どうしてあんな女に私が (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427693

感想・レビュー・書評

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  • 少し読みにくいな。って感じる部分はあった。
    ただ世の中の女性の大半が心の奥底で持っている"劣等感"だったり"嫉妬心"だったりを、オブラートに包まず、醜くストレートに表現する文章に、自分を照らし合わせて読んでしまった。
    私もきっと思っている、抱いているであろう感情を引き摺り出して、晒されているような。そんな感覚になった。
    ああ、人は人。自分は自分。なんて言い聞かせているけれど、所詮競争社会。弱肉強食。自分を見つめ返すキッカケに少しなったかも。

  • タイトルがすべて。女は自分より劣ってる女がモテるのが気に食わない生き物。たぶん私を含め世の中の女は皆そうだと思う。それに対する嫉妬が上手く書かれている。
    男たちをまどわせ有名になった醜い死刑囚、木嶋○苗をモデルにした女がでてくる。そして最後に第二の木嶋○苗誕生を思わせる終わり方。

  • 花房観音『どうしてあんな女に私が』幻冬舎文庫。

    これが花房観音の作品かと驚く程、これまでとは全く違うテイストの作品。花房観音らしくない。首都圏連続不審死事件を題材にした作品で、雰囲気は真梨幸子の一連のイヤミスにも似ているのだが、花房観音のイメージとは合わないと思った。

    6人の女性の証言により魔性の女、春海さくらの過去が描かれる……

  • ここまで女という性について考えさせられた話はなかったように思う。

    何が幸せかなんて人それぞれ違うはずで、そこに男女の差はないはずなのに、何故か女性は“女としての幸せ”という言葉がついて回る。
    例えば、結婚して子供を産み育てることが女の幸せだという声も確かにあるし、そう感じる人もいるだろう。ただ、結婚も子育ても女性が1人でするものではなく、必ずパートナーの男性の存在があるはずなのに“男の幸せ”とはいわれない。

    容姿についても確かに女性は小さな頃から、評価されながら生きていて「どうしてあんな女私が」という思いは刷り込みのようなものなのかとも感じる。

    モチーフになった事件については、詳しくはわからないが、事件を知った当時学生だった自分も興味を持った記憶がある。その後のニュースで犯人の女性の声がとても可愛かったということが報道されていたことがとても印象に残っていた。

    春海さくらも振り切りすぎてる気はするし、殺した理由もわからないけど、結局彼女たちをマイルドにした女性がやっぱりモテるのではないかと思う。

    そこまで美人じゃなくても、男の人を立てるのが上手くて、床上手。優しげで可愛い声で、何でもおいしく食べる女性は癒されるだろうなと。

  •  とある実際に起きた事件をモチーフにしつつ、その犯人に焦点を当てずに、女性の嫉妬をにやにやと意地悪くみつめたような物語。とても面白い。

     女性はこういうメイクしなさい、こういう服装をしなさい、おいて醜くなると劣化と呼ばれ女扱いではなくなる。社会的な女であることを維持するために、女性はコストを支払っている。そんなことに気づかされた。確かに嫉妬してしまうよね。

  • 花房さんのエッセイや紀行文は前からとても好きだったが、小説は初。木嶋佳苗の事件をモチーフに、作者お得意の女性の悪意ある本音を炙り出す。ちょっと様々な描写がくどく感じた。特に作者本人がモデルであろう小説家。

  • 「黄泉醜女」の改題 文庫版
    今作は性描写なし。
    登場人物の桜川詩子は花房さん自身なのか?と思いつつ読み進めました。
    ライターの木戸アミが「桜川さんは女の嫉妬を描くのがうまい」という言葉に共感しつつ、花房さんの性描写も好きなので、複雑な気持ちでした。
    本作はミステリー要素もありつつ、誰しも女であれば持っている、女である故の呪い的な部分を描いていています。

  • 木嶋佳苗事件がモチーフ。アミを始め、登場する女たちの誰にもどこか共感する人は多いかもしれない。エンタメとしても面白かったが、女性の生きづらさをうまく描いていると思った。

  • 首都圏連続不審死事件をモチーフに嫉妬について抉ってる。嫉妬と簡単に片付けられない感情。心が掻き乱される。女性と違う場面では男性にもあると思う得体の知れないもの。醜い心が表現されていた。解説にあったアンビバレントという言葉。同じ物事に対して相反する感情を持つこと。嫌悪や羨望といった感情が渦巻き、心乱される様を生々しく感じた。

  • 「ルッキズム」とか「多様性」と言いながらも、美醜にこだわらずにはいられない、そんな女性たちを描いた作品だと感じた。木島佳苗を思わせる人物であるさくら(真樹)は明確には出ず、周りの人間に語らせる衆法は柚木麻子さんの「Butter』とはまた違う面白さがあった。ルポを受ける女性たちがさくらと関わりがあったことを伏せたいと匿名を希望するところも納得できた。しかし、大半の女性登場人物たちの過剰なまでの自己肯定感の低さや女嫌いなとこなど登場人物、見事にだれにも共感できなかった。アキと被害者の関係とか。被害者の姉のルポのとき、感じたことが深堀りしたものが読みたいと感じた。(アミの章で) でも花房さんの構成やストーリーはおもしろいとお持った。特にアミと詩子の内面でのマウントの取り合いとか。終章のさくらでは歌子の不気味さや黄泉醜女は誰しもが持っている女の醜い部分とも感じた。

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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