っていた。
    ”運命は必然という偶然で出来てる”。

    運命とか人生について考えだすとキリがない。頭が混乱するだけだ。
    大切な人たちと毎日楽しく、自分の人生を生きる。意味や答えはあとからついてくる。そんなもんだ。

  • タイトルに惹かれて借りてきた本。
    奥さんになる人生を選ばなかった、マイペースな女性の自分の価値観に素直な恋愛が描かれる。自分の気持ちに正直に、相手と付き合う、こういうふうにできたらホントに良いと思う。

  • 今年の冬休みの読書。
    ラビット病を思い出すような中身だった。
    ラビット病に、もう少し歳をとってからかかるとこんな感じだなぁ…という内容。
    久々に、山田詠美で、読んでいてほんわかする内容の本を読んだ。

    札幌市の図書館で借りた本。

  • ストーリーは良かった。死に対して考えるところも有り。
    しかし、40過ぎた大人たちはこんな呑気にいくもんかというかやはり人はいくつになっても、青二才なのか、、、

  • このテンションの山田詠美は苦手かもしれない…と思いながらも読み進めたら、最後はなんだか泣いていた。
    親が死ぬのは怖い。死んだら立ち直れない。その悲しさを、好きな人に慰めてもらうのは、なんて真っ当なことなのだろう。
    やっぱり山田詠美はすごかった。

  • 45才、慈雨ちゃんと栄くん。
    中年になってから出会い、始まった大人の恋。
    読んでて恥ずかしくなるくらいあけっぴろげの小学生のような二人。でもなぜか少し羨ましい。
    まったく恋愛小説っぽくない恋愛小説。
    二人の周りにチラホラと見え隠れする「死」の気配によって、大人の恋は盛り上がる。
    本当にお互いを必要としあうことで結び付いている二人、きっとずっとこのまま無邪気な関係のまま年を重ねてゆくんじゃないかな。
    2017/10

  • 可愛い話し。
    恋がしたい。

  • 慈雨ちゃんと、栄さん、ほっこりかわいいなー素敵だなー
    くだらないけど、そんな日々こそ幸せなんだろうな、きっと。
    幸せで楽しい日々が一番だ。
    栄くんみたいなタイプ、頼りないかなって思ってたけど、穏やかで、思いやりのある優しさ、包み込んでくれるあたたかさ、そんな人と過ごせるのが一番幸せなのではなかろうか。みかけだけではない。その人の本質を見なきゃ
    いつでも直球で、思うアラフォーとは全然違うけど、こんなカタチも素敵だなー
    いくつになっても、こんな気持ち、忘れずにいたいなー
    最後は涙もあふれ、他愛ない幸せとか思いやり、アタタカサこそ大切で幸せだなって思えるほっこりした本でした

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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