- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344431492
作品紹介・あらすじ
「あの姉さんには惚れちまうんじゃあねえぜ」見るからに苦労がにじみ出る女・お蝶。今は甘酒屋をしているが、誰にも言えない過去を抱えていた。その女に惚れたのは、羽目の外し方も知らぬ純真な男。周囲の忠告も聞かずに想いを募らせるが、二人の恋路に思わぬ障壁が......。黙ってられぬとばかりにお夏が暗躍! 人情居酒屋新シリーズ、感涙の第四弾。
感想・レビュー・書評
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居酒屋お夏の常連客が醸し出す雰囲気がとてもいいです。
居酒屋お夏シリーズの14作目
鰻と甘酒 ー 居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ(第2期)4作目
2021.12発行。字の大きさは…中(字が薄い)。2022.04.18~20読了。☆☆☆★★
江戸は目黒の永峯町にある、お夏の居酒屋に来る常連達と、妖艶で美しいく、お節介なお夏の楽しい物語です。
乱れ酒、鰻と甘酒、ごっそあん、ところてん、の短編4話。
【乱れ酒】
居酒屋お夏の常連客の口入屋・不動の龍五郎と、弁天の寅蔵は、その昔、金毘羅の熊吉親分の下で龍虎といわれていたが。寅蔵が、小海の茂吉に父親の件で脅かされて目黒を出て行った。此度、二十数年ぶりに目黒に来た寅蔵に会った龍五郎は、決着をつけるために喧嘩をするが、お夏に謀られて…。
ーーー 男二人の気っ風の良さに惚れ惚れとします。
【鰻と甘酒】
居酒屋お夏の常連客で鰻の蒲焼の辻売り宗太郎と、二つ年上の甘酒屋のお蝶が好きあった。そこへお蝶の元情夫の良太郎があらわれる。お蝶は、良太郎に騙されて根津の遊郭に売られた過去がある。その良太郎が、お蝶を手に入れるために宗太郎を殴る蹴る。お蝶は、出刃包丁を持って良太郎を殺しに行くと、仲間割れして殺されていた。お蝶が行く前に、お夏が良太郎を殺して、悪仲間の康次郎に血の付いた匕首を持たせた。
ーーー 良太郎が、お蝶をまた騙して遊郭に売ろうとしたのを知ったお夏が、先廻りをして良太郎を仲間割れに見せて殺したのはすばやいです。これで純真な宗太郎と、訳ありなお蝶の想いがかないそうです。
【ごっそあん】
居酒屋お夏の常連客の駕籠舁きの源三は、博打でたまたま五両を稼いだ。なにかの折に使おうと長屋の大家・瓢(ひょう)右衛門に預ける。その金を含めて二十両を瓢右衛門は、美人局に遭いおもとと情夫の芳之助に脅し取られる。源三は、夫婦になる前に出来た子供・龍泉源兵衛が相撲取りになり、初相撲に出るので五両を上げようと瓢右衛門に言うと慌てる。お夏が、おもとと芳之助を逆に美人局にあわせて脅し取る。
ーーー なにかほんわかする物語です。
【ところてん】
お夏の父で侠客・相模屋長右衛門が生きて魂風(たまかぜ)一家を率いていたころに取り逃がした盗賊三次郎を目黒で見かけた居酒屋お夏の料理人・清次は、昔の魂風一家の仲間を集めて調べると。三次郎は、居酒屋お夏の常連のお春の仏具屋真光堂へ押し入る用意をしている事が分かる。お夏たちは、三次郎たちが押し入ったところを取り押さえる。
お夏が、自分用に作っていたところてんを不動の龍五郎に見つかり、店に出すと男どもが我も我もと食べに来る(笑)。
ーーー 私も心太は好きです。お夏が作る心太を食べてみたい(←心太に砂糖をまぶして、軽く醤油を落とす)。
【読後】
展開が早く、人情味が有り、居酒屋お夏で過ごす常連客が醸し出す和気あいあい感がなんともいえずよい気がします。此度は、ほんわかとした余韻の残る「ごっそあん」が良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ 4
居酒屋お夏の女将・お夏は、料理人の清次と、
時に、河瀬庄兵衛、廻り髪結の鶴吉、船漕ぎ八兵衛と
陰で人助けをしている。
《乱れ酒》
居酒屋お夏の常連客肝煎の不動の龍五郎には、どうしても勝負をつけなければならない相手がいた。
その男が、20年振りに、龍五郎の前に現れた。
《鰻と甘酒》
料理人・清次に憧れて、鰻の辻売りをする宗太郎が、想いを寄せた人は、お夏の店で、時たま顔を合わせる、甘酒屋のお蝶だった。
だが、お蝶は、宗太郎の気持ちを素直に受け入れられない過去が有った。
《ごっそあん》
常日頃『自分には過ぎた女房だ』と言う常連客で、駕籠かきの源三の女房・おくめが、お夏の店に怒鳴り込んできた。
源三が五両もの大金をへそくりしていたと言うのだ。
《ところてん》
お夏は、ところてんが好物である。
昔、向かいにあった、小間物屋「いわさ屋」の跡取り息子の俊之助に、密かにあこがれていた。
その俊之助がところてんが好物であったので、いつしか自分も好きになったようだ。
ところてんを食べている時に、ふと、俊之助の事を思い出したが、ある事件で、彼と再開する事に…
悪人を痛快に懲らしめるので、読後スッキリする。 -
居酒屋お夏・セカンドシリーズ“春夏秋冬” 第四弾。
毒舌女将・お夏と、いぶし銀料理人・清次が切り盛りする居酒屋を舞台にした人情噺四話が収録されています。
表題作の第二話「鰻と甘酒」は、甘酒屋を営む訳アリ女性・お蝶に恋する、鰻の辻売をしている純粋な青年・宗太郎の話です。
自身の過去を気にして、宗太郎の好意を受け入れられないお蝶の背中をそっと押してあげる、お夏のさりげなさが心地よく、しかもお蝶の元彼のクズ男も撃退してくれて、本当頼もしいですね。
あと第四話「ところてん」は、お夏や清次が過去に取り逃がした悪党が登場。
その悪党が居酒屋の常連客・お春の店舗を狙っているのを突き止め、必殺仕事人よろしくこちらも退治してくれます。この話ではお夏が<相模屋>のお嬢だった頃に淡い想いを抱いた相手と意外な遭遇をするのも興味深いです。
どの話も、温かな読後感で安心して読めるのがいいですね。次巻も楽しみです。 -
うなぎやさんと甘酒やさんがうまくいって良かった。お夏さんも、こなれてきたのかな?
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2023.03.16
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内容(ブックデータベースより)
「あの姉さんには惚れちまうんじゃあねえぜ」見るからに苦労がにじみ出る女・お蝶。今は甘酒屋をしているが、誰にも言えない過去を抱えていた。その女に惚れたのは、羽目の外し方も知らぬ純真な男。周囲の忠告も聞かずに想いを募らせるが、二人の恋路に思わぬ障壁が......。黙ってられぬとばかりにお夏が暗躍! 人情居酒屋新シリーズ、感涙の第四弾。
令和4年1月8日~9日