告発者 ((幻冬舎文庫))

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 144
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422025

作品紹介・あらすじ

権謀術数が渦巻く出世争い。欲望、嫉妬、裏切りが引き起こす情報操作-メガバンクが生み出した「合併」の弊害に悩まされる広報部員・裕也のもとに、写真週刊誌が頭取のスキャンダルを入手したいという情報が入る。事実確認に追われる彼が掴んだ驚愕の真相とは?密告者の狙いとは?銀行を知り尽くした著者だからこそ物し得た超リアル企業小説。

感想・レビュー・書評

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  • 過去最高益を出した会社なのに、銀行の貸し渋りにあい倒産してしまった。その会社の社長の美人の妹が銀行に逆襲を誓うが、頭取のスキャンダルでしか追い詰めることは出来ないと悟り、自ら身体を投げ出す。その妹は主人公の元恋人で今でも忘れられない人であった。また、バブル期のつけの合併の弊害は今でも残っていそうなのがわかる物語である。

  • 2021.6.17-417

  • 普通の銀行作品である、とくにワクワク感は起こらなかった。スーと読み流した。

  • 著者は銀行員時代に総会屋利益供与事件の際に広報部次長という立場だったそうだ。
    上層部が隠蔽しようとした事に異議を唱え、けじめをつけるべきだと進言し、多数の逮捕者が出る大事件の中で改革を成し遂げたと思われたが、その後厄介払いとして左遷されてしまう。
    それを基に本書を読むと、著者の目指した又は欲したヒーローが主人公の裕也なのだろう。

    裕也は一行員として、様々な問題に巻き込まれながらも信義を尽くそうとする。

    と、そう思って読み進めていたけれど、裕也も結局は欲の為に行動してしまうのが気になった。
    着地点は同じではあるけれど、そこに人間臭さよりも不快感を抱いたのは、私が女だからなのだろうか。

    物語が動き出してからすぐに「きっとこうなるのだろう」という予測が立ち、特に驚きもなく予測通り進むのはまだ良しとしても、なんだお前も下半身で物事を考えるただの馬鹿男かと落胆してしまった。

    そして、散々合併銀行の弊害として派閥争いの為に誰がどこで聞き耳を立てているか分からないといった描写がこれでもかと書かれているのに、後半になるにしたがって、不用意な行動しかしなくなり、案の定ピンチに陥る。
    波乱を起こすにしても安直すぎる。

    最終的にはハッピーエンドではあるものの、ラストシーンも何とも言えない不快感ともやもやが残る結末だった。

  • 銀行モノは池井戸潤しかよんだことがないが、これもエンタテインメント性の高い秀作。楽しみながら、銀行合併問題に対する理解を高められる。主人公の関口裕也が何となく半沢直樹にダブって見えるのは僕だけではないはず。

  • 銀行小説。池井戸潤氏と同様、銀行マン出身の作者だけあってリアルに銀行の内情を描いているのだろう。
    どこの企業でも不祥事、コンプラ違反の事案ていうのは大なり小なりあるのだろう。その中で、それを正す良識人がいるかどうかによってその企業が泥沼にはまり込むか、それをきっかけにより浮上するかの分かれ道に立たされるのかもしれない。
    企業は人なり。この小説でもその良識ある若手行員を中心に物語が展開していく。
    実際のみずほファイナンシャルグループの3行統合後のドタバタを題材に現実に即した形で描かれている。
    ミズナミファイナンシャルグループがみずほファイナンシャルグループ、ミズナミホールセールバンクがみずほコーポレート銀行、ミズナミリテールバンクがみずほ銀行。(そのまんまやん)
    文庫本の表紙の建物もみずほの本店じゃないかな?
    しかも、みずほコーポレート銀行の初代頭取の路上キスの話も題材になっている。
    銀行というか企業の内部の権力闘争としての派閥争いなど、嫌な部分が描かれていてちょっと気分が悪くなるが、特に金を扱う銀行ってこういう世界なんだろうなと妙に納得した小説。江上氏の作品はこれで2冊目。多作な作家なので他の作品も読んでみようかと思う。


    私が社会人になったときは、都市銀行と呼ばれていたのは13行。

    第一勧業銀行
    富士銀行
    三菱銀行
    三和銀行
    東海銀行
    東京銀行
    三井銀行
    太陽神戸銀行
    住友銀行
    大和銀行
    協和銀行
    埼玉銀行
    北海道拓殖銀行

    破綻してなくなった銀行もあるが合併統合を繰り返して、今や4行。
    これを見るだけでも月日が経つのが早いと感じてしまう。
    それにしても銀行に対してはいいイメージを持っていないなあ。銀行ってろくなところじゃないと金のない私は思ってしまう。(^-^*)

  • メガバンクが生み出した「合併」の弊害に悩まされる広報部員を、前代未聞の頭取のスキャンダルが襲う。それを機に泥沼化する派閥抗争の果てに彼が見たものは…。欲望、嫉妬、裏切りが渦巻く企業小説。

    三行合併のみずほ銀行がモデル。作者もかつて第一勧銀の広報部次長だった。現実にみずほの頭取が起こしたスキャンダルが描かれているが、企業小説にありがちな描写の薄さで魅力の乏しい作品だった。
    (D)

  • おもしろいです。

  • 江上さんの本には、よく美女が登場する。
    そして、ちょっと色っぽい展開になりがちな印象。

    本作も、またそのパターンか、と読むのをよそうかと思ったが、なんとか読了。

    正義感なのか、出世欲なのか、性欲なのか、恋愛なのか。
    どこに本質があるのか分からないが、物語は進む。

    失礼ながら、江上氏も実体験として、最後は不本意に終わられたであろう第一勧銀での会社人生。

    その原因の一つでもあるのであろう、合併した銀行の、辞めた後も全く変わらぬ体質を浮き彫りにすべく、欲望渦巻くわけのわからぬ銀行の内情を、そのままわけのわからぬように書いたと思うと、なかなか味わい深い。

    が、成仏して、もっと心洗われるような物語を編んでいただきたいもの。

    「下町ロケット」を読み返したくなりました。

  • 最後の展開がいまいち盛り上がりに欠ける。
    もうちょっと頭取たちの醜い争いを見せてほしかった。

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著者プロフィール

1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。77年、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。人事、広報等を経て、築地支店長時代の2002年に『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。03年、49歳で同行を退職し、執筆生活に入る。その後、日本振興銀行の社長就任、破綻処理など波瀾万丈な50代を過ごす。現在は作家、コメンテーターとしても活躍。著書に『失格社員』(新潮文庫)、『ラストチャンス 再生請負人』(講談社文庫)、『我、弁明せず』『成り上がり』『怪物商人』『翼、ふたたび』(以上、PHP文芸文庫)、『50代の壁』(PHP文庫)など多数。

「2023年 『使える!貞観政要』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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