- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344847798
作品紹介・あらすじ
空き地にぽつりと咲くたんぽぽの唯一の友人・ミツバチ。たんぽぽが綿毛になるより先にミツバチは命を終え、そしてまた季節が廻り――。
治療法のない病で長い入院生活を送る志信(しのぶ)。見舞いに訪れた従兄弟から太陽のような明るい雰囲気を纏う礼央(れお)という青年を紹介された瞬間、奇妙な感覚に襲われた。自分が『誰か』の病気を肩代わりしたために短命なのだと信じている志信は、回復を望まず静かに命を終えることを願っていた。だが礼央にまっすぐな好意を向けられ抗えず惹かれるうちに少しずつ健康を取り戻してゆく。やがて礼央が姿を見せなくなり……?
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
ひとりぼっちでお日様に愛され咲き続けてきた、たんぽぽと
短命の宿命を負う、みつばち→犬の転生と運命を変える可愛いらしくいじらしいお話
お互いを想いあい、信じる心が運命を変える、読了感がとっても穏やかで癒される作品です。オススメです。 -
ささら先生のお話は温かい。みんな一生懸命生きてて、まっすぐな思いがまぶしい。
転生ものだけど、ミツバチ(その後犬)×たんぽぽ。新しい。でもそこがささら先生ぽくていい。
昔韓国の絵本にあった「こいぬのうんち」って本を思い出した。うんちが、自分なんて汚くて他の誰にも好かれず役に立たないって悲しむんだけど…そのお話にもたんぽぽが出てきて。結局彼(?)はたんぽぽの栄養になって共に生きてく、みたいな。
たんぽぽの一途な思い。レオの豊かな愛情。お互いが、お互いを大好きなゆえに自分のことを後回しにする。それは尊い思いだけど、でも相手も自分も、今このとき元気で共に長生きしていこう、していきたいと強く願うことの大切さを、陽彦さんが根気よく説いてくれる。
家族に対しても、迷惑をかける・甘えることは、相手が自分を心配し愛してくれてる思いを受け取ることでもある。
何度も何度も転生し出会い直してきたことの意味は、こういうことだったんじゃないかと、ふたりが答えを見つけたのに「なるほど」と納得。私個人は基本的に転生ものが得意じゃないんだけど、この結末はとても「腑に落ちた」感じ。
スズメの兄さんがやけに長生きな謎(そこ?)も、最後に納得。
納得だけど、仕方ないけど、記憶から消えちゃうの哀しいな。でもその存在が、お日様の光や風や空気の香りと共にいつもふたりの心の底にあるんだろうなとも思うんだけど。
ともあれ、幸せに。やっとつかみとったふたりの人生だから。