ひめやかな殉情 (幻冬舎ルチル文庫)

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  • 幻冬舎コミックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344806016

感想・レビュー・書評

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  • ●あらすじ●</br></br>
    刑事の小山臣が新進気鋭の画家・秀島慈英と恋人同士になって4年、同棲を始めて1年が過ぎた。幸せではあるが、画家としての地位を確立していく年下の恋人に、自信を持てない臣。そんな二人の前に慈英の大学時代の友人・三島が現れ、慈英につきまとう。不安を感じる臣だったが・・・。慈英&臣、待望の書き下ろし最新刊。表題作ほか商業誌未発表短編も同時収録。</br></br>

    ●感想●</br></br>
    <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?link_code=ur2&camp=247&tag=makishome09-22&creative=1211&path=external-search%3Fsearch-type=ss%26keyword=%25E5%25B4%258E%25E8%25B0%25B7%25E3%2580%2580%25E3%2581%25AF%25E3%2582%258B%25E3%2581%25B2%26index=blended">崎谷 はるひ</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=makishome09-22&l=ur2&o=9" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />先生の作品なら前作読んでるかな〜と思ったんだけど、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?link_code=ur2&camp=247&tag=makishome09-22&creative=1211&path=tg/browse/-/12609521/ref=pd_fr_bw_2_4">リーフノベルス</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=makishome09-22&l=ur2&o=9" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />だったとは---。<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?link_code=ur2&camp=247&tag=makishome09-22&creative=1211&path=tg/browse/-/12609521/ref=pd_fr_bw_2_4">リーフノベルス</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=makishome09-22&l=ur2&o=9" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />は最近読み始めたので4年前は、読んでなかったですね。現在品切れになってるので、古本屋に行った時にチェックするしかないか・・・。</br>
    序盤で前作の経緯をばーっと書いてくれてあるのでコレ一冊でも、充分理解できたし、楽しめました。
    <blockquote>
    「---今、手がね。汚れてるんですよ」</br>
    うろたえた臣の前に、油絵具にまみれた両手を差しだしてみせる。だからなんだという顔をすると、にっこり笑ったままの慈英が手の甲でとんとんと自分の膝を叩いた。</br>
    「だから逃げられると、なにもできません」</br>
    「・・・しなくていいよ」</br>
    おいでと誘うそれに首を振って、じりじりと臣はあとじさった。</br>
    「どうして?」</br>
    「風呂、入ってないし・・・起きたばっかで、歯も磨いてないし・・・」</br>
    じゃあちょうどいいか、と新進気鋭の画家は立ちあがった。細身で脚が長いので、座っていればさほど大柄に見えないのだが、慈英は190センチ近くある。</br>
    当然腕も長くて、ぐずぐずしているとあっという間に、肘だけ使って臣を抱きしめてくる。</br>
    「じゃ・・・風呂、入りましょうか」</br>
    一緒に、と囁く声に、ごわっと音が立つほど赤くなった。逃げようと思うのに脚が動かないのは耳を軽く噛まれたせいだ。</br>
    「お・・・おまえ最近エロいよ・・・なんなのそれ・・・」</br>
    「おかげさまで。誰かさんが滅多に帰ってこないので、色々妄想逞しくなりました」</br>
    多忙さを当てこすられれば、反論も出来ない。臣にしても、もっとゆっくりした時間をすごせればいいと思う。ついでに言えばセックスも---正直目の前の男よりよっぽど、自分の方が好きだと知っている。
    </blockquote>
    臣は天の邪鬼。彼は欲しい時ほどいらないとか、イヤとかダメとか言うんだよなぁ〜。勿論慈英もそんなことはお見通しなんだけど、どこか遠慮がちな臣に不満を感じている。臣は自分が慈英に相応しくないとか、無理矢理慈英を自分の方に向かせた後ろめたさがあるみたい。常に慈英がイイならイイよ、ッて感じで慈英優先。慈英がエロくなったのでさえも自分が悪いと思ってるし。でも、常にグズグズ落ち込んでる暗い男でもないんですよ、臣も。心の根底でそんな風に考えてるから、ふとした行動や会話に垣間見れるだけで。
    慈英も臣にだけには賢いので、機敏に感じ取ってるみたいですね。臣はそんな慈英の自分に対する態度で他人にも接してると思ってたから、大学時代の友人と名乗る三島に対しての慈英の様子に気づくのが遅れたのでしょうね。もうストーカーとか狂気がはいちゃってるほどの特別扱いだなんて思いもしないで。
    <blockquote>
    「二度は言わないからよく聞いて」</br>
    「な、に・・・・・・」</br>
    「次に、俺以外に触らせたら、ここに」</br>
    抓りあげられたせいで赤く尖りきった左胸の先を、ピンと弾かれる。疼痛にじんじんとしていたそこは、過敏に反応して臣に小さな悲鳴をあげさせた。</br>
    「一生、消えない絵を描く。・・・心臓から、赤い花を咲かせて、服で隠れるぎりぎりのところまで全部、蔓を生やして、寄生する植物みたいに、血管に沿って」</br>
    ぎらりと光った目を見た瞬間、衣理亜の言う意味がわかった気がした。
    キャンバスに向かうそのままの眼差しで慈英に見られることは、ぞっとするほどに恐ろしかった。そしてこの目に捕らわれたなら、みずからの意志など関係なく、ただ彼の創造物のモチーフとなり果てるしかないのだ。</br>
    「あなたを俺の『作品』に仕立てて。ネクタイひとつ、うっかりほどけないようにしますよ。・・・そんなこと、されたくないでしょう?」</br>
    なんと答えればいいのかわからないまま、臣は青ざめた顔を横に振るしかない。それでも結んだ唇を追ってきた慈英のキスは拒まず、ゆるく口を開いて舌を出した。
    </blockquote>
    三島は、歪んではいるけど慈英に憧れて慈英になりたかったのかな。目の前にどんなに自分が頑張ってもなれない天才がいる---って感覚が私には分からないけど、彼をまねることで近づける、それがエスカレートして彼になれると勘違いしたのかな。どこかで狂っていってしまったんだろうな〜。</br>
    臣と境の娘のカズの会話が好きですね。15歳とは思えぬ突っ込んだ際どい会話にたじたじになる臣---可愛いです。</br>
    慈英の優先順位は1に臣、2にも臣・・・3番目に絵ってなくらい臣中心だったのですね。そこまで思われても重たく思わない臣、自分を押しつけずに一歩引きながらも適切に心情を察する臣は慈英にとって理想の人であり運命の人だったんだなって思います。</br>
    臣も何もない自分に引け目を感じて、昇進試験を受けるみたいだけどどうなのかな。仕事上の地位と、慈英に対する自信のなさは違うと思うんだけど。男同士だと、その辺のプライドの問題とか難しそうだな、と思いますが。慈英が全く気にしてないんで、ほっといてもイイと思うんですけどね。臣が”慈英に愛されてる自分”に自信を持ってればいいんだと。</br>
    前半は一歩下がる臣に慈英が怒ってる話が中心な感じで、後半にかけて慈英の過去の交友関係から臣以外の人間に対する慈英の本当の姿に戸惑う臣の話に変わっていきます。三島の所属する宗教団体、慈英の描く宗教画の話が脇をしめる感じで、臣が刑事として事件に絡んでるわけではないですね。でも慈英や三島に関係のあった人間から話を聞いたり、三島の心理を分析する時には刑事の顔を覗かせます。仕事が出来て抱かれる時はエロエロになる年上攻は大好きなんで楽しかったですよ。評価としては殆ど5に近い4.5かな。何が足りない---う〜ん、なんだろう。前作で臣が慈英を身体で籠絡した経緯を知りたい・・・その辺のもどかしさかな。見つかるといいな〜。
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著者プロフィール

小説家。3月16日生まれ、九州出身。
1998年、『楽園の雫』でデビュー。
ブルーサウンドシリーズ」や「白鷺シリーズ」「グリーン・レヴェリーシリーズ」など、多くのシリーズ作品を生み出したほか、漫画原案なども手掛ける。代表作として『トオチカ』など。

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