- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344833470
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
2006年リンクスロマンスで刊行された作品を加筆修正、イラストが高座朗センセに変更、そして書き下ろし付きで文庫化。
未読だったので読めてよかったです。
センセにしてはそれほど痛くなく、古代ペルシアを舞台にした絢爛豪華なラブロマンスとしてHQ級に楽しめる物語だったと思います。
でも、どこまでも辛抱強い大型わんこな将軍ファリードと、王の寵愛を一身に受けていたけど飽きられ捨てられたプライド高いツンツン美人キリアの、すれ違いまくりな気持ちには大変焦れ焦れさせられました。
ずっとただキリアだけを愛し続けていたファリードがどんなに愛情を捧げても、見向きもされなくてかわいそうだったけど、そのキリアは王に見限られてどんどん凋落失墜していった身でその様子がとても哀れだったので、ファリードを受け入れられない気持ちもわからなくはなかったです。
でも、あんな至れり尽くせりの扱いをされてもまだ王のことばかり想っているキリアには早く現実を見てほしいと言いたくなっちゃいましたね~
ただ誇り高いキリアを初っ端から衆人環視で蹂躙して傷つけちゃったのがそもそもマズかったような。
センセらしくご無体なHシーンがところどころに見当たりましたがそんなに痛く感じなかったのは、読みなれてしまったのもありますが、ファリードが一途にキリアを愛していてブレなかったせいです。
大抵、センセの攻はブレてます…
わんこでよかった、とつくづく思えるファリードですw
…でも、ちょっとイイ人すぎて逆にこの後豹変するんじゃないかと疑ってなかなか気が抜けませんでした!
キリアの周りに心強い味方となる人達ができるのもよかったです。キリアがファリードへの気持ちを自覚するまでがほんとに遠回りで…!
王様のショタ趣味には呆れました。トゥールと王との複雑な関係も胸が痛くなったけど、当然の結末となってスッキリ。
書き下ろし「虹」は、二人が本当の楽園をつかんだ後日談で、ファリードはキリアが大人になっても男っぽくなっても、そんなの関係なく心底愛していることが伝わってきて幸せそうで安堵しました。
現実を忘れてつかの間、ファンタジーの世界にどっぷり浸ることができました。