根深汁 居酒屋お夏 春夏秋冬 (幻冬舎時代小説文庫 お 43-16)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344432505

作品紹介・あらすじ

「本来は、こういうはしゃぎ方はしない男なのではないか」お夏が敬愛する河瀬庄兵衛が何かと気にかける研ぎ師・喜右衛門。才はあるのに不遇を強いられる彼に、旗本の刀研ぎという破格の仕事が。意気揚々と仕事に取り掛かった喜右衛門だが、刀に付着した奇妙な錆に胸騒ぎを覚え……。鬱屈を見抜いた庄兵衛、どう動く?人情居酒屋シリーズ第六弾。

感想・レビュー・書評

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  • 笑いと、涙の中に、あでやかさが匂うお夏の動きがたまりません。
    江戸は目黒の永峯町にある、お夏の居酒屋に来る常連客たちと、妖艶で美しいく、お節介なお夏の楽しい物語です。

    【青物夫婦】
    幼馴染みの円太郎20才とおしの17才の夫婦は、千住宿から逃れてきた。行くあてもない二人は、盗賊の隠れ家の番人として住み込む。10年間、棲み処を転々としてきた。目黒の隠れ家で、たまたまお夏の居酒屋に行った二人は、そこで人情に触れて、盗賊をやめて青物を売り歩く仕事を始める。~~~お夏が、盗賊たちを始末して善良な二人を見守ります。いい話です。

    【酌取り父娘】
    元定町廻り同心であった濱名茂十郎は、久しぶりにお夏の居酒屋に来た。ここ目黒は、茂十郎の息子で、茂十郎の後を継いだ又七郎が十手を預けている御用聞きの牛町の仁吉の手下で、傘屋の小助が担当しています。その小助が、女房・お辰の留守に料理屋から酌取り女の出前を取ったら、あろうことか昔別れた娘・おくまであった。~~~親娘の情愛を感じるいい物語です。

    【根深汁】
    研ぎ師・合田喜右衛門の腕は師匠を越えた。師匠の下を出て目黒に研ぎ場を設ける。そんなおりに師匠から八千石の交代寄合・青木主殿を紹介される。青木は、人を斬りたくて辻斬りをはじめていた。合田が、青木の刀の錆に気が付いた。これは、人を斬った血の跡ではと。合田が斬られようとした時に、お夏たちが青木たちを斬る。~~~辻斬りを知った合田の苦悩が伝わって来ます。

    【おこげ】
    婿養子の乾物問屋「相浜屋」治兵衛の妻・おそでが誘拐された。店は、おそでと番頭で切り盛りしていて治兵衛には実権がない。治兵衛は、この際、おそでが殺されてくれたらと、身代金要求の脅迫状を握り潰す。お夏に救い出されたおそでは、お夏に治兵衛との思い出のおこげの話をする。それを聞いた治兵衛が。~~~治兵衛の揺れる心が、最後にはおそでを助けようと動きます。

    【読後】
    青物夫婦、酌取り父娘といい話が続きます。根深汁は、苦い話です。おこげは、婿養子の苦悩が現れています。展開が早く、テンポよく、読みやすく、楽しいシリーズです。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    居酒屋お夏シリーズの16作目
    根深汁 居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ(第2期)6作目《文庫本》
    2022.12発行。字の大きさは…中。2023.02.15読了。☆☆☆★★
    青物夫婦、酌取り父娘、根深汁、おこげ、の短編4話。
    図書館から借りてくる2023.02.12
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    《居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ一覧》
    06.根深汁   2023.02.15読了
    05.鯰の夫婦  2022.06.23読了
    04.鰻と甘酒  2022.04.20読了
    03.豆腐尽くし 2021.09.22読了
    02.雪見酒   2021.07.01読了
    01.山くじら  2020.09.05読了

  • 居酒屋お夏 新シリーズ 6
    男伊達・相模屋長右衛門の遺志を受け継ぎ、人助けに生きる、長右衛門の娘・居酒屋お夏の女将と、料理人の清次、そして、その仲間達の活躍を描く人情話。

    〈青物夫婦〉
    青物の棒手振りをする仲の良い夫婦。
    〈酌取り父娘〉
    前妻との間に出来た娘と再会した、下っ引き。
    〈根深汁〉
    お夏の昔の仲間・河瀬庄兵衛の庵の近くに越してきた、刀研ぎ師。
    〈おこげ〉
    小僧から、大店の婿になったが、家付嫁の力が強く、店のお金を未だ、触らせてもらえないと愚痴る男。
    の四遍。

  • 居酒屋お夏・セカンドシリーズ“春夏秋冬” 第六弾。

    毒舌女将・お夏と、料理人・清次が切り盛りする居酒屋を舞台にした、人情噺連作四話が収録されています。

    これぞ安定の読み心地。今回も居酒屋を訪れるお客たちが巻き起こしたり、巻き込まれたりする騒動を、お夏と清さんが影でこちょこちょ動いて解決してくれています。
    表題作の第三話「根深汁」では、お夏の昔からの仲間・“河庄の旦那”こと河瀬庄兵衛さんのご近所の研ぎ師・合田喜右衛門が大身旗本の屋敷に仕事にいくも、そこの殿様がヤバイお方だった・・という話なのですが、剣吞な事に巻き込まれそうな喜右衛門の事を、居酒屋ではお夏&清さん、自宅付近では河庄の旦那と、ダブル態勢で見守ってくれるので心強いかぎりです。
    前シリーズの時のように、お夏たちに“敵”がいるわけではないので、もしかして“お夏ファミリー”はちょっと暇なのかな・・と思ったりしてしまう私です。
    他にも、第一話「青物夫婦」に登場した仲良し夫婦が抱えるお悩みや、対照的に、すれ違い夫婦に絡んだ騒動が起こる第四話「おこげ」。思わぬ形で生き別れの父娘が再会する第二話「酌取り父娘」など。様々な家族の在り方や悲喜こもごもが、“ええ塩梅”に書かれております。
    ということで、葱たっぷりの根深汁のように、ぽかぽかに温まる一冊でございました。

  • 早速、葱焼いて味噌汁に入れてみました。
    ほんとにこんな居酒屋があったらいいのに。

  • お夏をはじめ、いつもの面々に会えると安心する。
    こんな居酒屋があったら絶対通う。
    根深汁って知らなかったけど、おいしそう。

    ---
    ・「男はこういうことをすぐにわすれてしまう、か。旦那も親分も、気をつけておくんなさい……」p.157

    ・二人でない智恵を絞って考えたところでかえって混乱するというものだ。p.251

  • 202212/愛読者にとってもなじみの居酒屋、安定の面白さ。

  • 2023.0720

  •  岡本さとるさんの安定したシリーズ、居酒屋お夏春夏秋冬№6「根深汁」、2022.12発行。青物夫婦、酌取り父娘、根深汁、おこげ の4話。「酌取り父娘」と「おこげ」が特にお気に入りです!

  • 収録作品:青物夫婦 酌取り父娘 根深汁 おこげ

  • 内容(ブックデータベースより)

    「本来は、こういうはしゃぎ方はしない男なのではないか」お夏が敬愛する河瀬庄兵衛が何かと気にかける研ぎ師・喜右衛門。才はあるのに不遇を強いられる彼に、旗本の刀研ぎという破格の仕事が。意気揚々と仕事に取り掛かった喜右衛門だが、刀に付着した奇妙な錆に胸騒ぎを覚え……。鬱屈を見抜いた庄兵衛、どう動く?人情居酒屋シリーズ第六弾。

    令和4年12月25日~28日

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著者プロフィール

一九六一年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、松竹入社。松竹株式会社九十周年記念新作歌舞伎脚本懸賞に「浪華騒擾記」が入選。その後フリーとなり、「水戸黄門」「必殺仕事人」などのテレビ時代劇の脚本を手がける。二〇一〇年、『取次屋栄三』で小説家デビュー。他に「若鷹武芸帖」「八丁堀強妻物語」「仕立屋お竜」などのシリーズがある。

「2023年 『明日の夕餉 居酒屋お夏 春夏秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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