わたしたちは銀のフォークと薬を手にして (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344429666

感想・レビュー・書評

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  • 島本理生のあとがき♡一部抜粋

    +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
    誰かと楽しく食事をすること、旅すること。どちらも意外とハードルの高い行為だと、個人的には思います。
    自分と他者は違う人間だということ。それを認めた上で、受け入れたり、時には主張しながら、協調していくこと。
    食と旅には究極、そんな側面があるように感じます。
    いくつもの食や旅を通して、他者や自分自身を発見していく過程を描きたかったのが、この『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』という小説でした。

    まったくの赤の他人と、共に生きることは難しいです。
    それでも人と人が出会うのは、やっぱり素晴らしいことだと思います。
    思いがけず救われる言葉。自分一人では得られなかった価値観。見慣れていたはずの風景が変わるとき。
    そんな美しい瞬間が見たくて、小説を書いていくのだと思います。
    +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

    好きな人といっしょに美味しいもの食べて呑んで、旅をしたくなる作品でした。

    フォアグラの湯葉揚げ食べてみたいな〜
    シャンパン白ワインとホワイトチョコ苺いいな〜
    (@ ̄ρ ̄@)

  • 学生時代のひたすら甘い恋が、大人になるとできなくなる。
    考えなしに飛び込むことも自分の気持ちに素直になることも難しい。
    それでも。
    この人とご飯が食べたいし、いろんな話をしたい。
    単純にそう思える相手がいるって幸せだ。
    甘くないけど温かい恋愛小説。

  • インスタで女性が紹介しているのをよく見かけたこちらの本。


    3人の女性目線で書かれる 
    恋愛と結婚を切り離してみるわけにはいかない恋のお話。


    他の女性作家さんの恋愛小説に比べて
    平凡さを感じます。
    それが少しわたしには物足りないかも…?
    しかし、この平凡さが多くの女性から支持され、共感を呼ぶかなと思います。
     



    ひとつ助言とすれば、
    フォレストガンプをまだ観ておらずこれから観たいと思っている方は、そちらを先に観てからをお勧めします。

  • 帯は、
    「あの人を、
     好きになるとは
     思わなかった。
     行方のわからない大人の恋。」
    --------------------------
    目立つわけでもないし、バリキャリではないけど、
    仕事をやりぬいている知世。
    30歳を過ぎ、将来のことも考えつつ、
    仕事で知り合った年上のエンジニアの椎名さんと月に二回デートをする。
    ある日、彼が抱えている秘密を打ち明けられる。
    --------------------------
    一気に読みました。
    そして読みながら泣きました。苦笑
    自分がその時読みたい本とタイミングが合う、というか、
    この本はタイムリーすぎました。苦笑

    登場する人物みんなが私の中にいます。
    知世には憧れました。
    茉奈には共感しかなかったです。
    飯田ちゃんはしっかりしてそうで放っておけないし、
    知夏は、本当は不器用で好きになりました。

    みんながそれぞれ悩んでいて、
    コンプレックスがあって、
    将来に不安があって。

    そして椎名さんとの大人の恋愛にドキドキするし、
    切なくなるし、かなしくなるし、
    それでもいいな、って思いました。
    知世と椎名さんの食事デートのシーンは、
    なんかドキドキしました。
    性的描写はほとんどなかったのに、
    食事のシーンでドキドキしていました。

    「それはなに一つ特別じゃないわたしと向き合ってくれる、関心と愛情。」

    作品に一貫しているのは、この一言に尽きます。
    私が最近ずっと悩んでいて、この一言に救われました。
    関心と愛情。

  • 心に残ったフレーズ


    ✴︎薄々わかっていた。年収じゃない。顔でもない。いや、外見はちょっと大事だけど、それよりも必要なもの。
    それは何一つ特別じゃないわたしと向き合ってくれる、関心と愛情。


    ✴︎何一つ特別じゃない私の話をいつまでも飽きずに聞いてくれて、真剣に心配したり、絶対に傷つける言葉を使わずにアドバイスをくれたり。
    旅行をすれば、楽しくて、何を食べても二人一緒ならおいしい。初めてだったよ。そんな人。

    ✴︎あんな不毛な恋愛をしながら、毎日会社に通って、笑ってお茶汲んで入力作業して。
    何一つ特別じゃないわたしだって一生懸命がんばっていて、世界の本当の端っこで一ミリくらいは役に立っている。
    そのことを大事に扱っていないのはわたし自身だった。十万円で赤の他人がなにもかもかえてくれることを期待するくらいに。

    ✴︎大人になるって、この人を好きになるとは思わなかったっていう恋愛から始まることかもしれない

    ✴︎この世は焼き鳥とレモンサワーを一緒に楽しめる相手とできない相手に別れる
    一緒に焼き鳥を食べられるって、一緒に生きていけるくらい大きなことなのかもしれない。

    ✴︎ムードのあるリゾートもいいけれど、気楽なのもいい。家でほっこり鍋を突くのも、温泉宿でしっとりとするのも、いつだって等しく楽しかった。

    ✴︎一人でだって生きられる。だけど二人が出会ったことで、お互いやまわりまで変えるほどの波がどこまでも広がって打ち寄せていくのだ。

    ✴︎あまりにも夢が鮮明だったので、どちらが現実か分からずに呆然としていた。
    ふいに、どちらでもいいのかもしれないと考える。
    数年前は今の自分なんて想像もしてなかったのだから。未来は確実にやってくるけど、きっと予想もしていなかったことや叶わなかったことも多いだろう。だけど、なんとかなるのだ、と思えるほどの現実感がさっきの夢にはあって、それはわたしと椎名さんの今までがあるからこそだと気づいた。

    久々恋愛小説を読んだ。

    かゆい恋愛小説ばっかりだけど
    この小説は本当の愛や思いやりについて気づかせてくれる本だった。
    こんな恋愛をしたいなって思わせてくれた。

    そして世の中の当たり前や普通という価値観に押しつぶされそうになった時に読みたいと思える本。

    例えば飯田ちゃんにとっての結婚

    特に結婚は女にとって一番悩ましいことかも。

    飯田ちゃんが言っていた
    どうして人生には、結婚以外の正解が用意されてないのだろう

    確かに歳をとって、年金に頼り介護生活をして
    ひと段落ついた時には一人ぼっち
    を想像すると戦慄するけれど

    結婚したくない人だっているわけで
    それなのに結婚してないだけで
    あの人は難があるのではないか
    子育てしていない人は未熟など色々と言われる

    けど自分がしたくないと思っているのに
    無理してなんとなく愛される女になるのは違う



    次に結婚、出産、親孝行が人生に必須だと信じてきた知夏

    けれどそれに縛られる必要は全くない

    それぞれに生きたらいいのだ。私たちは大人同士なのだから。
    親だって別々の人間なのに、期待に全て応えとか、
    思い通りにならなきゃいけないとか
    そんなこと考える必要はないということ


    これからは自分に正直に
    そして欲張りに生きたいなと思えた

    人生は、時間は有限じゃないから
    まだ一生を永遠のように錯覚しているから

    好きな人と好きなご飯とお酒を飲んで
    たくさん話して笑って怒って泣いて
    思いっきり生きたいなって思わせてくれたこの本は
    わたしにとって大切な本になった


  • 大人の恋愛と友情のリアルな部分もあり、読み進めやすかった。
    各登場人物の視点でストーリーが描かれていて、読んでいくうちにそれぞれの思いを知ることができて面白かった。

    【なに一つ特別じゃないわたしだって一生懸命がんばっていて、世界の本当に端っこで一ミリくらいは役に立っている。そのことを大事に扱っていないのはわたし自身だった。】
    共感できたし、これから先自分を肯定できない時でも、このことに気づける自分でいたいと思った。

    巻末にあった、各登場人物のイメージに合った花言葉の記述が素敵だった。

  • 傷つくこともたくさんあるけれど人を好きになるっのってどんなにつらくてもやめちゃいけないなと思った。人を好きになるって生きることだとおもった。

  • 重めの内容かと思ったが、お互いが相手のことを大切に思って物語が進んでいく。
    食事、旅行の描写がとても良く、多幸感が溢れていた。

  • 「好きだ、とも、付き合おう、とも言われていないけど、月に二回くらいはデートする。」
    そんな二人の関係を今の自分と重ね合わせて、せつなくなって泣きながら読んでいたら、かなり前半での想定外の重い告白。
    一緒に美味しいものを食べて旅行して、一緒にいるだけで楽しいと思える人に出会えるのって、人生で何度あるだろう。消えることのない大きな不安を抱えながらもお互いのことを想い合いながら一緒に生きていく二人の関係がうらやましく、幸せな気持ちになれた。

    食べ物の描写がほんとに美味しそうで食べたくなったし、旅行の場面も景色が思い浮かぶ感じでいろいろ行ってみたいなと思った。

  • 2年ほど手元に持て余していて
    やっと読んでみたら、惹かれる良い作品でした。
    島本理生先生との出会いの本。
    またいつか読み返したいです。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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