昭和の犬 (幻冬舎文庫)

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  • 幻冬舎 (2015年12月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344424203

昭和の犬 (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 戦後から2000年代までの「イク」という田舎生まれの女性が生きてきたなかで出会った犬(メインは犬だけど、猫も出てくる)とのエピソード集のような小説。
    やけに設定が、細かいなぁと思ったらあとがきに自叙伝的な話とあった。なるほど。年代を見てわかるように、平成の犬も出てきます。

  • 愛情を示さない両親に従順に従って生きる主人公「イク」の、幼児時代から初老に近づくまでの日々を、8つの章に分けて描く。普通には幸福な家庭と言えないが、そばにはいつも犬や猫がいて、イクを支えてくれた。いや、犬や猫ばかりではでなく、多くの人たちが人生の道々でイクを応援してくれた。怒りっぽい父は、ソ連での捕虜の辛酸な経験が彼の人生を変えたようだし、変わり者の母にも母の事情と人生があった。でも両親も、物語を構成する多くの人物や犬猫も、イクの人生を肯定しているようだ。『すべてのものごとは、各人の胸に据えられた鏡にどう映るかなのである』という著者の多様性を容認する姿勢が気持ちよい。イクは作者姫野氏自身を描いているようだ。

  • ★★☆☆☆

  • 生まれた時から転々と預けられ
    5歳で両親と共に暮らし始めた「イク」

    気難しく、理不尽に怒鳴り散らす父
    夫や生活に倦み、何を考えているかわからない母

    イクにとって家庭は、決して居心地のいいところではなかった。

    けれど、彼女のそばにはいつも犬(と猫)がいた

    作者の半自叙伝的なお話。
    幼少時から大人になるまでを淡々と語っているが
    時代の香と共に、引き込まれてしまう作品です

  • まさしく昭和
    まだ犬が外で飼われていたころの懐かしの時代
    当時の様子が思い起こされる

    風景と共に心情もよみがえった

  • 風変わりな両親の元で育ったイクの幼少期から50代までの話。

    現代ではネグレクト、虐待ともとれる環境で育ったイク。悲惨な環境だが、周囲の人たちとの交流がありそれほど悲壮感は感じない。が、楽しいエピソードではない。

    色々な犬がその都度登場するが、決して感動的な犬との心温まる話ではない。あくまでも日常に犬がいた、という感じ。

    前半は退屈であったが、後半、イクが成長してからの話は引き込まれた。
    両親や、家主、おじいさんとマロンの話は温かさを感じる。
    前半が退屈で、少女時代のイクがみじめだったが、読んでいて最後の最後にこんなに気持ちが温かくなるとは思いもよらなかった。

  • 比較的淡々と綴られていますが表現力がすばらしいので、最後まで楽しんで読めました!
    なんとなく理不尽な家庭環境で育ち、おとなになった主人公が回想したり、思い出を語ったり。
    うまい具合に犬が絡んでくるところも癒されポイントでした。
    タイトル通り!

  • 柏木イクという一人の女性。
    昭和30~40年代に滋賀県に生まれ育ち、大学入学を機に上京、中高年で滋賀と東京を行ったり来たり。
    柏木イクと犬や猫たちとの、そして、家族や隣人・その他の人々との関係を通じて、昭和(一部平成)の時代とともに柏木イクの半世紀を物語る本作。
    第150回直木三十五賞作品。

    大寒という一年で最も寒い季節に読んだからでしょうか。
    本作を通じて伝わってくる温かさがより一層強く感じられました。
    ふわふわの犬や猫たちに触れているかのような温かさが、心を包み込んでくれる感覚。
    本作で語られる「つながり」がその温かさを醸し出しているように思います。

    まずは、動物たちとのつながり。
    私自身、四国の片田舎での生まれ育ち。見渡す限りの田園風景が私の原風景。愛くるしい犬や猫たちを飼っている隣人が多くありました。我が家でも飼うという夢はついぞ叶いませんでしたが...
    また、長じてからは、友人宅のミニチュアダックス、米国留学時に月単位で知人から預かった猫たち、田舎に帰れば愛嬌を振りまいてくれる「みかん」と名の付く猫などなど、いろんな場面で触れあった動物たち。
    本作における柏木イクと犬や猫たちとのつながり・ふれあいを見るにつけ、私自身が身近に接してきた犬や猫たちの匂いや感触や温かさが思い出され、それだけで、なんとも心がほっこり温まります。

    そして、人々とのつながり。
    主人公の柏木イクは話すことがあまり得意ではありませんが、動物たちとのつながりにも助けられながら、様々な人々とつながっています。
    そんなつながりの中で、特に本作後半の「ペチコート作戦」あたりから明示的に語られる、主人公イクの人や時代に対する視点や想いが私の心に強く響きます。

    (とある行動に対して他人が眉を顰めるのは)『顰めた側からすれば、顰めることがソーシャル・マナー』
    『明るさは対人関係最大の武器であるが、とりわけ昭和五十年代後半は、明るさを、人がもはや脅迫される時代であった。』
    (イクが過去の人とのかかわりに振り返り)『獲得したものを数えるのではなく、彼らの厚情により、被らなくてすんだ不幸を数えれば、それは獲得したものとちがい目に見えないが、いっぱいいっぱいあるのではないか。近いと大きくて掴めないが、遠いとぎゅっと掴める。』

    そして・・・
    『それがどうしたという日常。
    (ありがとう)
    イクは感謝するのである。』 などなど...

    やさしく、やわらかく、あたたかくなれる本作。
    また読みたい。
    そう思わせてくれる作品です。

  • いつも犬がいてくれた。
    愛が無くても大きい声を出せば伝わると思うことでしか、
    自分の考えを肯定できない苦しさを感じている時も隣にはいつも犬がいた。

  • この作家の本は初だろうか?自信ないけど、とにかく直木賞受賞に完全に釣られたクチ。犬好きでもないからなのか、この本の魅力が皆目見当つかず途方に暮れてしまった。文字は目に入ってきてページは捲れるのだが、その内容に全く反応無しという結構珍しいパターン。
    それゆえこの本の魅力はどうとか言える状況ではありませんが、ノスタルジーな香りを撒き散らすのは昨今の流行りなのかな?あまり良いものとは思えません、当方は。

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昭和の犬 (幻冬舎文庫)の作品紹介

昭和三十三年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と、娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは、水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど、傍らには時に猫が、いつも犬が、いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える、高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように、猫の足音のように、濃やかで尊い日々の幸せを描く、直木賞受賞作。

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