ひねもすなむなむ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 174
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344431355

作品紹介・あらすじ

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感想・レビュー・書評

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  • 出身地の高知から、岩手の海沿いの街のお寺の住職の募集を見てやってきた若い僧侶が主人公。料理が得意で、時節登場する彼の手づくり精進料理はとても美味しそうだった。物語中、「美味しいものを美味しいと感じられた自分に勇気をもらって」行動できたというフレーズがあったが良いなと思った。装丁やタイトルからまったりした話を漠然と想像していたが、少し違った。仏教の教えにも登場人物を通じて触れられ、落ち着いた読後感の一冊。

  • 余命幾許かの住職・恵快の後継として岩手に来た若手僧侶・仁心を中心に話が進みますが、一回読んだ後もう一度振り返るとまた違った感想になるなと思いました。
    後悔があったり、人を許せなかったり、誰もがあることをそれでも大丈夫って思わせてくれる物語でした。
    あとご飯が美味しそうでした。生きること死ぬことが書かれているから一層食べることが際立っているのかなと。
    お寺のことや仏教の教えも少し教えてもらえました。

  • 明らかに僧や仏教が題材で抹香臭い小説なんかな?そのわりに表紙がポップだな。とかがキッカケで手に取ったと思う。
    基本的には近しい人への愛の向け方とか言うとまた肩苦しいけど、広く心温まる「日常の謎」系なのかな。

    ひたすらに読みやすい。題材も馴染みやすいのもあるし、文章とストーリー運びが良い。

    最後は続編のつもりで伏線拡げたのか、読者の想像を掻き立てる為の余白なのかわからないけど、それも良かったな。

    他のも読みたい!

  • 途中、モヤモヤとしたところもあったけど、最後まで読みすっきりした。
    登場人物たちと同じく、読み手の私も前に進んで行こうと思うことができた。
    中ほどページの「ママの我が儘」は、私も奥さんやお母さんという立場から、日頃よく思うことが綴られていた。
    読み終わって浄化したような気持ち。

  • 書店の文庫コーナーで購入。令和3年10月の初版発行と書いてあり、増刷されてないのかよ?!とびっくり。こんなに良い本が世に埋もれてるのだとしたら勿体無い。

    おそらく「東日本大震災」「住職」「檀家」などのキーワードが重いからだと思うけど、それらに馴染みがなかったり、何もできていない自分に後ろめたい罪悪感があったりした私が一気に読み切れたぐらい、優しくてあたたかくて、生きることを頑張ろう、と思える作品でした。高知弁と岩手弁がミックスされているのも面白かった。

    ガチガチの説法小説でもないし、住職(先代と、主人公の2代目の両方)が人間臭いので、説教されてる感じでもないし、自己を投影できるのもまた良し。1年を通じた季節が盛り込まれてるので、どの季節に読み初めてもオッケー。そろそろお盆なので、夏の一冊にもぴったり。人生に迷った時に読み返したい本ができました。

  • タイトルから、もっとほのぼのした話かと思っていたけれど、命や人や人生に向き合うことの難しさとか、大切さとか、いろいろと考えさせられたり、感じさせられることの多い話だった。⁡

    お寺が舞台の話だけに、仏教の教えが折りに触れ出てくる。難しく教えを説いている訳ではなく、仁心という一人の若者の人生のとある期間に寄り添っている話なので、宗教や仏教に造詣が深い人でなくても、胸を打たれるような言葉も多いのではないかと思う。⁡

    仁心の心の中には鬱屈したものがあって、それが仁心が僧侶であることに自信をもてない理由でもあるんだけど、それ故に、仁心の言動に理解し難いところもあるのだけれど…。徐々に変わっていき居場所をみつけていく様に、あぁ、僧侶も一つの職業であって、人間なのだと、当たり前のことに気づかされる。⁡

    小説そのものの感想からはちょっと逸れるけれど…⁡
    舞台となるお寺は、岩手県にあるという設定で、東日本大震災も物語のキーになっている。⁡
    未だ見聞きするのも辛いという人もいるたろうけれど、次の世代にどのように伝えていくことができるのか。⁡
    時間が経つにつれ、マスメディアで報じられる機会が少なくなっていくことは避けられないのだろうけれど、こういう形で残し、伝えていくという方法もあるかと。⁡
    リアルタイムに知らない人に、震災の記憶を繋いでいくという意味でも、ぜひ読んでもらいたい一冊。⁡

  • #愛を知る暇あの春の記憶ごと許せぬ心も赦すおかえり

  • 震災の爪あとも色濃く残る秋田で、余命宣告されてる住職の後を継ぐためやってきたお坊さんという盛り沢山な設定。くせのある檀家さんの悩みを体当たりで解決したり、自身の父との葛藤があったり、色々あるけどごちゃごちゃせず、ちゃんと読ませる。しっかりしてるけど暖かい内容で、仏の教えも素敵だなと思います。

  • 人を赦すこと。それが難しく、ささくれ立っていた主人公が、様々な人と出会ってその心をほぐされていく…今を見つめる事、変化を受け入れる事の尊さが、じんわりと心に染み渡るようでした。優しくてあったかいお話に、自分の心もほぐれました。

  • 許しと成長の物語。坊さんは仏様ではないからと言う言葉があって確かにそうだよなぁと思いつつ読んだ。あらゆる宗教があって混沌としている世の中でも、まだまだ檀家と寺のつながりや絆の強い地域はたくさんあるだろう。そんな地域で、ほかの地方からやって来た坊さんが成長していく姿が淡々と心情は割と激し目に描かれている。人は人に触れ、話しその中でしか成長出来ないのかもしれないと思った。

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著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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