癒し屋キリコの約束 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.68
  • (76)
  • (134)
  • (142)
  • (14)
  • (9)
本棚登録 : 1544
感想 : 121
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344423657

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつもレトロな昭和の歌謡曲が流れている純喫茶『昭和堂』。オーナーの霧子がみんなの悩みを解決して癒してくれる。でもタダではない。お賽銭をたっぷりいただくシステムになっている‥‥そして霧子はいつも酔っ払っている‥‥。
    読み初めはなんだかお気楽な楽しいお話のような感じだったのだけど、やっぱり森沢明夫!後半はページを捲る手も涙も止まらない。
    登場人物たちそれぞれが抱えているものがあまりにも辛い。でも「たとえ人生に笑えないことが起きたとしても、人はこんなにくだらない会話で笑い合えるし、きっと笑った方がいいんだ」。これが言いたくて前半はお気楽なお話だったのでは?と思う。
    「あの過去があるから、いまの自分があるって、そんな風に受け入れて感謝できた瞬間に、人は過去から自由になれる」
    そして、自分のことも他人のことも、まるっと受け入れていそうな常連さんたち。
    〜人は長所で尊敬されて、短所で愛される〜
    登場人物がみんな憎めなくて、ステキなお話でした。

  • 銀杏商店街にある純喫茶「昭和堂」の店主 霧子は
    妖艶で美人でミステリアス
    彼女の裏の顔「癒し屋」は、近頃ちょっとした評判になりつつある。その裏稼業に秘められた秘密と彼女を取り巻く面々の全7章からなる物語

    物語は、主に雇われ店長のカッキー目線で進む。
    各章にはストーリーの鍵となる昭和歌謡のワンフレーズが引用されサブタイトルになっている。

    戦慄のプロローグが衝撃的で、頭の片隅に大きなしこりを残したまま各章が始まる・・・
    あれ?『癒し屋キリコの約束』だよね?
    癒し要素、皆無なんですけど〜っ!
    とプロローグを読んだ後で叫びたくなった笑

    序盤は、ろくに働かずカッキーにお店を任せて、ビールを浴びるように飲み、御賽銭と御礼参りだけには抜け目なく欲深い霧子に、全く好感が持てず何度も失速してしまった。
    この人無理だわ〜と何度も思った。

    中盤、裏稼業の霧子の働きぶりに触れているうちに、ジワジワと何だか憎めない感じになってきた。
    しかも、たまに結構いい事言うし。
    実はもの凄く了見が広い人なのか?
    でも何処までが計算なんだろう?
    出たとこ勝負感も否ない。

    終盤、店長のカッキーと、霧子自身の秘密が明らかになる頃には、すっかり虜になってしまう。
    いつの間にかラストのネタバレでは目頭が熱くなる程だった。

    いやぁ〜何とも追い上げ感の凄い作品だった。
    何だか心の中が、欽ちゃんの仮装大賞のパネルみたいになった。←通じる人には通じるはず!
    おまけに大好きなゴンママも出て来るし♪
    昭和歌謡とのコラボ?も良かった。
    懐かしい楽曲の世界観とも重なって趣深い。
    読み終えれば、やっぱり森沢明夫ワールド全開で、優しくて温かい作品だった。

    これから読まれる方へ
    前半で投げ出さず是非最後まで読んでください。
    視界が開けて肩の荷がおりた様な清々しさと、温かな余韻に包まれます。


    以下、特に印象的だったフレーズを幾つか


    「幸せってね、なるものじゃなくて、気づくものなのよ。もしも自分のことを不幸だと思ったら、そのときは自分の身体の値段を思い出して、ついでに身のまわりのモノを片っ端から値段に置き換えてみるといいわ。もちろん、家族の値段も含めてね。そうしたら、いかに自分は恵まれていて、幸せかってことを思い出せるから」


    「才能ってのはね、成功するまで絶対に努力を止めないって、自分自身を説得し続ける能力のことを言うのよ
    夢が叶うまで、折れずに、ひたすらベストを尽くし続けることー、それができる人を、夢を叶える才能がある人って言うの」


    「そもそも人生には、生きる意味なんて何ひとつないんだよ。何もないまっさらなところでいろんな経験をしてさ、その経験にたいして、自分なりに意味付けをして、それを味わうのが人生じゃん。」


    「人間てのは、他人に「ありがとう」って言われるために生まれてきてんの。だから、人の役に立って、喜んでもらえたときは、その人の使命が果たせてるわけ。使命が果たせたとき、人は自動的に幸せになっちゃうわけ。」


    「人ってさ、長所で尊敬されて、短所で愛されるんだよ。だから、どっちも大事なんだよ。」

    • こっとんさん
      はなちゃんさん、こんにちは♪
      いつもありがとうございます(о´∀`о)
      欽ちゃんの仮装大賞…分かりますꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
      まさに!ꉂꉂ(ˊᗜˋ...
      はなちゃんさん、こんにちは♪
      いつもありがとうございます(о´∀`о)
      欽ちゃんの仮装大賞…分かりますꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
      まさに!ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
      後半にかけてどんどん点数高くなってきますよね。
      『人は長所で尊敬され短所で愛される』
      名言!つい最近、息子に話しました。聞いてたか分かんないけど…( ̄∇ ̄*)ゞ
      これからもよろしくお願いしますね♪
      2024/02/16
    • はなちゃんさん
      こっとんさん、こんばんは♪

      こちらこそいつもありがとうございます(о´∀`о)
      欽ちゃんの仮装大賞つうじてた〜!
      めっちゃ嬉しい〜っ!!
      ...
      こっとんさん、こんばんは♪

      こちらこそいつもありがとうございます(о´∀`о)
      欽ちゃんの仮装大賞つうじてた〜!
      めっちゃ嬉しい〜っ!!
      そうなんですよ、森沢作品いつも名言ありすぎて沁みるんですよね〜
      母から息子さんに…なんて素敵ですね。
      私も誰かに話したい( ̄▽ ̄=)
      ムフフッ…
      こちらこそ今後ともよろしくお願いします♪
      2024/02/16
  • 癒やされました。
    主人公?のキリコさんはちょっとなんだかなというあまり好感の持てるタイプではないかも…と思いながら読み進めていましたが。
    癒やしの方法の斬新さと優しさに、あぁ~この人は人が大好きな人なんだな、と。
    ちょっと誤解されてしまいそうな立ち居振る舞いだけど。
    彼女の言葉は深く入りこみます。ちょっと意地悪な感じで話しますが言葉の中身はとても深くて温かです。
    その言葉は書き留めておきたくなるような、生きていく支えになるような。
    確かに癒やされました。

  • 憎めそうだけど実はいい人。でも、すぐに憎めそうな人になり最後はいい人に、を繰り返す霧子さんにハマります。

  • 森沢明夫さんの作品は、大事なことほど小声でささやくに続いて2冊目。ブクログユーザーさんの本棚でよく見かけ、気になっていたときに古本屋で出会ってしまい即購入。

    動かない現実に対して、どう受け取ってどう生きていくのか。のんべんだらりとしているように見えるキリコさんがさりげなく道を示して、各章の登場人物たちが道を見つけて歩いていくような、ふっと包んでくれるような、作品だと感じた。
    主人公カッキーやキリコさん自身も、自分の人生の宿題のようなものに直面し、乗り越えていく。

    胸に刺さった言葉がたくさんあって、忘れないうちにここに示しておこうと思っていたのに、読み終わってすぐに身内に貸してしまった笑。

    ちょこっとだけど、スナックひばりが出てきたのが嬉しい。

  • 自分が思ってた【癒し】とは全然違った笑
    というのもタイトルにあるキリコさんがわたしの思う癒しのイメージとかけ離れてたから笑

    キリコさんのキャラ?がわたしにはあまり馴染めないというか…現実味がなくて【これは小説なんだな】と実感させられてしまうような感じが少し残念だったけど、それでも内容はすごくよかった。

    生きていくことに対して背中を押してくれる沢山の言葉にすごく感動した。
    これが【癒し】ってものだったのかな…笑

    各章で出てくる懐かしい昭和の曲のワンフレーズもとてもよかった。懐かしい〜!
    お店に来る悩める人の話がずっと続くわけでもなく"東京太郎"の正体とか、先が気になるドキドキハラハラ感もあってとてもよかった。

  • 癒されました。
    霧子さんとカッキー、常連客との癒しや家業。癒しを求めて昭和堂を訪れる人達。
    霧子さんの言葉が沁みます。

  • 「人間ってさ、真剣に何かに迷っているときは、他人の言葉に安易に従うよりも、とことん迷いに迷ってでも、自分で答えを出して、その答えのとおりに行動した方がいいんだよ。だって、それが、成功しても失敗しても、心をすっきりさせる唯一の方法なんだから」そうだよね!と納得できるフレーズにこの本の魅力を感じた。
    ちょっと弱気になってしまった時に読みたい本。

  • 癒し屋ってホント?って思うくらい、はちゃめちゃな手法で依頼者の悩みを解決していく。昭和の歌謡曲もピッタリで、懐かしさもあってか、カラオケ行きたくなりました。
    カッキー、霧子さん、そして涼くんの抱えていたものは苦しくて、向き合って乗り越えていく姿はウルっときました。
    『ありがとう』って言葉の本質的な部分にある大きな意味と『断ち切った過去』と『受け入れた過去』の違いは、強く心に残りました。
    『大事なことほど小声でささやく』のメンバーがチラチラ出てきたので、森沢さんの2作目がこれで良かったなぁと思います。

  • 長所は尊敬し、短所は可愛がる
    そんんな心構えで生きていけたら人間関係も大きく変わるのだろうな

著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森沢明夫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
朝井 リョウ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×