鯰の夫婦 居酒屋お夏 春夏秋冬 (幻冬舎時代小説文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344431829

作品紹介・あらすじ

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感想・レビュー・書評

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  • 笑いと、涙の中に、あでやかさが匂うお夏の動きがたまりません。
    居酒屋お夏シリーズの15作目
    鯰の夫婦 ー 居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ(第2期)5作目
    2022.04発行。字の大きさは…中。2022.06.22~23読了。☆☆☆★★
    江戸は目黒の永峯町にある、お夏の居酒屋に来る常連客たちと、妖艶で美しいく、お節介なお夏の楽しい物語です。
    鯰の夫婦、焼き茄子、焼飯、やけ酒、の短編4話。

    【鯰の夫婦】
    指物師の猿三とおかじ夫婦は、猿三が一人息子の太郎吉を釣りに連れて行き死なせてから、心が通じなくなっています。それを見ていたお夏の居酒屋の常連たちにかつがれて。お夏が、お節介をすると二人で川へ行き大鯰を吊り上げます。

    【焼き茄子】
    相模屋長右兵衛の娘・お夏たちと人助けをしてきた髪結いの鶴吉のもとに、腹違いの弟・亀次郎が訪ねて来る。親父・福助が、義理を通すためにヤクザの東三一家の親分・東三に意見するという。そうすると福助の所に東三の子分たち10人が殴り込んできた。そこにお夏たちが駆けつけて……。

    【焼飯】
    愛妻家で、子煩悩で、駕籠舁きの源三は、相棒の助五郎が気になってしかたがない。そこでお夏の居酒屋で助五郎のことをひとくさり話すと。お夏が、そんなに堅物で、理屈ぽく、無駄を省くために女にも関心がないのなら、好きな女が出来たなら変わるかもしれないと。その頃、助五郎の長屋に幼馴染で、出戻りで、歳は三十前のおようが、引っ越して来て助五郎にポンポンと意見するようになる。

    【やけ酒】
    助五郎の幼馴染みで、綿摘みで生計を立てているおようは、外へ出ると何かいやなことがおきる間の悪い女である。一日中家の中に居るのが好きであるが。そうもいかない。そんな時に地蔵堂でうずくまって血を出している男がいたので声を掛けると。おようを突き飛ばして逃げていく。あまりのことでお夏の居酒屋で大酒を飲み愚痴をこぼす。このことが、後々おようと助五郎を近づける事となるとは……。

    【読後】
    展開が早く、人情味が有り、居酒屋お夏で過ごす常連客が醸し出す和気あいあい感がなんともいえずよいです。此度は、鯰の夫婦、焼き茄子、焼飯、やけ酒、の短編4話の中で、間の悪さが恋に結びつく「やけ酒」が良かったです。次を楽しみに待っています。

  • 居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ5

    《鯰の夫婦》
    鯰釣りの名人と呼ばれた猿三。愛息を連れて釣りに出かけたが、地震に遭い、息子を亡くしてしまう。
    女房のおかじから、散々詰られ、自責の念から、気鬱となり、寺男となる。猿三を気遣い、おかじは寺に通い、猿三を元気づけようとするが。

    《焼き茄子》
    お夏の生家"相模屋"で、アゴ付きの髪結をしていた、鶴吉。幼い頃、生き別れた父親が、再婚して、出来た腹違いの弟の亀次郎が、訪ねてきた。

    《焼飯》
    居酒屋お夏の常連客の駕籠かき、源三の相棒・助五郎は、無駄を省くことに生きがいを覚える、変わり者である。
    源三は、そんな相棒が気になる。

    《やけ酒》
    助五郎の長屋に、一月前に越してきた、おようは、
    外でをすると、必ず、小さな災いが降りかかる、実に、間の悪い女だった。
    そのおようは、助五郎の幼馴染で、助五郎に、気安く話が出来るところを見て、源三は、二人を結びつけようと考える。

    今回も、お夏、清次、そして、相模屋の昔の仲間達が、密かに助っ人をする。

  • 居酒屋お夏・セカンドシリーズ“春夏秋冬” 第五弾。

    毒舌女将・お夏と、料理人・清次が切り盛りする居酒屋を舞台にしたシリーズ。人情味あふれる連作四話が収録されています。

    息子の死で鬱になり、寺男として暮らすようになった夫と彼の元に通い続ける妻の復縁に、お夏たちが一肌脱ぐ表題作の第一話「鯰の夫婦」。
    お夏や清次と“相模屋”時代の仲間である、髪結いの鶴吉の元に腹違いの弟が訪れ、生き別れの父への複雑な思いと向き合うことになる第二話「焼き茄子」。
    駕籠舁き・源三の相方で、無駄が嫌いで理屈屋の助五郎。駕籠舁きとしての腕は申し分ないのに、如何せん“ひろゆき”ばりの論破男で可愛げのない彼の長屋に幼馴染のおようが引っ越してきて・・・第三話「焼飯」。
    第四話「やけ酒」は、第三話の続きで、助五郎とおようの話の、おようサイドで語られる展開です。
    しっかりしているように見えて、実はかなり間が悪く、いつも嫌な思いをしてしまう、おようの悩みと彼女が巻き込まれた(というか自分から突っ込んでいった)騒動と助五郎との関係の変化が描かれています。
    各話、爽やかな読後感に浸れるええ話です。四話はちょっとハラハラしましたが、丸く収まって何よりでした。
    お夏と清さんと、居酒屋の常連たちの関係性が心地よく、こんな場所があったらいいな・・と思います。と、言いつつ私は下戸なのですけど(笑)。

  • 2023.03.21

  •  居酒屋お夏のお夏と料理人の清次、常連たちの談笑、お夏と龍五郎の掛け合い。岡本さとるさんの好調シリーズ「鯰の夫婦」、居酒屋お夏春夏秋冬シリーズ№5、2022.4発行、4話。「鯰の夫婦」秀逸です。「焼飯」と「やけ酒」も良かったです。駕籠かき助五郎と綿摘みのおよう、これからが楽しみな二人です。「焼き茄子」ではお夏と清次の殺陣の強さが!

  • 202204/いくら人情時代ものとはいえ…とやりすぎに感じる物語もあるし、シリーズも15作目となり、お馴染みの安定感とマンネリの間のようなところも感じるけど、なんだかんだいいつつも今後も楽しみ。

  • 収録作品:鯰の夫婦 焼き茄子 焼飯 やけ酒

  • 内容(ブックデータベースより)

    夫婦ってえのは、そう容易く縁が切れるものじゃあねえのさ」鯰釣りの名人は愛息を連れてよく釣りへ出かけていた。ある日、釣りの最中に地震が起き、悲劇が。目の前で子を喪った男は自分を責め、気うつに。妻を置いて、家を飛び出し寺男になってしまう。悲しみ故にすれ違う夫婦にお夏が案じた一計とは......?人情居酒屋シリーズ、感涙の第五弾。

    令和4年5月7日~9日

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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